カサブランカに到着しました。
モロッコの首都はラバトですが、人口はカサブランカが最多で336万人が暮らします。
カサブランカは海賊や貿易が作ってきた都市で、モロッコにおいて最も経済を動かす都市です。
フランスから独立はしてはいるものの、フランスの影響をたっぷり受けて近代化がとても進んでいますが、旧市街があったりモスクがところどころにあったりとイスラムの面影が色濃く残っています。
アーケード街があって現代風といえば現代風なのですが、地面が剥き出しになっていたり舗装されていない場所がまだまだあって、インフラはある程度整ってはいるものの日本の60%ぐらいかなと思いました。
その理由の最たるものが交通です。確かに自動車はビュンビュン走っているのですが、圧倒的に信号機が足りません。
歩いていても歩行者用の信号機がないため、左右確認しながらダッシュで渡らなければいつまで経っても渡れません。
モロッコはタクシーが安い分利用はしやすいのですが、需要のほうが多く売り手市場気味でした。
僕も行きたい場所を伝えたところ4,5キロ離れているから嫌だとおじいさんのタクシードライバーに乗車拒否をされました。
タクシーの数が足りないから相乗りは当たり前ですし、自分の都合の良いところで下ろしたりもします。
観光客だからと言って平気でボリますし、メーターはあってないようなものです。
これだけタクシー運転手が好き勝手できるのは、やはり他の交通インフラが整備されていないからだと思います。
路面電車やバスもありますが、観光客が訪れるようなスポットの近くへは行かなかったり、本数が少なかったりします。
結構近代化が進んでいるから民度は高いかなと思っていましたが、フェズとさほど変わらず、むしろフェズよりもツンとしているような気がしました。
それでも街を歩いていたらたくさん話しかけられますし、道を尋ねると本当に親切に案内してくれます。
とにかくモロッコの人たちは陽気です。カサブランカはアフリカ大陸の北方にありますが、温暖で人々も気さくです。
そんなカサブランカの街を1人歩いて訪れたのが、中央市場(marche centro)です。
特産物の魚介類をはじめ、野菜、果物、お肉、香辛料、お土産品から、化石、、鉱石、アンティークなどもあります。
とりあえず、お腹が減っていたのでカサブランカに訪れた人ならだいたいが食べていると思われる10DH(100円)の生ガキを食べます。
その場でおばちゃんがカキを開いて、レモン汁をドゥワーッ!と絞ってくれます。
生ガキといえば、心配なのが食中毒です…。
市場も閉まりかけでしたし鮮度や衛生面に不安はありましたが、前回のブログで「毒は最高の薬だ」と豪語しておきながら
生ガキひとつ食べられないでどうすると自分を鼓舞し手のひらの上でドーンと横たわるカキを一気に口の中に流し込みます…
こ、これは…!!
これは、うまい!!
カキの甘みとエグミをレモンの爽やかさが強引に包み込み、強烈な味覚同士が口の中でぶつかり合い、海の香りが鼻から抜けるように流れ出ます…。
何よりも日本で食べる生ガキよりも、大きくて濃厚な味わいです…海のミルクと呼ばれる理由が納得できる生ガキでした。
それから気になっていた化石屋さんに行きました。
怪しげなおじさんが出てきて誰かに教わったのか日本語で「サンヨウチュウ10ディルハム」と言いました。
さっき一瞬で口の中に消えていった生カキと何千年以上も前の地層から掘り起こされた化石が同じ値段だったことに驚愕を禁じえませんでした。
この三葉虫が生まれ
細かい微生物や何かを一生懸命食べて
海の中を気ままに泳いで
恋をして、結婚して
上司に怒られて
取引先に頭を下げて
それでも家族のために必死にもがいてきた小さな光を噴火か何かの災害が襲い、家族と離れ離れ息絶えていった姿がそのまま僕の手の中にあると思うと
とても10ディルハムで買おうとは思えなかったのです…
(リュックの中がパンパンで入らなかったのです…)
そんなことを考えていると、いろんなところから猛烈に声をかけられました。
この市場には飲食店が立ち並び客引き合戦が 凄まじいのです。
各店の人たちに囲まれ腕を引っ張られます…しまいには「うちが先に声をかけたんだ」「彼はタジン鍋を食べたがっているからうちの店だ!」っぽいことを言い合っています。
教育実習の若い女学生の腕を引く小学生たちのように、とにかく僕を自分の店に引き込もうとします。僕は三葉虫のように固まってしまいました。
なんとか「wait! wait!」と叫びその場を去りました…カサブランカはこういうのはない街だと思っていただけに嵐のような客引きたちに引いてしまいました。
カサブランカの街は露天商もたくさんいました。
めちゃくちゃ脚が速そうなヒョロヒョロっとした黒人男性がアナと雪の女王の女児向けオモチャを言っていたり
その男性が似合いそうなナイキやプーマのイカしたキャップ帽を黒づくめのイスラムの女性が静かに地べたの座って販売していたり
ちょくちょく「それ本当にあなたのチョイスなの?」とツッコミを入れたくなるような似合わない商品を並べていて1人クスッと笑っていました。
本当はイスラムの黒装束の女性はいつもはアクセサリーとかを売っていて、 僕が通ったときはもしかしたら試験的にチームを組んでローテーションで商材を変えていたのかもしれませんね。そう考えるとなかなか先鋭的な取り組みです。
カサ・ボヤージャー駅から南の方へ20分ほど歩いたところにある地元の人たちが買い物にくるような通りが個人的にはおもしろかったです。
なぜかドアノブ屋がたくさんありました…そんなに消費されるものなんでしょうか…。
ここで食べた白身魚のフライはかなり当たりでした!
この満足感で5ディルハム(50円)は安い!
あとはジャガイモと小麦粉を混ぜて焼いたようなお好み焼きのような食べ物も美味しかった!
ほどよく効いた塩気とスパイスが食欲を促します。これは2.5ディルハム。
カサブランカの路上でよく売られている果物も食べました。
1個2ディルハムでその場でむいてくれました。種がたくさんあって柿90%りんご10%みたいな味でした。
喫茶店などで食べられるタジン鍋は700〜900ディルハムぐらい。カサブランカはフェズに比べると物価が高いです。
マトンのタジンです。ゴマが香ばしくて美味しかったてます。ゆで卵のプルーンと歯ごたえのあるナッツが入っていて、これは結構好みの味でした。
タジン鍋は野菜や肉の水分を逃さずに調理できるため、どのお店で食べてもお肉が柔らかくて美味しいです。
14時ごろになるといろんなところで仲の良い人たちが集まってひとつの鍋をつついて食事している様子が見られます。
あるグループに声をかけられ、マトンのクスクスをご馳走になりました。
なんか普通にモロッコはいい人もいっぱいいます。
モロッコはお金を取ろうと近寄ってくる人も確かにいますが、インドに比べて少ない気がします。
日本人という人種にまだ慣れていないのもあるのか、とにかく好奇心で声をかけてしまう人が多い感じがします。
声をかけて自分が何かしら返事をしたあとの対応が少したどたどしいがこの国の人々の可愛らしさというか素朴さだと思います。
モロッコはマイルドなインドに素朴さを足したような国だと思います。
旅は続きます!