「小商いのはじめかた 身の丈にあった小さな商いを自分ではじめるための本」伊藤洋志監修/風来堂編
この本を8人ぐらいに勧めて5人ぐらい「買って読んだよー」という報告をもらいましたが
読む人によっては売価1400円以上の価値が生まれる本なんじゃないでしょうか。
何か商売を始めたいという人にオススメの1冊
自分も今年の1月に開業届を出して自営業を始めたんですが、実際開業届けを出すのって「意外と大した事ないな」といった感じでした。
でも大事なのは何をやって利益を得るかという「中身」の部分。
僕の場合は「占い」があっての「開業」だったから「何を仕事にするか」っていうのはそこまでエネルギーを使わず見つかったけど
「何かやりたいけど、何から始めたらいいかわからない」という人にはオススメの一冊。
たわいもないことから始まる
「自営業」「商売」とかってすごい仰々しくて、ハードルが高いように聞こえるけど
この本で紹介されている商いをしている人たちからはそんなことをあんまり感じない。
だいたいの人が「あったらいいな」とか「遊びごころか生まれた」とかそんな軽い気持ちから商いが生まれている。
はじめから「商い」をしようと思わない。それが商いが長続きする鉄則なのかもしれない。
「ターゲットは必要ない」
僕が感心したのは、料理の作り方を歌に乗せて音楽活動をしているDJみそしる&MCごはんさんの
「おいしいものにターゲットは必要ない」という言葉。
以下引用。
一見、ニッチなところを狙っているように見えるDJみそしるとMCごはんの活動だが、特定のターゲットはないという。
「テーマを発表したときに、多くの先生から『ターゲットは?』と聞かれたんですが、おいしいものは、みんなのものです。だからターゲットは必要ないと思いました。
(中略)
性別・職業・年齢を越えてみんなが楽しめる。むしろ送り手がターゲットを定めて人の購買意欲や好みをコントロールすることに違和感がありました。
そうなんですよね。
確かにターゲットを明確にすることは大事なんでしょうけど
始めからターゲットを絞っちゃったり、決め決めにしちゃうと、そこに「寄せていく」必要があるからエネルギーがかかるし
「本当にやりたかったこと」に不純物が入っちゃうというか、媚びてしまって自分が作りたいものが作れなかったりとか。
そういうのを気にしだすと何のためにやっていたか、何のためにそれを始めたのか分かんなくなって
嫌になっちゃって、結局長続きしなかったりするんですよね。
公園でやるお父さんとのキャッチボールに肩の力はいらない
楽しくて始めたことなのに「見られちゃうこと」とか「お金につながる」とか気にしだすと
肩に力が入っちゃって、あらぬ方向へ行っちゃったり。
もちろん見られること、お金につながることも「楽しめる」ならそれでいいんですけど
それが目的の7割ぐらいになっちゃうと途端に面白くなくなってしまう。
僕も何度かそれが理由で「占いやめようか」とか「このまま続けてていいのかな」という葛藤があった時期がありました。
「好きなこと」と「お金」との折り合いを付けるのって結構苦労するんですけど
そもそもそういう悩みが発生するときって「お金が目的」っていう感情が強いんですよね。
お金の先に何かある人は強い
お金を目的に頑張る人はお金が目的だから、お金がある程度手に入ると「しょうもない人」になることが多々ある。
あれーこの人、前はもっと目がキラキラしてたのになー、とか。
覇気がなくなるというか。やたらと人と集まりたがったり、同じような過去の武勇伝を話すようになったり、未来の話をしなくなる人が多い。
なんかそういうのも含めて「稼ぐこと」を目標に何かやっちゃうと、発想が硬くなるというか、縛られやすいんじゃないかなと思うわけです。
同じ著者が書いたナリワイをつくる:人生を盗まれない働き方も結構グググっと踏み込んだ話が書いてあって面白かったです。
サラリーマンとかOLやってるけど、なんかもっとおもしろい生き方ないかなぁ…って人にオススメです。
にしけい