【受け手によって全て決まる?】何かを「おすすめ」するとき・されたときに起きていること。

「人に何かをすすめる」って難しいことだなと考えていたのですが、その難しさの要因は「すすめる側」にあるのではなく、「すすめられる側」が作り出しているのかなというぼんやりとした結論にいきついたんですね。

「この漫画がおもしろいから読んでみて!」
「健康のために1日15分歩いてみてください」
「この生徒を貴学に推薦します」

といった何かを「すすめる」という行為自体は、あくまで「情報共有」だと思うんですね。情報になっている時点で何かしら境界性が存在していて、その境界性に沿って部分が切り取られ範囲が限定されるわけです。

「情報」は、無数にある事象や選択肢の中から切り取られた「特定の範囲」です。特定の人物や状況を鑑みて情報共有される場合、その範囲の限定度合いが高くなります。

例えば、ブログで「運動した方がいい!」と書くのと、Instagramで「運動した方がいい!」というDMを個人宛に送る場合、後者のほうが限定度が高くなります。校長先生が全校集会で「夏休みは勉強しましょう」と話すのと、担任の先生から直々に呼び出されて視聴覚室の隅っこで二人きりになって言われる「夏休みは勉強しましょう」は受け手の印象が変わります。後者の場合は条件や状況がより個別性が高くなります。

「すすめる」という行為は情報共有であり、情報の範囲の限定度に違いがあります。むしろ、「それだけ」と言っても過言ではありません。「あなたにはこの漫画がおすすめ」と言われるのと、「とりあえずこの漫画がおすすめ」と言われるのでは、どちらも「すすめる」という行為なのですが、範囲の限定度合いが違うだけなのです。なので、あくまでただの情報なのです。

しかし、「この人にすすめられると聞いてみよう」ということと、「この人がすすめられるものは何か違うな」という「違い」が生じることが度々あります。例えば、街を歩く人から突然「あなたは赤色が似合います」と言われるのと、自分が尊敬している人物から「あなたは赤が似合います」と言われるのでは、同じ言葉・同じ限定度でも、受けての心象は異なります。これは、受け手側にも「自分が尊敬している人」という範囲を限定する(ジャッジする)境界性が存在するわけです。

「この人の情報は信用できるから聞いてみよう」
「インテリアアドバイザーの言うことなら、白いソファにしよう」
「◯◯病院の先生が言うことだから、間違いないだろう」

といったように、おすすめを「受け入れる方向」に働く場合もあれば

「この人の情報は信用できない」
「インテリアアドバイザーって言っても、私のこと知らないじゃん」
「医者が言うことは信用できない」

といった具合に、おすすめを「受け入れない方向」に働く場合もあります。

なので、おすすめが受け入られるかどうかは、「情報の提供者は誰なのか」という、「誰が」の部分も重要で、それはおすすめをうける側(情報を享受する側)が特定の境界性をもってジャッジしていることになります。平たく言うと、信頼できるか…なのです。

しかし、良好な関係性を構築しているからといって、情報の信用度が上がるかというとそうではなく、仲良くしていたとしても、おすすめを受け入れられない場合もあります。

となってくると、「おすすめ」というものは「情報の中身」でもなく、「情報提供者との信用関係」でもなく、ほぼほぼ「情報を受け取る側」に委ねられている可能性が高いわけです。「店長おすすめ👍」と書かれているポップを見て、そのCDを買う人もいれば、長年付き合いのある友人に「このアルバム最高だよ」とすすめられても、そのCDを聞かない人もいます。

なので、極論ですが、その情報を受け取ることが「自分にとって都合の良い情報(快)」であれば受け取るし、「自分にとって都合の悪い情報(不快)」であれば受け取らない…というだけなのかもしれません。

 

情報提供された状況別・受け手側の心情マトリクス

 

ということで、ちょっと図にまとめてみました。

 

 

A: 快+情報の限定度が高い

 

個別・自分の状況に応じて伝えられた情報で、なおかつ自分がその情報を受け入れることで快(都合が良い)という状況です。基本的に「納得」が生まれると思います。何度も言いますが、情報の中身や誰が言うかも含めて「快」かどうかが決まります。

 

B: 不快+情報の限定度が高い

 

僕が今回のブログ記事を書くに至った要因がここです。特定の政治団体への投票をすすめるLINEや電話が続き、なぜその行為が正しいと信じ込めるのかを疑問視したところから始まったのですが、単純に受け手側が様々な情報(不必要な情報・価値観・信頼関係が構築できているか・タイミング)から「不快」側に分類し、さらに限定度が高い状況(LINEや電話)で伝えられたことで不快感が助長されることになったのかなと考察しました。

 

C: 不快+情報の限定度が低い

 

一般論としての価値観の押し付け、不特定多数への説教的な発信、「みんな○○すべき」系の主張がこれに該当します。街頭演説や新聞の社説欄が近いです。特定政党や特定思想への勧誘はCにも該当してくるかもしれません。BとCをうろうろする感じでしょうか。興味のない宣伝広告が出てきてイライラする場合はCですが、「あなたへの特別オファー」と書かれた宣伝メールが届いてイライラした場合はB寄りになります。

 

D: 快+情報の限定度が低い

 

「店長おすすめ」のポップでCDを手に取るはこのフェーズだと思います。ネットに出てきた広告を見て、「やってみようかな」と申し込んだりするのもこれに近いかもしれません。ある意味、一番余裕のある状態と言えるかもしれません。

 

このマトリクスは情報提供側の要素(情報の内容・情報発信者は誰かなど)を細かく精査するのではなく、あくまで「情報は受け手次第なのではないか?」という前提のもとに作られています。

例えば、映画や動画なども同じものを視聴していたとしても、それを受け取った側の価値観や気分次第で評価が変わります。誰が何を発信していても、どういう評価を下すかは受け手側次第なのです。お金を払って映画を見たり、本を購入した場合は限定度が少し高まる効果があり、拒絶(B)が起きやすくなる確率が高くなるのかもしれません。

最後に一つ「おすすめ」があります。今度誰かに何かをすすめる時は、相手がどのフェーズにいるかをそっと観察してみてください。ただし、この観察方法をおすすめしている僕も、あなたにとってはBかCの人かもしれませんが。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。甘酒と文章を書くことも好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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