【太占(卜骨)は本当に当たるのか?】検証のために占います!

 

太占とは

 

太占(ふとまに)とは、鹿や猪の肩甲骨や亀の甲羅を焼いて占うことを指します。動物の骨を使って占うことを「卜骨」と呼び、鹿の骨を使う場合は「鹿卜」「鹿占」と呼んだりします。

 

上古の太占の神事は、眞男鹿の肩骨を灼いて神の御心を卜問ひ仕奉つた事は神典に徴して明らかであるが、更に何時の時代か、其鹿胛を亀甲に代えて仕奉る様になり、中世以後に至つては全く亀甲をのみ用ふる事となつたのである。

されば鹿卜は古く高天原に於て天神(あまつかみ)の始め敎へ給へる卜事から傳はり、次で亀卜も天孫降臨より以來歷朝用ひ給うた日本特有のものであると思考せられる。

辻陳雄/神道正伝 亀卜判断法 (八幡書店) より引用

 

日本神話で天照大御神が天岩戸に引きこもった際にも、天児屋命と布刀玉命が雄鹿の骨で太占を行ったと記載されています。

 

アメノコヤネの命とフトダマの命とを呼んで天のカグ山の男鹿の肩骨をそつくり拔いて來て、天のカグ山のハハカの木を取つてその鹿の肩骨を燒いて占わしめました。

太 安万侶 (著), 稗田 阿礼 (著), 武田 祐吉 (翻訳) 古事記 03 現代語訳 より引用

 

日本神話は作り話かもしれませんが、太占で占われた証拠は全国各地で出土しています。

四〜五世紀ごろに大陸から朝鮮半島を経由して伝わったとされます。

 

動物の骨・卜骨を焼き神意や吉凶を占う骨卜の信仰・風俗は、弥生時代に大陸から日本列島に伝わったと考えられ、弥生時代から奈良・平安時代までの卜骨出土例は現在までに全国約六◯遺跡で報告されている。

(中略)

『令集解』が編纂された九世紀、卜占用具には卜甲と牛馬骨の卜骨が並存すると意識されている。宮城県多賀城市多賀城跡周辺の遺跡や神奈川県鎌倉市由比ヶ浜中世集団墓地遺跡から、八・九世紀代の牛馬骨等の獣骨を用いた卜骨が多数出土していることも、『令集解』が記す九世紀代の卜骨の存在を具体的に示していると言えよう。

東アジア恠異学会/亀卜―歴史の地層に秘められたうらないの技をほりおこす より引用

 

八〜九世紀ごろには骨と甲どちらも使われていたようですが、九世紀ごろから出土数が減ってきているようで、九〜十世紀にかけては亀卜の権威性を高めるために占う頻度・占う人に制限をかけ、十世紀ごろには卜骨の形跡もなくなり、亀卜も宮中・天皇祭祀など特別な時にしか占わない行事へと変遷しているようです。

九世紀〜十世紀の日本はどうも中国かぶれっぽいところがあって、海外パワーを使って権威性のバフをかけたような雰囲気があります。平安時代中期に編纂された延喜式では「占いは亀卜!占える人はうちら(天皇家)が認めた人だけね!」という感じです。

 

 

これは僕の勝手な妄想ですけど、占いもしくは霊力のようなものがものすごくあって占いの精度が高かった場合でも、精度が低かったとしても、そのような存在や方法は隠した方が占いを活用する為政者にとっては得策ですよね。

占いに用いる羊や猪といった獣の骨も占う人が調達していたと考えると、屠殺や酪農に従事していた可能性もあります。特に屠殺は江戸時代は穢多・非人の仕事だったと言われています。社会的地位を与えられていない人々だったわけです。

下記の記事でも触れていますが、縄文〜弥生の時代には占い師の仕事は占いに加え儀礼を行っていたようですが、さらに「生贄的仕事」が待ち受けていたようです。

▶︎参照記事
【フラグ回収】やっぱり入っちゃいけない場所だった「神奈川県三浦市・大浦山海蝕洞窟」

上述したように、仮に占いがとても当たる人がいたとしたら、為政者はその情報と手柄が欲しいわけです。それも「自分だけ」が欲しいわけです。誰にも教えたくない。そうなると囲い込むわけです。他の人には「占いとか当たらないから」とか「邪教だから禁止ね」と言っておけば独占できます。

仮に、占いが全く当たらないものだったとしても、儀式的に活用できます。何か理由を説明するときに「お告げでこう出た」と言えば、責任や説明を追求されません。「なんか大国のすげー最新技術がそう言ってるんだから、そうでしょ」と言えばいいですし、民衆の納得が得られなければ占った人を生贄的に殺すことも可能だったと思います。

これからはその仕事をAIやコンピュータがやるのかもしれませんね。「世界中の知識情報を統合したAIがあなたはクビにしたほうが世界的な経済効果がプラスになると言っているんです(私の意見ではないです)」という感じ使われる、もしくはもう使われている可能性が高いです。困ったことがあったら特定集団の外に意見を仰ぐのですが、それが日本→大陸(中国)だったものが、国→AIとか、世界→宇宙といった話になるのかもしれません。

 

さてと、妄想はこれぐらいにしておきまして…

 

結果・精度は?

