無くした方が残るし、残そうとすると無くなる

 

【好き嫌いはどこから生まれる?】What you don’t want to see is “you”

↑この記事を踏まえて

 

「自分が消えること」は不自然で、生物としては異常なんですけど、これが好きな人もいます。

何かに飲み込まれて、飲み込まれた先で共生していく生物です。イメージ的にはクジラのようなものの中に飲み込まれて、そのクジラの中で寄生して暮らしていく生き物です。何かに混ざり、溶け込んで生きていきます。

一方で「自分は消えたくない」という認識が強い人もいます。「今の自分ではなくなること」「自分の認識が薄まること」を拒絶する人です。飲み込まれたいのではなく、飲み込みたいという欲求です。自意識が強い状態とも言えます。

しかし、実際のところ有機的な共生エコシステムの中で生きている我々は、本来は全体の中に飲み込まれて生活しています。なので、「自分が消えることは不自然で生物としては異常」と表現しましたが、見方によっては「自然で正常」です。

個人的な観察としては「自分が消えること」つまり「クジラの中に飲み込まれて生活してんだよな」という認識で生きている人の方がスムーズに生きているように見えます。自分を遠くから見ているか、近くで見ているか。この違いなんですけれども。その地域や場に溶け込んで、そこにあるものを使って一生懸命やっていく。諦めて始めて開く世界もあります。

しかし、けっこうメディアや世間には「自分が消えることは悪だ」と植え付けているものが多いです。あとはそういう育てられ方をされたり、生まれつきそういう「自分は消えたくない」という感情が強い人もいます。それはそれでその人の生存戦略なのですが、軸が定まっている分、結構簡単に足元をすくわれたり、騙されたりします。「自分が消えないための道具」が売られていたら買っちゃうんですね。まぁーしょうがないっすけど。

自分のルーツや家系や親を受け入れるというのは、ある意味「その場に溶け込むこと」になるわけですね。生まれた場を認める。これも「大きなものに飲み込まれている自分」を認めることになります。

「自分がうまくいっているのは自分のおかげだ!」というのは、「自分が消えること」とは反対の方向に向かいますし、「今の自分があるのはたくさんの存在のおかげである」という感情は「自分が消えること」「溶け込むこと」になります。

なんでお墓を建てると流れが変わるのかとか、神や崇拝が昔から重視されてきたかを考えてきたんですけど、おそらく「自分を消すため」の行為なのだと思います。星や空を眺めるのもそれに近いのかもしれません。

「自分を認めて欲しい」「自分の手柄が欲しい」「注目を集めたい」というのは、いろいろ逆効果なんだよなーと思って見ていて、何かを判断する上での指標になるんですよね。

不思議な話なんですけど、無くした方が残るし、残そうとすると無くなるんですよね。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎

1987年富山市生まれ。工学修士。 商社の開発営業職を辞めて、占いや相術を生業にしています。本と旅とポケモンと文章を書くことが好きです。黒も好きです。どの国に行ってもスチューデント扱いされます。詳しくはこちらから。

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