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いろんな人に会っているとポツポツこういった連絡がきます。あるときはモノだったり、あるときはサービスだったり、あるときは買ったり、あるときは断ったり。
マッチ売りの少女のように「買いませんか?」と声をかけられて「営業された」と感じて嫌悪感を感じてしまう人と「応援したいし買おうかなー」と感じてしまう人がいます。この「差」は何なのか?行為としては同じなのに感じ方と結果が180度違う。この分岐点を司る要因は何なのか。「売れる」「売れない」の差って何なのか。
こういった違和感を追及していくことで新たな発見がありますので、今日は「売る」ということについて考えていきます。
「売り買い」の中の要素を整理してみます
「商品」「売る人」「買う人」要素としてはこの3つです。非常にシンプルです。
そしてそれぞれに「理性」と「感覚」の側面があります。
■商品
理性…頭で考えてあったほうがいいと思うもの(効用・機能的価値)
感覚…好きか嫌いか(本能的価値)■売る人
理性…効用や機能に価値があることを示す(効用・機能的評価)
感覚…売る人自体が好きか嫌いか、信用できるか(本能的評価)■買う人
理性…効用や機能的価値を評価して購入する人(理性で購入)
感覚…商品や売る人を好き嫌いで評価して購入する人(本能で購入)
例えば「きゃりーぱみゅぱみゅのライブのチケット」は「商品(感覚)」を軸に選んでいることが多いはずです。チケットを「売る人」は誰でもよくて、むしろ「お金を振り込んだのにチケットが送られてこない」といったことを考えるなら売る人は「売る人(理性)」の方が満足と安心が得られるかもしれません。
これが学園祭の高校生バンドのライブチケットなら「売る人(感覚)」で選んでいたりするかもしれません。
このような感じで「商品」「売る人」「買う人」には「理性」と「感覚」が入り交じりながら取引が行われています。
「商品(理性)」と「売る人(理性)」
商品の性質は固定的です。もちろん可変性はあります。保険のAプランをBプランに変更するような可変性です。しかし、限度があります。生命保険に加入しても誰かと連絡を取り合うことはできません。誰かと連絡を取り合うために多くの人たちがスマホや電話を契約します。
生命保険にもスマホにも「できること」の範囲が決まっています。そういった意味で固定的なのです。万能なものはありませんので「商品」を「理性」で売るときには必ず制限があります。
しかし、この「機能の範囲」がマッチすれば購買意欲につながります。そして「売る人」のお仕事は「買うことで得られる効用や機能」を買う人に伝えます。
場合によっては「商品を並べるだけ」で売れることもあります。それはなぜかというと「買う人」が「効用や機能」を勝手に想像するからです。
「買う人」がその効果機能の価値に気づけさえすれば良いので「売る人」が何も伝えなくても「購入」につながります。これはAmazonなどの「オススメ商品」に近いと思います。
つまり「売る人」が不在でも商品は売れます。無人の野菜売り場みたいな感じです。買う人が勝手に「農家さんが作ったキュウリ美味しそうだな」と想像したり、機能を認知している場合売れます。
しかし、無人野菜売り場に「プマペック 150円」と書かれた野菜が並べられていたとき、それは売れるでしょうか。
あなたはプマペックを食べたことはありますか?調理したことはありますか?
そうです。機能や性質を認知していない商品には説明が必要になります。得体の知れない野菜を買ってみようと思う人は少ないはずです。
プマペックの横に「高知県で採れた白菜に似た野菜で、炒め物や浅漬けにすると美味しいです」と書かれていれば「買ってみようかな」と思う人が出てくるかもしれません。
もちろんプマペックは僕が勝手に作り出した架空の野菜です。「売る人」がちゃんと「機能」や「効用」を説明したから売れるパターンです。この場合「売る人」は宣教師に近いです。情報を与える。これがお仕事になります。
ところで、今あなたの身の回りにあるものはプマペックのように「得体の知れないもの」はありますか?
「機能を全く認知していないもの」を身近に置くことは恐怖でしかありません。マリオのブロックのように「?」が書かれた箱が家にあるのです。怖くて近づきたくないです。人間は未知に弱いです。もちろん一部の人間は未知が好きなので、得体の知れないものにも手を伸ばすかもしれませんが、多くの人々にとって「未知=恐怖」なのです。
なので多くの場合が「機能や性質」を理解したものやサービスを購入し使っているはずです。もちろん完全に認知しているとは限りませんが、可能な限り認知して「安心」したから買っていると思います。
そしてこれだけネットが発達した世の中で「機能や性質」に関する情報は溢れかえっています。ちょっと検索すれば機能や性質の情報が出てきます。つまり「売る人(理性)」の仕事は限りなく少なくなってきていると言えます。
もちろんネットに出ていない情報もたくさんあります。公になっていない「使い方」がある商品もあるでしょう。そういった情報をもっている「売る人」の価値は高まります。しかし、商品の機能に限界がありネットの普及で「売る人」の数は増え続けるので「売る人(理性)」は「商品」を変えない限り飽和し限界に達します。
「ハンガー」を「売る人」が増え続ければハンガーが売れるかというとそうではありません。ある程度の地点で淘汰されていきます。もちろん商品が同じ「ハンガー」であれば、です。
創造するか本能に訴えかけるか
ではここで「売る人」が取りうる戦略は2つあります。
「商品」を開発するか「本能」に訴えかけるか、です。
今までにない機能や効用をもたらすサービスやモノを作り出すことを「開発」と言います。
世界はサービスやモノが溢れかえっていますので、正直自分が「あ、これすごい新しい大発見だ!」と思うものでも、世界中には同じようなことを考えている人がいっぱいいますので「比類なき商品」を開発できるのは0.0000000000001%以下だと思います。「商品の機能としては」です。
「売る人(理性)」と「商品(理性)」では「差別化」は図れない…。
となると、今度は「好き嫌い」です。
「好きな商品」「好きな売る人」になれば限界はありません。
好かれる商品はどうやって生まれるか?
