令和5年の京都亀岡・出雲大神宮の粥占祭(よねうらさい)に参加してきました。
京都府亀岡市千歳町の出雲大神宮の粥占(よねうら)は、毎年1月15日に行われる小正月の奇祭で、小豆を混ぜた米を早生、中生(なかて)、晩生(おくて)を表す3本の竹筒を一緒の釜で炊き、筒に入った小豆が少なく米が詰まっているほど豊作とする。wikipediaより
前日の1月14日夜7時から祝詞を上げ、神域と化した台所で小豆入りの粥を炊き始めて、炊けた粥を竹筒に入れて放置。冷めたら竹を割って結果発表…という感じで、結果のお披露目は1月15日の朝7時です。お披露目の前にも儀式があり、この儀式は氏子代表者数名が参加して行われるそうです。
この朝7時から行われる儀式は「一般客にも公開されるものですか?」ということを確認するべく事前に同神社に問い合わせたところ、なぜか対応してくださった巫女さんから名前と電話番号を聞かれ「お待ちしております」と言われてしまい、なんかこういかなきゃいけない感じの雰囲気に…。
巫女さんから「お待ちしております」と電話で呼び出し(巫コール)をもらったらそんなの仏智(ブッチ)できないよなぁ…というわけで急遽京都に来ています。巫女の見込み客にしけい、明日朝5時に起きて儀式に参加するために寝ます…
— にしけい (西田 圭一郎) (@nishikei_) January 14, 2023
朝日と早起きが弱点の僕にとって早朝イベントは避けたいところでしたが、新幹線もホテルも順調に予約が取れて、タクシーも何の障害もなく迎えにきてしまい、こういう「よくわからないけれど、行かなきゃいけない系のイベントなんだな」と、途中で腹を括って神社に向かうことにしました。
どうしてこうなった?
午前6時30ごろに神社に到着しました…
早朝と言えど、あたりは真っ暗です…
長靴を履いて白い服を着たおじいさんたちがストーブを囲みながら楽しそうに談笑していて、宮司さんや巫女さんたちがいそいそと何かの準備をされていました…
電話で巫女さんから「本宮の前に集まりいただければ見れますよ」と教えて頂いていたので、本宮の前をウロウロしていろいろジロジロ観察します…。
何度か「儀式はいつごろ始まるのでしょうか?ここで良いのでしょうか?」と確認したり、中を見たそうな雰囲気を出していたところ、やはりここでも巫女さんから「中に入って儀式に参加されますか?」と。
京都新聞の記者の方と一緒に中に入って儀式を見学させてもらうことになったのですが…
これ、僕がいていいの…???
氏子の代表の皆様が参加されているのは分かります…
新聞社の方は取材のために中に入るのは分かります…
さっき初めてこの神社に来た黒い不審者が参加していいの…?
なぜかこういう「どうしてこうなった」という場面によく遭遇することがあるのですが、もう諦めて受け入れるしかないんですね…
祝詞斉唱の場面では、祝詞が初見すぎて小声で「うぁい、うええ、うわぁええい」と雰囲気で唱えたり、思いついたことをメモるのを我慢して儀式に集中しました…。
スーパー解説タイム
本宮から出ると、外は明るくなっていました。
粥占いの結果を見ようと、10人ぐらいの人たちが集まっていました…。
宮司さんたちと一緒に出てきたので関係者っぽい素振りをして出てきましたが、「すいません、みなさんと同じ一般客なんです…」という気持ちでいっぱいでした。(京都新聞の記者さん、儀式前に快く対応してくださってありがとうございます)
宮司さん解説要約
地元アイテム縛りでクラフトする
お不動さんで採れた木で火を起こし、境内に湧く名水・真名井(まない)の水を使い、神域で採れた竹を使い、名産の馬路大納言小豆と儀式のための特別な区域で収穫した米を使って準備をするそうです。小豆粥のレシピは秘伝らしいです。
5年前ぐらいから「占いってローカライズされて地元パワー使った方が当たるんじゃない?」みたいなことを書いていますが、ローカライズは資材調達のしやすさ以外にも、縛り(絞り)によって占いが当たるようになるというメリットがあるんですよね。
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▶︎占いは「インポート」よりも「ローカライズ」を重点的に。
▶︎[トルコ旅行記25] イスタンブールで占ってきました。
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神域と化した台所で小豆入りの粥を炊き始めて、炊けた粥を竹筒に入れて放置。冷めたら竹を割ります。このときに3本の竹筒を用意して「一、早生」「二、中生」「三、晩生」とします。
