現状を変える方法の選択肢を広げるための思索

 

「現状を知る」「先はどうなりそう」の次に出てくる「どうやって現状を変えるか」という課題。

さまざまなご相談を受ける中で、これは常につきまとう課題です。

今回はこの「どうやって現状を変えるか」という課題に対する、僕なりのアプローチの模索を書いていきたいと思います。

ちょっと長いので今回は目次をつけます。興味がありそうなキーワードから拾って読んでくださってもOKです。

催眠術・催眠療法
洗脳・心理学・NLP
催眠術の仕組み
無意識は現象に現れる
何を使ってその気にさせるか?
場を使ったイメージ改変
デザインによるイメージ改変
存在そのものによるイメージ改変
再定義系占いの意義
リブランディングと依存
違和感を作る必要があるのか?
どうやって現状を変えるか?

 

催眠術・催眠療法

 

アプローチとして催眠術というものがそのひとつの答えになるうるのではないかと考えた時期がありました。催眠術というととても怪しい印象があるのですが、後述するように催眠術の仕組みを応用したものはそこらじゅうにありむしろ普遍的であることに気がついてからはそこまで特別なものだとは感じなくなりました。中途半端に知ったり、一面的な部分しか見えていなかったりするとどうしても「怪しい」と思ってしまいがちですが、占いと同じでその仕組みや考えはわざわざそれを切り取って際立たせなくてもいろんなところに存在していることに気がつきます。

 

洗脳・心理学・NLP

 

人の行動を変える方法に洗脳・心理学・NLPといったものがあります。これらの言葉を並列の書き方をするとこれらに携わっている方々に「一緒にするな」と怒られるかもしれませんが、僕が「どうやって現状を変えるか」という方法を模索したときに、催眠術の次に踏み込んだ領域としてのただの記録として捉えておいていただけると幸甚です。これらの書籍などを一気に読み漁ることで「仕組み」の共通項を見出すことができました。それは「情報」による「イメージ」および無意識への働きかけです。

 

催眠術の仕組み

 

僕の中でイメージしやすかったものが中山 正和氏の Human Brain  Computer(HBC)モデルというもの。ちょっと情報としては古いのですが、フロイトの氷山モデルの「表層意識-無意識領域」をより細分化したものだと思っていただければわかりやすいと思います。情報とイメージの接続を利用して人の行動を変えるものが、催眠術やNLPのアプローチ。コーチングも近いかな。非常に人間的。サルの部分を情報でコントロールするというもの。もちろん直接無意識のイメージに働きかけるものもあるけれど、どうしても人間は「社会性」という仮面をつけているので、無意識へのアプローチのためにトランス状態にしたり、言葉を使って誘導したりして仮面をはずしてアプローチする。この仮面を飛び越えた無意識へのアプローチの方法はたくさんあります。アファメーションとかお経とか祝詞とかも、それに近いかもしれません。もっと一般的なところだとセックスとかスポーツとか没頭するとか。いろんな方法で仮面を破壊して無意識領域にアクセスします。麻薬やドラッグやアルコールも同じような効果はあるのでしょうけれど、「リブランディングと依存」の項で詳説しますが、少し違ってきます。化学物質の吸引によって行動が変化するのはフェロモンとか香水とかもあるし、依存というと誰も何かしら依存する要素があるのでこれらを全面的に否定する項目ではありません。

話がそれてしまいましたが、人の行動を変えるには「無意識を変える」が必要になるわけです。その際に重要になるのが「イメージ」と「刷り込み」です。

 

無意識は現象に現れる

 

