【ハン卦チーフ】相和プリントさんで手捺染(てなせん)の製造現場を見学させていただきました。

また、マニアックな商品を作りました。その名も「ハン卦チーフ」です。

卦は「け」とも「か」とも読めるので、「ハンカチーフ」もしくは「ハンケチーフ」です。

 

その名の通り、八卦を後天定位盤の並びで配置させたデザインのハンカチなのですが…

今回も大手アパレルで企画デザインをされていたデザイナーさんにお願いしてデザインをしてもらいました。本当に才能の無駄遣いです。

僕が最初に作ったデザイン案はこんな感じで、ただ八卦を並べただけだったのですが…

このデザインを原寸印刷して頂いて、カフェで打ち合わせしていたのですが、周囲のお客さんから「何広げてるんだ…怪しすぎる…」という目で見られまくったので「もうちょっとさりげなくしたほうがいいかもしれませんね」ということになり、今のデザインになりました。

そりゃそうですよね。渋谷のオシャレなカフェで八卦丸出しのハンカチを広げていたら「なんか中国の怪しいやつ?」みたいな感じになりますよね。

というわけで、「占ってる感」が出過ぎるとちょっと微妙なので「見る人が見たらわかる八卦」ということでデザインし直してもらいました。

 

製造現場を見学に

 

デザイナーさんから「にしけいさんなら、ちょっとこだわった作り方をされているところで作りましょうか?」というご提案があり

手捺染(てなせん)という、日本でも既に数カ所でしかやっていない手染め法で作られている相和プリントさんに印刷を依頼していただきました。

「せっかくなら、どうやってできるか見学したいのですが…難しいでしょうか?」と聞いてみると、快くオッケーをいただきました。

会社員時代、フィルム系の製造現場に立ち会うことがありましたが、ノウハウ漏洩などを懸念して基本社外からの製造立会は嫌がられることが多かったので、すんなりOKに驚きました。「アパレル業界はこんな感じですよ」とデザイナーさん。業界が違うと全然雰囲気が違うのですね。

いろいろ説明をして頂きながら、製造現場を見させて頂きます。

これは染料が染み込みやすいように、前加工をしている様子です。

 

染めるときに使われていた「版」はこんな感じです。

今回は白と黒、1版ずつでしたが多い時は「16版」になることもあるそうです。

 

製造現場見るの、ほんと好きなんですよね。夢中で写真を撮らせてもらいます。

 

 

単純に見えるものほど単純じゃない

 

貴重な機会なので、いろいろお伺いしました。

インタビューするにしけい

 

「職人さんたちは簡単そうにやっておられますが、やっぱりここまで出来るようになるまでに時間はかかりますよね?」

「そうですね、人にもよりますが2年ぐらいでしょうか…」

「やっぱりセンスというか素質のようなものもあるのですか?」

「センスもありますが、やっぱり”続けること”ですね。長く続ける人が減ってしまいました」

「なるほど…」

「その日の温度や湿度によって全然染まり方が違ってきますし、二人で作業するので相方とのペースの合わせ方など、気を配ることが多いんです」

「海外製品や大量製造品が多い中、”手で染める”ことで何が違ってくるのでしょうか?」

「なかなか言葉にするのは難しいんですけどね、ずっと染めたものを見ていると”全然違う”ということがわかるんですね」

「ちがう…?」

「最初は私もわからなかったのですが、やっぱり手で染めたものは風合いというか、色合いというか、全然違うんですね。特に長い時間使っているとそれが顕著なんです」

「色落ちしにくいということでしょうか?」

「それもありますけど、何度も洗濯したり使っているうちに風合いが変化していくのですが、手で染めたものはその変化の度合いが少ないんです」

「なるほど…」

「あとはお客さんが納得がいくまで染色の微調整するので、そこは大量製造とは違うと思います」

染料を混ぜる現場を見学させてもらうにしけい
液体が混ざる様子を見るのが好きなんですよね…

「先ほども言いましたが、同じ製品や同じ色でも時期や湿度などが違えば、やっぱり仕上がってくるものも違います。この調整はある程度レシピはあるのですが、やっぱり最後は人間の目と手で微調整するしかないんですね」

「染料の調整が既に経験則というか、職人技なのですね…」

 

他者の情報ではなく自分の感覚を

 

本当に申し訳ないのですが、正直に話すと、僕の目には「違い」がわかりませんでした。違いがわからない男ですみませんでした。わからない自分でもめちゃくちゃ楽しかったので、きっと僕よりも布や生地について「分かる人」が工場を見学されたらすごくすごく楽しいと思います。

工場見学をさせてもらって感じたのは、この「違いが分かる人」が年々減っていっているんだろうな…ということです。

その「価値が分かる人」が年々減っていて「何でもいい」とか「使えればいい」という人が多くなってきているのかもしれません。自分も含め、残念で悲しい気持ちになりますが、「価値が分かる観客」を増やすことが、アパレルやアートの世界を助けることにつながるのではないかと思いました。

「分かる人には分かる」という点では僕がやっているお仕事もそれに近いんじゃないかなと思いまして。相和プリントさんのお仕事が「他人事ではない!」と勝手に感じていました。

なんというか「分かるようになるまでやる」という人が減っているのかもしれないし、どうしても「知識」や「情報」のほうに引っ張られて、自分の感覚や「直観(見たまま)」を蔑ろにしている人が増えているのかもしれません。本当の意味での「素直さ」のようなものが失われているというか。

誰かの考えや意見を聞くことや教育はとても大事だけれど、それを踏まえた上で「自分の感覚」を大事にできれば「良いもの」が残るような世の中になるのかもしれないと思いました。

「値段」や「レビュー」を無視して「美味しそうだな」と思ったら買う、「なんかイヤだな」と思ったらやめる。そういうことが少しずつ「自分の感覚」を取り戻すことにつながるのかもしれません。

ハン卦チーフ、僕も使い込んで「(生地の)違いが分かる男」なりたいと思います!

相和プリント様、お忙しい中貴重なお時間ありがとうございました!

 

こちらからハン卦チーフをお買い求めいただけます。よかったら手にとって使ってみてください。

今後、このハン卦チーフを使った占いの動画や講座も配信していきます。

引き続きどうぞよろしくお願い致します。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎

1987年富山市生まれ。工学修士。 商社の開発営業職を辞めて、占いや相術を生業にしています。本と旅とポケモンと文章を書くことが好きです。黒も好きです。どの国に行ってもスチューデント扱いされます。詳しくはこちらから。

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