「早生・中生・晩生」は田植えの時期で、中生が例年と同じ、早生と晩生はそれぞれ前後5〜7日の田植え時期を示すそうです。
六壬神課の三伝(初伝・中伝・末伝)のように時期やフェーズで区切って占うのはいろんな占いで行われていますが、シンプルで分かりやすいですよね。ステップ数(境界数)が少ない方が感覚(直観)寄りになるので、宮司さんや判断者の力量が問われそうです。
米の白さ
米部分が白い方が水が潤い、小豆の赤色が染み込むと日照りが続くそうです。今年は昨年同様に白い部分が多く、水が潤沢に得られるため例年よりも出来が良くなるとのこと。日照りはないので安心してください…とのことです。
今年は早生と中生が同じぐらいで、晩生よりもやや良い出来になりそうなので、例年よりも5〜7日ほど早めに田植えすると良さそう。例年になくかなり美しいそうで、2年前は真っ赤になったらしく、すぐにご祈祷したらしいです。
3本の違いが顕著に出る年もあり、やや不安定な天候になるが、今年は差が少ないためとにかく良い感じ。
ご祈祷した竹筒を田んぼに刺すと質の良いお米が取れるそうです。
1本500円で購入できたので、僕も調子が悪くなってきたら両肩に刺してみようと思います。
お酒造りと関係あり?
この竹を使うスタイルの粥占は数百年続いているそうです。「粥占=酒造り」と関係があると勝手に予想しているのですが、丹波大石酒造さんは元禄時代(1680〜1709年)に亀岡の豊かなお米を使ってお酒作りを始めているようです。
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▶︎【お粥のカビで占い・仕込み編】にしけいの粥試し・令和五年
出雲大神宮自体は西暦709年に造られたそうなので、粥占は途中から始められたのか、当時から何かしら天候を占ったりしていて米作りに転用したのかは謎です。宮司は数百年(300年ほど?)とお話されていたので、酒造り開始と同時ぐらいに始まったのかな…と予想しております。300年でもデータ蓄積量としてはすごいことですけどね。
ちなみに帰りのタクシーで運転手のおじいさんに「亀岡のお酒で美味しい銘柄はありますか?」と聞いたところ、「俺は亀岡の酒は飲まへん!酒は他の県の酒のほうが美味い!今はお酒作るよりも水をそのまま出したほうが(楽に)儲かるんよ」と豪語されていて…か、亀岡は素直な方が多いんですねぇ^^
なぜ竹を使うの?
今回見学させて頂いた出雲大神宮の粥占いを大まかに分類すると「混ぜ混ぜ系・筒型」です。
「なぜ竹を使うのか?」という質問をしてみたところ、「竹は神聖なものだから」とのことでした。
単純に近くで竹がたくさん採れたからでは…?と思いましたが、「竹の神聖性」というテーマについては他の記事でまとめたいと思います。
当たるの?
大変失礼かなと思いながらも、気になったので「占いは当たるのですか?」と質問したところ、数百年続いているが「当たり続けている」とのことでした。
他の神社でも「占いは当たりますか?」と質問していますが、今のところどの神社でも「当たります」という回答です。
実際に粥占いで日本経済を占ってみた感想としては、なんかマズそうな結果が出ても「ご祈祷」によってフォローできる神社はズルい(羨ましい)なと思いました。
トルコのコーヒー占いもそうですが、占い結果とおまじないがセットになってる占術は結構仕組みとしてはよくできているんですね。おまじないだけよりも、占いだけよりも、両方セットのほうがありがたみが増すシステムなんですね。
「予測」と「改善案提示」って非常に相性がいいんですね。現代でも優秀な営業マンも「問題提起」と「改善案提示」をすると、何かの本で読んだことがありますが、このスキームは何千年も前から使われているのかもしれません。
新聞デビューしました
京都新聞の記者の方から「多分新聞に載りますよ」と教えていただき、端っこのほうに写り込む程度かな…と思っていたのですが…
結構ガッツリ写っていました…
テレビデビューのときは犯罪者(プロパガンダ)扱いだったので、新聞デビューは穏やかに地方欄に載れてよかったです…
毎回いろいろ問題が起きるので、あんまり僕を公共の電波や刊行物に載せちゃだめなんですね…
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▶︎手相プロパガンダにしけい(モンゴル旅行記201905その2)
重ね重ねになりますが、こんな僕を快く受け入れてくださった出雲大神宮の皆様、京都新聞の記者の方、ありがとうございました。
にしけい
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