【制約が自由を生む】型と術が可能性を広げる理由

制約が創造性や可能性を損なわせる…と思い込んでいる人もいると思います。制約は特定の範囲内に行動や思考を制限するので、確かに創造性や自由を奪われるような場面もありますが、適度な制約(範囲の限定)によって創造性や可能性が増えることもあります。

例えば、料理をするときに調理方法やレシピを知っていると、失敗する確率が減ります。調理に失敗すると不味くなるどころか、場合によっては食事にありつけなくなる可能性もあります。うまく調理することで、栄養を効率よく摂取することができて体や健康のためにもなる可能性があります。

よく「素材を生かす」と言いますが、これは「可能性や選択肢を増やすこと」を指し、「素材を殺す」というのは「可能性や選択肢を減らすこと」を指します。美味しく、効率よく、栄養をよりたくさん摂取できて、食材を無駄にしない…これらは可能性や選択肢を増やすことにつながります。

そして、それを達成するために先人たちが「調理方法」や「レシピ」といったものを試行錯誤・研鑽し、現在に至るわけです。先人たちの手によって編み出され、無数の人々に脈々と伝承されてきた「特定の方法」を「型」と呼んだり「術」と呼んだりします。つまり、可能性や選択肢を増やすために蓄積された特定範囲の行動が「型」や「術」であり、範囲を限定することでより豊かさを生み出すことができます。

artという英単語には、美術や絵といった意味だけではなく、専門的な技術、熟練といった意味もあります。art(芸術)や技術は基礎技法(特定範囲の行動)を身につけることで、より高度な表現や応用が可能になります。

最近僕もお世話になりまくっているAIも、「Artificial Intelligence」の略です。artificialは人間の技術や工夫によって作られているものを指すときに使われます。人間の技術には再現性があります。「型」や「術」と呼ばれる「特定範囲の行動」を行なった結果、同じような範囲の結果に収束します。

「型」や「術」は、ひとつひとつがパーツ(構成要素)になっています。ひとつの型や術だけではなく、それらをパズルのピースのように組み合わせて全体を構成していきます。例えば、バドミントンではフォア・バック・クリア・スマッシュといったひとつひとつの動作の基礎練習を行います。より稼働域が広がるステップ(足運び)があり、ひとつひとつ何度も繰り返します。試合ではこれらを組み合わせながら相手と打ち合っていきます。

artと頭につく英単語に「article」があります。記事、商品、個人、瞬間といった意味がありますが、このarticleも「物事の一部分や構成要素」というコアイメージがあり、型や術に通じるものがあります(複数の記事やコラムが組み合わさることで「新聞」や「雑誌」という全体を作ります)。このパーツ(article)も特定の範囲に限定されていますが、これらを組み合わせることで様々な可能性を増やすことにつながります。

基礎的な要素は「特定の範囲」に限定されているため、自由度が低いように感じます。運動でも基礎練習が一番つまらないですし、化学でも基礎研究が一番キツいです。それだけだと、応用や楽しみが見出せず「制約感」を強く感じてしまいます。しかし、より自由になるために…選択肢や可能性を増やすためには必要な制約なのです。制約は、創造性や可能性を損なわせるどころか自由を獲得するために必要なことなのです。

最近はすぐに会社や仕事を辞めてしまう人が増えているというニュースを耳にしますが、もしかするとそれは「型」や「術」といった基礎的な構成要素を教わる(獲得する)前に孤立する可能性があります。制約によってより自由を得た経験できないことは、その後の人生において大きな損失となるかもしれません。

過去に占いに関しても何度も「基礎が大事」という記事を書いていますが…

【占い】特別な奥義や秘儀があると思ってるの?大事なことは『基礎』です。
https://nishikei.jp/nishikei-pon-uranai/32874/

生活の中でも掃除・整理整頓・挨拶など基礎的なことほど重要な気がします。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。著書は50冊以上。三児の父。詳しくはこちらから。

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