断易(五行易)に当たり前のように出てくる「世爻」ですが、これは何を指すのでしょうか。
「自分自身」や「主体」を指すのであれば「我爻」「自爻」「主爻」と表現しても良いはずです。しかし、そうではなく「世」という漢字が用いられています。なぜでしょうか。世爻という概念を生み出し伝承し続けた人たちは何を表現したかったのでしょうか。
世界・世帯・世代・世相・世紀・世間・世俗・常世・出世…
「世」という漢字がつくものは時間的・空間的な展開延伸が見られます。
時間という軸に沿って伸びていくので「世代」「世紀」「世代」といった使われ方をしていますし、空間という軸に沿って伸びていくので「世界」「世間」「世帯」といった熟語にも使われています。
「世」は時空間的に広がりきった時空間ではなく、「世紀」「世相」といった言葉にも使われている通り、延伸していく動きを表しているようです。図で表すと「→」となるわけです。
「易は延なり」「易は移なり」という言葉があるように、易は時空間的な延伸を司る占いです。この伸びていく作用を利用して先を見ようとしているわけです。
「易」という漢字も「世」と同様に「→」という図で表現出来ます。
世爻を見出すときには上卦と下卦が同じにするまで爻の陰陽をひっくり返すという作業を行います。上卦と下卦が同じということは「区別がつかない」「混ざっている状態」つまり「混化」からスタートします。
混化を経た上で延伸が始まるわけですから、世爻は「🌀→」という記号で表現できます。
そうなってくると、「世爻」は「自分」や「主体」といったものではなく、「出来事の発端」「根」のようなものを表すと言えます。
にしけい