手相や家相や墓相といった相術を研究する中で、「言葉」と「実態」のチグハグ感に気づくことがよくありました。口では「恋人が欲しい」と言っているけれど、そこに現れてくる「相」は違うのです。もっというと「現象」です。この現象に着目するようになったのは、種々の占いに存在する「象意」という概念です。僕は気学の象意から入りましたが、最終的に現象に着目したほうが情報や言語や概念といった人間が論理的に後付けした「仮面の部分」と齟齬が少ないなという考えに至りました。この経緯は気学実験私見録にまとめてあります。表層的なものにとらわれているとどうしても無意識へのアプローチができません。仮面の部分に話しかけてそれっぽいことを言っても、やっぱり無意識まで届いていなかったりします。あとは仮面の部分を見て「あの人はこんな人だ」とか「あの人はこんなことを考えているはずだ」と言っても、あんまり意味がないんですね。その人の一部分ではあるだけど、あくまで一部分というか。だから「悔しい」「悲しい」「楽しかった」といった「言語化された感情」というものもどこまで本当なの?と疑ったりもしてしまうわけです。苦痛に顔をゆがめ涙を流しながら「楽しいな」と言っても説得力がないわけです。それで無意識は行動や現象(相)に現れるので、これはけっこう我ながら気学・象意・現象を見るという流れは悪くなかったのかもしれないと。(といってもそこにいかざるえなかったのですが)

 

何を使ってその気にさせるか?

 

結果を変えるには「イメージ」を変える必要があります。このイメージを変えて「その気にさせる」必要があるわけです。冒頭に説明した催眠術やNLPなどは言葉を使ってイメージを変えていきます。アファメーションとかはトランス+イメージチェンジなので唱える系はかなり効率いいんですよね。過去に某宗教団体の洗脳部屋を見学したことがありましたが、あれはやっぱりめちゃくちゃ理にかなっていたなと思います。使い方はさておき、無意識の内部にある「イメージ」を書き換えるわけですから、ジョジョの奇妙な冒険第四部の岸辺露伴のスタンド「ヘブンズドアー」はまさにこれに近いなと思います。ヘブンズドアーは対象者を漫画に変えて、その中身(個人情報)を読むことができるのですが、情報を書き換えたり書き加えたりできる能力です。「イタリア語を話せる」と書かれると、本当に話せるようになる。これとイメージチェンジは全く同じなんですね。イメージが形成されれば、それが実現するようになって現象化するんです。となると「相術」の相はイメージそのものを直接見ている占いになります。(正直占いというよりも観察体系のひとつとして考えてます)

 

場を使ったイメージ改変

 

このイメージを変えて「その気にさせる方法」の中には「言葉(情報)」以外のアプローチもあります。

例えば、家相や地相ではその土地や建物の場のイメージを使っていると言っても良いかもしれません。風水も完全にイメージの刷り込みを応用しています。空間に加えて時間も使っています。座標(場)を使ったイメージ改変の方法と言えるでしょう。もちろんここに「行動(動作)」も合わせるので、天(時)+人(動作)+地(場所)を合わせてイメージ改変を行っているわけです。たまに「もしも自分が今と違う家の子に生まれていたらどうなっていただろう」とか「あのとき違う学校に進学していたら」といった「もしも」の妄想をするかもしれませんが、あればまさに「場が変わることで結果が変わるだろう」という前提があります。生まれる場所、時期、タイミング、これらが形成する「イメージ」は変わります。地相や家相や風水は時空間や場を使った「その気にさせる方法」なんですね。

 

デザインによるイメージ改変

 

ここ最近デザインに携わる方々とやりとりをすることが多くて、その中で気づいたことがあります。それは「デザイナーも風水と同じことをしている」ということです。正直、店舗やイベントなどのプロデュースとかコーディネートって現代の風水師と言っても過言ではないと思います。視覚情報を使って空間のイメージを作り、人を動かして「その気にさせる」わけですから、風水は現代社会でも脈々と使われているわけです。例えばあなたがスーパーなどで手に取ったお菓子や商品のパッケージも、あなたに何かしらのイメージを与えているから「手に取る」という行動(結果)につながっているわけです。視覚情報から得る情報は多いですし、そのまま刷り込みになるわけです。例えば、朝起きて毎朝「カラスの死骸の写真」を見せられたらどうでしょうか。どんな日も朝起きるとその写真が目の前にあるのです。だんだん嫌な気持ちになっていきますよね?それがもし「自分の死んだときの顔」だったらどうでしょう。もっと「うっ」となるかもしれません。逆に自分が好きなアイドルや大事にしているものや人の写真を毎朝見せられるとどうでしょう。テンション上がりますよね?デザインは情報以上に無意識に直接アプローチできるのでかなり力があります。なので、デザインってすごい大事なんです。人間の75%ぐらいが五感で情報を授受しているらしいので、視覚情報を支配できるデザイナーというお仕事はやりようによっては世界征服も十分に狙えると思います。

