何かをやめようと思ったときに「一手間」かけるとまた違う展開になる

正直にお話すると去年の暮ぐらいから「占いをやめようか」という考えが浮かんでいました。理由はよくわかりません。占いをやりすぎて飽きたのかもしれません。「なんか今のやり方は違うよな」という感覚があったんですね。

何かを生業にしていると、何かを学んでいると「波」というものが出てきます。常に一定に直線的に持続するはずがありません。

なので、よく「最近、占いの勉強ができていなくて…」と申し訳なさそうに話す人がいるのですが、占いで暮らしている僕でさえそういう波があるので、全然気にしなくてもいいですし、報告しなくてもいいですよ…といつも思っています。

それはそれで別の意図(許して欲しい・自己承認)があるように見えてしまいますから、あの、言い訳はしないほうがいいと思います。あんまり言い訳しても双方にメリットがありません。

「占いをやめようかな」という言葉だけで判断すると、占いを全部取り去ってしまうことが改善策になるのかもしれませんが、それは「愛する恋人がいない世界なら、こんな世界滅んでしまえばいい」と破壊活動を始める魔王のような極端さがあります。

こういうときは「どの部分」が良いのか悪いのかを吟味していきます。これは「嫌になった時」だけじゃなくて「好きな時」「楽しい時」も同じように考えます。言語化や整理が苦手な人はここで「一気に壊すリセットボタン」を押したがるのですが、同じような感情を経験する可能性があります。

 

範囲の限定

 

何かを買う前に吟味するように、何かを捨てる前にも吟味します。めんどうくさいのですが、言語化による「範囲の限定」というものは非常に役に立ちます。「全体」ではなく「部分」を見ることです。

全体を見る方が視野が広まりますので、何かを許したり、曖昧にする場合は非常に有効です。単純に視野が広まるので、新たな視点が得られます。ここ数年は「全体を見る」という「範囲を広げること」に特化していた気がします。

それで、それがけっこう飽和状態になってきたので今度は「範囲を狭めること」「集中すること」に気持ちが向いてきている。どうやら「占いをやめようかな」という考えは「範囲を広げる方向性」を反転させて、凝集していく…という方向性に進むための臨界点だったようです。

フィリップ E テトロックという人の予測に関する著書がおもしろくてですね。これを面白いと感じるということはやっぱり今の僕は「範囲を限定すること」に興味があるんだなと思いまして。今新しい本を書いているのですが、それも数学と占いの話になります。

理系出身なのに、僕数学苦手なんですね。でもなんか気になるんです。数学の解説動画とかやっぱり見ちゃうんですね。最近は無料でもわかりやすい解説が聞けて、最高の時代になったなぁと思います。

話がそれちゃいましたけど、数学とか予測に関するインプットをしながらも「占い」と結びつけているんですね。それに気づいた時に「あ、やっぱり自分は占いが好きなんじゃん」ということに気づいてしまいまして。マクローリン展開を占いに使えるんじゃないかとか、流れを変えるには積分が必要だよなぁとか。

今までの自分の占いに納得がいっていなかったんだと思います。そのヒントになりそうなものが「範囲の限定」なんです。線形性になるまで詰めていく。やっぱり直線って強いっすよ。真っ直ぐさ。貫くことって、強いです。

そういうことに気づけてから、また自分の占いが変わってきたというか「あ、もっと上にいけるな」という実感が湧いてきたんですね。仰々しいことを言っていますけど、単純に「そんな自分も見てみたい」「知っておきたい」というのが一番な気がします。

 

より外側へ

 

世間では物価上昇が起きていまして。税理士さんや知り合いの方からも「にしけいくん値上げしないの?」と言われていましたが…値上げは昨年2022年2月にやっているんですね。あくまで自分のペースでやっています。

よく他の占い師さんや業種の方からも「値上げ」のご相談をいただくのですが、僕も同じように値上げは悩みます。

昨年の値上げのときは30,000円→50,000円に値上げしたのですが、500円→1,000円にするときと同じぐらい悩みました。そうなってくると金額じゃなくて、単純に「未知への恐怖」なのかもしれません。

値上げしたてのころは「大丈夫かな?」と恐怖感のようなものが漂うのですが、やっぱり1年ぐらい経つとなれてくるというか、その金額に自分の仕事がしっくりくるようになるんですね。

先述した「直線性にする世界」に気づいてから、自分の中で「50,000円でもいいな」と思えるお仕事ができるようになってきて。自信をもってその金額を伝えられるようになりました。値段設定って正解がないんですけど、より「外側の自分」になるには定期的に必要な儀式なのかもしれません。ちょっと無理する。ちょっと冒険する。こういったことがないと本当に腐ってしまうんですね。自分との戦い、駆け引きという感じです。

ただ、やっぱり「凝集」のためには「弛緩」が大事なので、ダラダラする時間も必要です。冒頭にお話ししたように「波」があって、それをどの範囲でコントロールするかみたいなところだと思うんですね。マクローリン展開は癒し。

それで、占いのお仕事の内容が変わってくるということは教室や講座の内容ややり方も変わってくるということです。「今の内容が正解!」とは全く思っていなくて、今後も模索は続きます。

 

にしけい

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西田 圭一郎

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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