 

太占(骨卜・亀卜)は研究者の方々の中でも「いやぁよくわからんなぁ…」ポイントがいっぱいあるようです。そりゃあ数千年前に行われていたことを部分的な文献や遺物から推測するわけですから、本当に骨が折れる作業です。

太占の研究テーマを大きく分けると下記の3つになるかなと思います。

どうして骨や甲羅を使って占うようになったのか、日本にどのように伝わりどのように変遷したのか…そういった歴史や背景に関する研究資料が最も多いです。このテーマに関しては専門の方々が熱心に研究されていますので、書籍や資料が割と出てきます。

次に方法・再現です。これも実際に骨を加工して占ってみたという論文があったり、たまに体験的な講義もあるようですが、上記の「歴史・背景」を研究されている方に比べるとグンと数が減る印象です。方法を実験的に確認することで、背景を知ろうとするアプローチです。大いに参考にすべきものの1つに落合淳思氏の論文があります。

▶︎参考文献
落合 淳思/立命館文学「殷代占卜工程の復元」
近藤 浩之/北海道大学「漢字文化圏における骨卜と亀卜に関する総合的研究」

とにかく謎だらけの太占なのですが…

やっぱり僕が気になるのは「結果・精度」です。当たるのか当たらないのか。占いとして役に立つものなのか、労力や手間に見合うものなのか…このあたりが気になるのですが、書籍や論文が出てこないんですね。

そもそも「吉凶の判断」自体もすごく曖昧だったり、吉が出るまで占っていた説もありますし、上述したような「儀式」「生贄」「政治」的な利用が目的であれば、占いが当たるかどうかはどうだって良いわけです。

論文や書籍を読み漁っていて、確かにどうしてこのような占いが生まれたのか…メソポタミアの粘土板とか臓物占いがローカライズされて伝わったのかなとか…なんで骨を焼く発想になったのかな…とか疑問が絶えませんが…

僕が強く興味関心がある「結果・精度」という点を自分なりに模索してみようと思います。

方法は至ってシンプルです。

占的(問い)→相(割れ方・音)→結果

これを検証するだけです。他の占いと変わりません。

 

僕は特に占いたいことがないので、皆さんから骨卜の占的テーマを募集して、実際に占ってみたいと思います。

民間で太占で占っている人はほとんどいないと思うので、結構貴重な体験になるかもしれませんし、皆様の占い結果から何か歴史を紐解く手がかりになるようなことも出てくるかもしれません…

 

検証について

 

今回、岡山県のジビエの猟師さんから鹿と猪の肩甲骨を分けていただきました。ご協力ありがとうございます。鹿や猪の性別や年齢はわかりませんが、今回はあくまで「方法・再現」よりも、当たるかどうかを検証していきます。

 

 

もちろん、鹿や猪の生きていたときの状況や屠殺方法まで占い結果に関係がある…となると詳細を知る必要がありますが、まずは原点となるデータが欲しいのでやってみます。

検証方法や過程は追々まとめて本にしようと思います。マニアックすぎる内容なので需要はないかもしれませんが、備忘録として書いています。

 

加工の様子

 

大まかに加工工程を説明しておきますが…

どうしても、骨のまわりについている繊維質の脂肪を除去する必要があります。落合氏の論文にもありますように、これがなかなか難所です。

土の中に埋める方法がコスパが良いのですが、それをさらに高めるために「死んでいるものをより殺す土」の中に入れてみました。(資材のご協力ありがとうございます)

2週間ほど放置するとあらかた肉が取れていますが、やはり脂質の部分が手強いです。

 

金属製のヘラを使って、削ぎ落としていきます。

 

 

ヘラ先のようになっている軟骨?のような部分も引き剥がすのが、結構大変です。

 

 

肉削ぎ・軟骨剥がしの作業…大きいものだと30分ぐらいかかります。

小さいものや猪のほうが小さいので加工がしやすいです。これは落合氏の論文にもありました。

 

 

初日はコツをつかむまでにかなり時間がかかり、満足のいく加工ができた骨が2個しか干せませんでした。(これでも荒削りです)

 

ということで、時間を見つけてはせっせと骨の肉をそいで加工しておりますが…

僕のお仕事は「占うこと」であり、占いの結果検証のほうも進めていきます。

 

太占(卜骨)の占い募集

 

ということで、太占(卜骨)で占って欲しい、占ってみてもらいたいという方を募集いたします。

いつも占い企画を行なっていますが、今回は資材に限りがあるので、十分にお応えできるかわかりませんが…🙇

 

募集期間

 

2023年3月25日(土)10:00から岐阜県の山奥で実際に骨を焼いて「太占」を執り行いますので、それまでに募集いたします。

骨加工はまわりの方に手伝ってもらいながら、準備を進めていきますので、それなりに量は確保できるのではないかと思います。

太占を執り行う様子を見学したい方は、1〜2名ほどであれば参加できると思います。その代わり火起こしなどを手伝っていただくかもしれません。

当日時間に余裕があれば肉を焼いてBBQもする予定ですので、ささやかなお礼でも良くても見てみたいという方がいらっしゃいましたら、お問合せください。

 

募集要件

 

占的(占いの質問)は何でもOKです。

後日、焼いた骨の写真・占断結果・コメントを記載したレポートをPDFにてお送りいたします。

当たり前の話なので、注意書きすることもおかしな話なのですが、占いの問いや結果は僕と依頼された方のみ共有させて頂きます。

 

料金

 

占いは1件12,000円になります。

今回多くの方にご協力頂いておりますので、頂戴したお金の一部をジビエや森林保護関係の団体や機関に寄付する予定です。

 

お申し込み

 

太占(卜骨)の占いを希望される方は、下記のページからお申し込みください。

 

 

お申し込み完了後、占的などを記入する専用ページへのご案内が届きますので、お手数をおけしますが3月25日までにご記入ください。

 

 

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西田 圭一郎

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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2024年9月18日のこっそり運勢

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