 

存在そのものによるイメージ改変

 

話す・書く・描くといったアウトプットをしなくてもイメージを改変させる方法があります。それが「存在」です。例えば、2020年に志村けんさんが亡くなられましたが、人々へ与えた喪失感というかショックは大きかったと思います。その人物が「象徴(シンボル)」や「イメージの根底」にあったりすると、それが発生・喪失によってイメージが変わります。身近な人が亡くなる、逆に生まれる、新しい繋がりができる…といった「存在するかどうか」によってイメージが変わることもあります。なので、あなたも何もしていなくてももしかすると誰かのイメージ形成を手伝っている可能性が大いにあります。そうなってくると、イメージを作るという点においては催眠術やNLPは何も特別なことではなくなってくるんですね。もちろんその度合いや意図的に活用するかどうかといった違いはありますが、無意識内へのイメージ形成という点では同じことをしているわけです。

 

再定義系占いの意義

 

「自分の行動を変えたい」「自分の未来を変えたい」と思った時にとる行動のひとつに「再定義」という方法があります。「自分はダメなやつだ」というイメージを変えるために「自分はすごい人」と再定義し直すわけです。セルフイメージの改変です。これはけっこう無料占いなんかでもよくありますけど「あなたは◯◯な人です」と他者に再定義してもらうわけです。これは自分に自信がないときや、今の自分に対して嫌悪感が強いときには効果を発揮しますが、基本的には言語情報によるイメージ改変なので、仮面の下の無意識へのダイレクトアタックではない点に注意する必要があります。また、人は自分にとって都合の良い情報を優先的に集めるので、再定義されるものが「同じイメージ」だったりします。「会社の中ではおとなしくしている」という自分に居心地の良さを感じている人は「あなたは会社の中ではおとなしくしています」という情報を無意識に集めますので、再定義しても結局同じイメージを強めてしまう可能性もあるわけです。

 

リブランディングと依存

 

「再定義系の占い」を活用する上で「セルフイメージ改変」のために使うのか「セルフイメージ補強」のために使うのかを意識しないと、後者の場合依存度が強くなっていきます。

再定義系占いを、自分の再定義(リブランディング)のために使う人ってけっこう少ないんじゃないかなと思います。「手相から見たあなた」とか「◯◯座の人はこんな人」といった情報を知りたいときの多くが自己肯定感を高めたいときだと思います。もし本気で自分をリブランディングしたかったら、もっと居心地が悪い状態を作らなくてはなりません。

なので、多くが「居心地の良さを助長する」結果になりやすいです。頭では違うとわかっていてもやはり人間は「自分にとって都合の良い情報」を集めてしまいますので、それはしょうがないんですね。けっこう気合が必要になります。

雑誌やコラムなどで再定義系占いの記事がたくさん出ていますが、上手い人は占いがうまいというよりも文章がうまいなという感じです。ターゲティングもうまいのですが、文章の五感(具体)と六感(抽象)のバランスがうまいんですね。理論と感覚と具体的方針を絶妙なバランスで取り入れて読み手をくすぐりながら、最終的に肯定という着地点にもっていく。

わかりやすくいうとあなたを「肯定する材料」を理論・感覚・伝統といった幅広い面から提案することで「ほら、私っていろんな面から見てもこうでしょ」と思わせる力があるわけです。