これから何か商売を始めようと思う人はまず「好かれる商品とは何か?」を考えてみてください。
これは「言語化」できないところまで「理由を突き詰める作業」をすることが大事です。
あなたが何かを買うときに、機能や効用で選んでいるものもあると思いますが、似たような機能や効用をもつ「競合」はたくさんあったはずです。
例えば、僕はスタバの白いタンブラーを使っていますが、コーヒーを入れて保温しておける機能効用をもつ商品は他にもいっぱいあります。保温性という点においては象印の水筒の方が優れているかもしれません。しかし、僕はこれを選びました。ここに「好き」や「嫌い」の正体があります。
「自分が好きだと思うもの」を集めたり、作り出すことができれば自分と「好き嫌いの感覚が近い人」には選んでもらえる確率が高まります。つまり「機能」に自信がないのであれば、いっそ機能を捨てて「好き」に特化した商品を取り扱うのです。
「商品のファン」とは「効用や機能以外の部分でその商品を評価している人たち」なのですから、頭で考えるより本能的な「好き嫌い」を主軸に商品を精査した方が売れる可能性が高くなるのです。
これは次に説明する「売る人(感覚)」に直結してきます。
好きな人だから買う
僕が冒頭で「営業を受けた」と感じてしまった理由は何だったのでしょうか。
その理由がこの「売る人(感覚)」にあります。単純にその商品を提案した人に対する「信頼感」や「好き嫌い」という評価軸で「買わない」と判断したのです。
特に「無形商品」は「機能」や「効用」が曖昧な部分があります。僕がやっている占いの教室も無形商品です。そして、僕が言うのもアレなのですが「教室開講のお知らせのページ」には正直そこまで厳密に説明がされていません(すみません)。
「この講座を受けるとどうなる…」といった効果機能を事細かく説明をしていないのです。それでも数ある占い教室の中から選んでくださる方たちがいます。
これはおそらく「買う人」は「感覚寄り」なのではないかと推測しています。もちろんある程度、効果効用についても説明してはいるのですが「占いを習う」「占ってもらう」ということに関しては「機能や効用」よりも「その占い師さんが好きか嫌いか」によるものが大きいのではないかと考えています。
特に誰かに何かを相談するときは「信用できる人」にするはずです。プマペックのように得体の知れない人物には相談しません。
有形・無形問わず「好きな人」「信用できる人」から買いたい…。
つまり、これから「何かを売ろうとしている人」はまず
□比類なき商品を開発する力(お金・時間・アイディア)をもっている
□新たな商品の機能を情報をもっていてそれを伝えることができる
という2点を確認してください。
そして、どちらも自信がない場合は
□自分が好きなものやサービスを集める・生み出す
□商品の「好きなところ」を伝える(共感性)
□信用を得たり好かれる工夫をする
これを実践していくことで売り込まなくても売れるのではないかと思います。逆に言うとこれは「知識」や「情報」がなくても好きになってもらう、信頼してもらうことができれば「売れる」ので、やり方によっては誰でも売れる人になれるということです。
もちろん人は「理性」と「感覚」の総合評価なので、どちらか一方だけで選んでいる…ということのほうが少ないですから、「売る人(感覚)」だけになればいいということではありません。
どちらも必要なのですが、機能や効用が「似たような商品」があるとき、決め手になるのは「売る人(感覚)」になる…というお話です。
ゴリゴリ営業苦手にしけい
あれやこれや偉そうなことを言っておりますが、僕自身「ザ・営業」というような「売り込む営業」や「戦略を立てて売ること」が苦手です。
なので、Youtubeの動画でも「チャンネル登録お願いします!」と言えずにいます。だって、本当にいいなと思ったら自然とチャンネル登録しますし、自然と「いいね」をすると思います。
僕はみんな勝手にやればいいと思って生きています。勝手に自然に生きている方がゆがみがなく美しくて、スムーズだからです。これは僕自身が「売る人(理性)」をやろうとして頑張った時期があって、いろいろ失敗して痛い目を見た結果です。
もちろん「売る人(理性)」が向いている人もいると思いますし、そういう人から「買う人(理性)」もいると思います。でも、僕には向いていませんでした。それだけなのです。
そして、今後おそらく「売る人(理性)」のお仕事が減っていきます。
となってくると、プマペックのように「得体の知れない売る人」と「人柄が認知されている売る人」に「差」が出てきます。つまり情報発信したり、こまめに連絡を取り合っている人の方が有利になります。
というこの記事は僕の営業戦略のひとつなのです…!ハッハッハッハ!!
と高笑いできればいいんですけど、普通にブログを書くのが好きで、冒頭のように「もやもやしたこと」の正体がどんなものか知りたくて、それを書き留めておきたくて書いてます。
「売る」「買う」って何だろうね。みなさんも一緒に考えてみてね。
にしけい