【七話目・幹部との対話とサブリミナル勧誘】オウム真理教(アレフ)という宗教団体に触れて感じたこと。

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【六話目・洗脳部屋】オウム真理教(アレフ)という宗教団体に触れて感じたこと。

道場というかサティアンに連れて行かれてからわりとすぐに

僕を誘引した人から「幹部の方が呼んでいます。もしかしたら、その人に会えばもっとここで修行したくなるかもしれません」と言われ僕はこの道場の幹部の人に会うことになりました。

殺風景な何もない白壁の部屋。六畳ほどの部屋に案内されました。

その幹部の人はカタカナの名前で呼ばれていました。けっこう前のことなので明確な名前を忘れましたが、当時その名前で検索したらその人の写真が出てきたのでたぶんそこそこ有名な人みたいでした。

部屋に入ると、坊主頭で白っぽいバスローブのような袈裟のようなものを着た痩せた男性が、あぐらをかいて座っていました。

もちろんこのあぐらはスカアーサナと呼ばれるヨガのあぐらのかき方で、僕は身体が固いので、当時苦戦したのを覚えています。

部屋の上座に座る道場長、もとい幹部の男性。出入り口側に僕はあぐらをかいて座りました。

男の目は他の信者とは違って鋭く「入信する側」ではなく、あきらかに「入信させる側」の目でした。細目で穏やかさで隠そうとしているようでしたが、全身からギラつき感がみなぎっているようでした。

眉が薄くて釣りあがり、行動力と突破力がありそうな人相をしていました。

明らかに戦闘力が違う感じがしました。さすが道場を仕切っているだけのことはありました。

ポケモンで言うと、他の信者はコラッタやキャタピーを使ってくるのに対して、この人はゴルバットやスリーパーを使いそうでした。

「で、何?聞きたいことがあれば答えるよ」

男の声と口調は少しチャラい印象がありました。声を五行に分けるとしたら「金」の声で、やはり声の中にも鋭さとザラつきがありました。

「まったく、Mは何やってんだよ。やり方がぬるいんだよな。俺だったら仮入信とかじゃなくて、すぐに入信させるのに」

僕は僕をクンダリーニ覚醒まで丁寧に指導してくれた先生(Mさん)がけっこう好きだったので、ちょっとムッとしました。

初対面でいきなり自分のお腹を連打して、真っ赤になったお腹を見せてくれたり、シャバアーサナに入るまでのカウントダウンの優しい声から察するにMさんは普通にいい人でした。

たぶん、あの人はこういう宗教とか関係なく街で出会っても普通に話せたと思います。

 

やっぱりこの目の前にいる男性は「引き込む側」の人間でした。

男はエメラルドグリーンのカバーをつけたiphoneを右手にもち、じっと観察する僕に質問を投げかけてきました。

「ふだんは何をやってるの?」

「会社員をしながら、手相占いを勉強しています。クンダリーニを覚醒したら占いに役に立つと言われ、ここに来ました」

おそらく最初にM先生のやり方がぬるいと言及している時点で「こいつ入信しないな」と見極められたのでしょう。そこからたわいもない雑談が始まりました。

「で、最初に言ったように何か聞きたいことある?」

男はダルそうに会話を軌道修正しました。

 

僕を誘った案内人の方に「いろいろ聞いてみたい」と伝えていて、彼はきちんとそれをこの幹部の男性に伝えてくれていたのです。

 

「まず、”善”とは何ですか?」

 

「お、おもしれぇな、おまえ。入信しろよ。クンダリーニもできたんならもっと上にいけるぞ」

 

「おもしろい」という単語の次に「入信しろ」という単語が並んだ会話文を生まれて初めて耳にしました。

彼の軽いノリの勧誘をかわしながらも、質問を続けました。

 

「いや、もっというと、あの事件を起こしたのはなぜですか?」

「あれはカルマの思想にもとづけば”良いこと”だし、必要なことだった」

 

Mさんから習ったときのように曲解したカルマの説明をされました。

 

「では、殺されて感謝できますか?」

「あれは一部の人間がやったことなんだよ」

「そうなんですね」
(ですよね、感謝なんかできませんよね)

それからもたわいもない話をしました。道場長はけっこうおしゃべりで軽いノリの男でした。

当時から僕は「善悪」というものを疑っていたので、彼の回答に全く納得がいかず、この人に聞いても答えは得られないなと思い、頭を切り替えました。

なぜならアレフの教義の中で「コンピュータは悪魔の道具だ」と教えているにもかかわらず、カバーまでつけて大事そうにスマホを手にしているのですから、そりゃツッコミどころ満載です。

やっぱり「入信させる側」はその宗教に盲信してはいけないし、こんな矛盾しまくりな理論にツッコミも入れられないぐらい心底弱っている人を対象に入信させているのだなと思いました。

僕がこの場所にくるには「健全」すぎたようです。

あとアレフに感じたことは「妙にそれっぽい理論がある」ということです。

いちおう理系の片隅で大学院まで進学した僕としては「理」というものに「絶対的な憧れ」みたいなものがありました。一時期「理論」というものに盲信的になっていたのです。

おそらくこれは僕自身が全く理論的な思考をもっていないからこそ、その「万全さ」のようなものに憧れを抱いていたのだと思います。

宗教には「理(ことわり)」があります。特にこのアレフにはこの「理論」を重視しているように感じました。

しかし、ヨガの行法であるクンダリーニは「ヨガの理論」ですし、そこにグラグラのご都合主義のカルマ思想とチベット仏教的な思想をドッキングさせたのがアレフの教義なのかなと思いました。

ヨガ5:カルマ3:チベット仏教2ぐらいの割合でしょうか。

チベット仏教の要素は表面上の穏やかさを保つために使われていますし、その根幹はやっぱりヨガと曲解したカルマ思想にあると思いました

僕は学生時代のブラック研究室で円形脱毛症になるほど「理」に追い詰められて「本当にこの論文に再現性なんかあるのかよ!」と「泥臭い理系」を経験していたのでよかったのですが

中途半端に「理は楽しい、美しい」みたいな理論への憧れが強い状態だったら、スーッと入信していたかもしれません。

 

「おまえ、本当におもしろいな〜。入信すればいいのにな〜」

「いやいや、それはわかりません(笑」

ちょいちょい軽いサブリミナル勧誘を受けながら、気づいたら2時間ぐらい話をしていました。

 

「そういえば、けっこう話したしお腹減ったよな!お前、ソイジョイ好き?」

「はい。好きですね」

突然のソイジョイというキーワードにも対応できるぐらい、そのころはなぜか打ち解けていました。

幹部は棚のようなところから「ソイジョイ」という印刷が施されていない、銀色のピロー包装フィルムがむき出しの状態のソイジョイを僕に差し出してくれました。

「俺、りんご味が一番好きなんだよな」

「りんご味、おいしいですよね」

白い殺風景の六畳ぐらいの部屋で、おっさんと青年が二人であぐらをかいてソイジョイりんご味を食べる。

パッケージに印刷はされていませんでしたが、それはちゃんとソイジョイりんご味でしたし、特にそのあとお腹を壊すこともありませんでした。

 

「お前おもしろいから、入信しろよ(笑」

「考えておきます(笑」

という感じで部屋をあとにしました。

そのあと、新入社員ならぬ新入信者を対象としたオリエンテーションがあるということで、にしけいさんも見ていったらどうですか?と聞かれ、暇だったので参加してみることにしました。

にしけい

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