注意しなければならないのは、リブランディングのためにこれらの情報をインプットするのであれば「行動」や「現象」が変わってきますが、実際は「居心地の良さを助長するために用いられる場合が多い」という点です。砂糖のように一時的は快楽や快感は得られます。しかし、特にそれによって現状は変わらないので、何度もそれを渇望するようになります。青信号をずっと眺めていたい人は押しボタンを押し信号が青になったあとも横断歩道を渡ることはないでしょう。渡ってしまったら青信号が見えなくなるわけですから、何度も押しボタンを押して渡らずに青信号を眺めています。

確かに、自分に自信がないときやうまくいっていないときはセルフイメージを変えるために再定義系の占いを用いるのはありだと思います。「よし!私はうまくいく!来月はうまくいく!彼に告白する!」と思い実行動に移すことができれば良いでしょう。しかし、そうでなければあなたをその場で動けなくする「重り」になっていく可能性が高いのです。

 

違和感を作る必要があるのか?

 

冒頭に述べた催眠術を習おうといろいろ検索しましたが、僕が言うのもアレですけど、催眠術師と名乗る人って怪しい人多いですね(笑) もし僕が催眠術を習得したとしても自分で「催眠術師」とは名乗らないと思います。それはこれまでに説明したように催眠術の仕組みが実は特別なことではないということがわかったからです。もうひとつは、娘の小学校で「お父さんとお母さんについて調べたことを発表しましょう」という宿題があるらしいのですが「私のお父さんは占い師で催眠術師です」なんて発表したら、他の子達からの娘のイメージが心配になりますから、催眠術師とは名乗らないと思います。

とは言いながらも、催眠術の世界は調べれば調べるほど興味深い世界でして。個人的にミルトン・エリクソンという催眠師がすごく好きでして。わかります?そうなんです。彼は暇さえあれば誰にでも催眠を試みようとしたという日常と催眠が同化した変態性がすごく好きなんです。ミルトン・エリクソンの催眠は「いかに自然にトランスにもっていくか」という「違和感のなさ」が特徴的なのです。もし街で彼に会ったら僕も彼の術中にハマっていたと思います。自分は催眠術師ですって名乗らなくても催眠術をかけることができれば催眠術師ですし、むしろ「催眠術師です」と名乗ることは催眠を進める上で警戒心を与えるので、逆効果なんじゃないかと思うんですよね。

先述したように「その気にさせる」方法はいろいろありますが、その中の「言葉」ってやっぱり一番高度だと思うんですよね。もちろんその分、成功した時の着地点の精度も高いと思うのですが、エリクソンの入門本にもあるように「成功率」を高めるなら古典的な「言葉に違和感を与えるようなやり方」はちょっとどうなのだろうと思います。先述した「再定義系占いの文章」のテクニックもそうですけど、なるべく相手の居心地の良いゾーンに入るというのは、違和感を与えにくいので、無意識にアプローチする上ではいいんですけどね。親しみやすさって占いをする上でも催眠をする上でもけっこう重要なファクターだと思いますし「自分は特別だぞ!」ってやっちゃうと逆にうまくいきにくいかもしれません。

 

どうやって現状を変えるか?

 

まとめ切ろうにもまとめられなくなってきました。すみません。

それぐらい「どうやって現状を変えるか?」というアプローチはいろいろあって、これらを組み合わせて自然に気づかれずにやるか…が大事だと思います。

「自然に気づかれずに」という点では、自分が一番自然体にやれるアプローチがいいと思います。これはセルフイメージを変える時も同じです。ひとつの方法じゃなくて、いろいろな方法を試してみる。自分がもともともっている要素をフックにそこからアプローチしても良いでしょう。試行錯誤しているうちに少なくとも「現状を変えようとしている自分」というセルフイメージができてくるので、自然と変わってくるでしょうね。

そういう意図をもって行動していたらスルスルっと変えてくれる人が現れたりするので、そういうタイミングがきたら、誰かに任せてみるというのもひとつの手でしょうね。

いつも文章のオチを任せっぱなしにしてしまい、すみません…

 

いってきます!

 

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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