僕が受けるご相談の中で、おそらく最も多いテーマが「家族に関して」だと思います。夫婦・親子・兄弟・親戚・恋人・結婚・離婚・相続・土地・引越し・建物など。
様々な形で家族に関するご相談があり、お仕事や経営面でのご相談だったとしても、最終的に家族の話につながる場合もよくあります。
僕は「なぜそのようなことが起こるのか?」ということが気になります。「誰か一人」を悪者にしても、何も解決しない場合が多いですし、一時的に「原因と思われる現象」を取り除いたとしても、また同じような出来事が起きることが多いです。「そのような出来事」が起きる背景が知りたいのです。
その結果、僕は家系やお墓といったものに着目するようになりましたが、家系図や系譜を辿っていくと規則性や傾向が見えてくることがわかってきました。
三世代にわたって同じような職業を選ぶ家系、特定の年齢で結婚や出産を繰り返す家系、同じような病気を繰り返す家系など…。最初は偶然だと思っていましたが、あまりにも明確なパターンがあることに驚かされると同時に強い興味が湧きました。
誰か一人ではなく、単位として考える
なぜこのようなことが起きるんだろう?「そうなる」のはどうしてなんだろう?
その答えを探している時に出会ったのが、アメリカの精神科医マレー・ボーエンが開発した「家族システム理論」でした。この理論は家族を単なる「個人の集まり」として見るのではなく、「自然に発生した生命システム」として捉える考え方なのです。
ボーエンは元々、統合失調症の患者の診療をしていましたが、患者個人だけではなく、家族も一緒に観察するようになりました。すると、興味深い法則を見い出したのです。
彼の理論の「人間は自律性は思ったよりも弱い」という前提のもと成り立っており、「偶然」や「個人の選択」だと思っていることの多くが、実は家族システムの中に自然に発生する「多世代伝達過程」の結果だと気づきます。
多くの人の選択やそれに伴う悩みは、実は何世代も前から続く家族のパターンの影響を受けているかもしれない…という結論に至ったのです。
例えば、「子供が勉強しない」とか「夫が妻に暴言を浴びせる」といった行動があったとします。ボーエンの研究では、こういった「問題行動」に見える行為を指摘すればするほど、それを助長させる…と結論づけています。
それはなぜかというと、「家族」というシステムが共依存関係にあり、特定に人物が特定の役割(しっかりしている、堂々と振る舞うなど)を担うと、それ以外の人物がそれとは正反対の役割(だらしない、おどおどするなど)を担うようになるのことで、「家族」を構成しているからです。
何度も言いますが、「人間は自律性は思ったよりも弱い」のです。家族という最も小さく、最も高密度な人間関係において、人間の行動・思考・感情は自然と「家族」という場の影響を強く受けているのです。
家族って何だろう?
彼の著書を読んでいると、「家族」とは何なのだろうかと改めて考えさせられますが、彼は明確に答えを出しています。家族とは単なる血縁や婚姻関係や住民票などの書類上のつながりではなく、「継続的で密接な相互依存関係」を形成している集団単位であると定義しています。
なので、広義の意味では「長期間所属している会社」や「長期間所属している共同体」の中でも「家族」と呼べる関係になっている人たちがいる可能性があります。そして、ボーエンはこの「家族」というものはあくまで「相互的情動反応」が発生する「場」であり「システム」であると述べています。
つまり、会社や友人関係においても、相互依存関係にあれば「家族」であり、相互に影響し合い、自分の考えや行動ではなく「誰かに合わせた行動」を自然に選んでいるのです。
ボーエンは家族が作り出す「隔たりと近接の周期」のようなものがあると述べており、それは予測可能なぐらい統制が取れている…とも述べています。「離婚したい」「家族が嫌になる」という時期があったかと思えば、「今は落ち着いている」「そこそこ仲がいい」という状態を周期的に繰り返している人もいますが、これも「家族内の相互依存状態」を観察することで見えてくるようです。
ボーエンによる家族システムと家系の話1
ということで、このボーエンによる家族システムの内容をご紹介しつつ、僕が家系や家族を観察する上で見えてきた規則性や法則を説明する講座を開講いたします。
・特定の家族に同じようなことを言っている
・家族内で前も同じような出来事が起きた
・人間関係において同じようなことを繰り返している
・自分は今後一人で生きていく気がする
・なぜか同じような人ばかり好きになってしまう
・自分の行動や言動に疑問を感じる時がある
といった人には、何かヒントになる講座かもしれません。
「家族評価 ボーエンによる家族探究の旅」という本をベースにボーエンの家族システムについてお話しますが、今回は本の全体像と第2章の情動システムまで解説します。この「情動システム」はボーエンの家族システムを理解する上で、なおかつ家族や自分自身についてなるべく客観的に観察しようとする上で極めて重要な概念になります。同書はなかなか入手が困難なのですが、それでも入手する価値のある一冊だと思います。
日時
2025年7月27日(日) 20:00-22:45(15分は質疑応答など)
受講形態
・オンライン(zoom)
・動画アーカイブ受講
受講料
12,000円
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