墓相を勉強していて思うのが「すべてのものには終わりがあって当然」という原理です。終わりがあるから始まりがあって、終わりがあるから新しいものが生まれていく。
一休禅師も「生まれたものは全て死ぬべきである」ということを伝えるために
親死に 子死に 孫死に
という言葉を残しております。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらわす
なんて平家物語でも言っておりますけど
死ぬべきものはきちんと死ぬ。
墓相の極意はここにあるような気がします。
不自然な存在プラスチック
以前、こんな記事を書きました。
【5分でわかるバイオマス・生分解の違いと実情】もっとも環境負荷が少ないプラスチック材料は?
バケ学の有機合成をカジッていた身としては高分子(ポリマー)の寿命は異常で
この盛者必衰のことわりに少し反するところがあります。
LLDPE(直鎖状短鎖分岐ポリエチレン)をはじめ
プラスチックの原料メーカーってエグいものを開発して、バンバン加工屋に売り込むのがうまいんですよね。
便利になるし経済はまわるんだけど
環境や人間の気持ちのことを考えると「終わらないもの」が普及するというのは
なんだかなぁという気持ちがあります。
分解する技術
そんな中でも、分解してきちんと「終わらせる」ことができるプラスチックも出てきます。
そもそも、プラスチックが「終わる」までにどれぐらいかかるのか…
自然界で人工物がどれぐらいで分解されるかをまとめたページ。
ペットボトル…450年…。
江戸時代にペットボトルがあったら、今も形状を保っているってことですよね…。
そのペットボトルを分解する技術が見つかった!というニュースです。
【PETを分解して栄養源とする細菌を発見】
(PETもエステル結合系のポリマーなので理論上分解するんですけどね)
あとは、PE(ポリエチレン)を食べて分解させる生物がいた!ということもニュースになっています。
【プラスチックを食べる虫を発見!ゴミ処理には疑問】
ポリエチレンは分解酵素が見つかっていますが、実用化に至っていないのが現実です。
汎用されすぎてて効率的な分解が追い付かないんじゃないかな…。
天然ガスも石油もまだまだバンバン出るからなぁ…。
全部ゴミ処理するにはブドウ虫が何兆匹と必要になって、虫だらけになってこれはこれで問題になりそう。
食料問題も解決するんじゃないかと言われるシマミミズも
生分解性プラなら食べられるんじゃないか…という話もあるそうですが、これも実用化には至っていません。
【シマミミズ販売】
終わりがあるから始まりがある
ナチュラリストではありませんが
「あるべき場所に還る」というのは、大きなサイクルの中で最も重要だと思います。
春が来て、夏が来て、秋がきて、冬がくる。この自然のサイクルがあるから
人間は豊かな生活を営んでこれたと言っても過言ではありません。
このサイクルがうまくまわらず農作物がとれず、飢饉や飢餓に陥ったり、争いが起きたり。
仕事と一緒で流れやテンポが崩れるというのは非常に、人間やりにくいものがあります。
回転して、循環するから、何かが生まれる。
その循環が生まれるためには必ず「終わり」がなくてはなりません。
きちんと「終わらせる」ことが出来る人は、逆にどんどん新しいものを生み出すことが出来ます。
飽きる、忘れる、諦める、ふっきれる、というのは人間を前進させる上で非常に重要な機能です。
終らせることは全く悪いことではありません。
モノも心もきちんと「終わらせて」次の世代のために新しいものを創り出せるといいですよね。
にしけい