僕は今33歳。想像していた33歳とは全然違う。どう違うかというと全然中身が子供というか、僕が子供のころ感じていた「30代」はもっとしっかりしていて「中堅感」が漂うものでした。この「イメージ」と「実態」のズレは何なのだろうか。最近は、50代でも60代でも「え?本当に?」と疑いたくなるほど若い人が多い。見た目もそうだけど、中身も若い。この「ズレ」は僕だけはなく日本社会全体に起きているのではないかと。だいぶ前から高齢化社会が進んでいる日本ですが、このサイトによると日本の年齢中央値は高度経済成長期を遂げていた1960年には27歳だったものが、2020年には48.4歳になっています。
世界と日本の平均年齢 (IZAUNA様より引用)
サザエさんに対する違和感
日曜の夕方に放映されているサザエさん。サザエさんのアニメの第一回放送は昭和44年1969年10月5日らしいので、まさに高度経済成長期の最中にアニメ化しています。「国民的アニメ」なのですが、見ていてやはり時代錯誤というかちょっとした違和感があります。ちょうどマスオさんの設定年齢が28歳らしく、気づいたらマスオさんよりもおじさんになっていましたが、全然マスオさんのほうが「おじさん」に感じます。ちょうど上のグラフだと1969年ごろは日本の年齢中央値は28-29歳ぐらいだったので、ある意味マスオさんは「平均的な普通の日本人男性」の象徴だったわけです。サザエさんが24歳らしいのですが、しっかりしすぎています。まわりにいる25歳前後の女性を見ていても、あそこまでガッツリパーマをあてている人はいませんし、そもそもパーマ以前に何かこう現代の24歳のほうが「若者感」があります。
現代版のサザエさんを作るなら高齢化が進み、年齢中央値が48歳なので、マスオさん的な「平均的な男性ロールモデル」も48歳にする必要があります。48歳というと「ちょっと昔の日本」で言えば「おじさん」とか「初老」と言われる年齢なのですが、現代の日本では「普通」なので相対的に見ると決して「年老いている」わけではないのです。となっていると、やはり以前から叫ばれている「60歳定年」というのは現代社会では噛み合ってこないことは一目瞭然です。サザエさん一家の大黒柱、波平さんの設定年齢は54歳です。確かにあの風貌は「年長者」の風貌です。そして「もうすぐ定年」という雰囲気も何となくわかります。なぜなら完全に「おじいちゃん」だからです。しかし、現代の54歳は決して「おじいちゃん」ではありません。
あなたの相対感覚年齢は?
ということで、どうしても「数字」に惑わされてしまうのですが、この数字を補正すれば「感覚のズレ」も補正できるのではないかと思い、今プログラミングスクールに通っているので、拙くはありますがjavascriptで相対感覚年齢変換プログラムを組んでみました。半角数字を入力していただければ「ひと昔の日本の年齢」が表示されます。※
半角数字で年齢を入力してみてください
僕は現在33歳なのですが、この変換を使うと19歳ぐらいでした。つまり、僕がサザエさんの世界に登場するとしたらまだ成人すらしていないペーペーの若造で、カツオ(11歳)のちょっとした先輩ぐらいのポジションです。
イササカ先生の息子に伊佐坂甚六というキャラがいるらしいのですが…
まったくというほどアニメないで出現しないイササカ先生の息子さんですが、彼がちょうど20歳で浪人生という設定らしいですから、僕がサザエさんワールドで登場するならちょうどこういう感じになるのだと思います。非常にしっくりきます。
メガネはかけてませんが、自己主張の強いTシャツとかは好きですし、夜遅くまで勉強しているという点では親近感を覚えます。
このブログの読者は40-50代の女性が多いことがわかっているのですが、いちおうサザエさんのフネさんの設定は50代らしいです。しかし、現代の40-50代の女性が「フネさんと同じ感じ」はしないです。ちなみに先程の相対感覚年齢ツールに50歳と入力すると「28歳」ぐらいです。50歳でようやく「普通」ぐらいで、サザエさんワールドではマスオさんと同年代感が出てきます。
「若者」と「老人」を再定義して欲しい
変換ツールを使ってみると「あれ?意外と若いかも?」と感じられたと思います。そうなのです。実際相対的に見ると「若い」んです。何といっても中央値で48歳ですから、それよりも若い人は若いんです。よく「始めることに年齢なんか関係ない」と言われますが、そうなんです。50歳でも60歳でも全然遅くないのです。あなたが波平さん(54歳)のような「老人」になるには、現代では97歳ぐらいまで生きてようやく「老人扱い」されるようになります。
高齢化社会は今後も進みますから、ちょっとやそっとじゃ「老人」になれないんですね。だから「もう40歳だけど、人生の選択ミスったな…もう取り返しがつかない…」ということは全然なくて、40歳はひと昔前の感覚だと「22歳」ぐらいなので、めっちゃ若いんですね。いや、実際相対的に見るとめっちゃ若いんですよ。だから40歳から何か始めて失敗しても気にしなくていいですし、それを咎めたり、「復活できない仕組み」ではダメなんですよね。高齢化が進んでいるのに、それに対する人々の認識と仕組みがまだ「サザエさんワールド」を引きずって止まっているような気がします。時代に噛み合っていないんですね。サザエさんワールドへの「違和感」は正しくて、ある意味「現実」を受け入れて淡々と認識と仕組みを変えていくだけなんですけどね。なかなか「感情」とか「昔は〜」というものに引っ張られてしまいがちです。
先輩風を吹かせたいなら都市部か海外に出るしかない
この記事でお伝えしたいのは、まず「年齢という単なる数字」という認識をもっていただきたいのと「年齢(数字)と結び付けられた固定化されたイメージ」を壊して欲しいのです。
その上でも「自分は老人だ」「自分は若くない」「若いヤツらは好き勝手できていいな」「最近の若いヤツは…」といった(人生の)先輩風を吹かせたいのであれば、都市部か海外に出るしかありません。なぜなら田舎ほど高齢化が進んでいますから、より「老人ぶる」のは難しくなります。
先程の相対感覚年齢変換ツールに70歳と入力していただいても40歳にいきませんからね。70歳でようやく、ひと昔前の「働き盛り」「中堅どころ」ですから、全然先輩風が吹かせられないわけです。そよ風ぐらいしか吹かせられないわけです。
なので、どうしても「わしが若いころは〜」とか「もっと年寄りを大事にしてくれ」ということを言いたいのであれば、本当に田舎もしくは日本を出るしかないんですね。
最近は本当に「50歳で亡くなるなんて、早すぎるよ」といったことを言う人もいますが、本当に早すぎるんですね。サザエさんワールドだと、マスオさんが突然死ぬような感じですから、この「早すぎるよ感」をもっと強く感じて欲しいです。まずは「これまでの年齢に対する認識」を破壊したほうが良さそうです。
にしけい
※相対感覚年齢は(実年齢)*48.4/27という超単純な比例計算で算出しています。48.4は2020年、27は1960年の年齢中央値を参照しています。