にしけい ポン

「推し」「追いかける」のメカニズムと理由(背景)

ようやく理解・言語化できてきたので、ブログに書くことにしました。特定の人物の作品や、特定の人物を「推す」という行為について、正直その動機みたいなものがよくわかりませんでした。そのよくわからないものの矛先が自分に向けられると、困惑してしまっていました。なぜ推すのか?その矛先が自分に向くとなぜ困惑するのか?その理由のようなものがようやく理解できてきました。「推す」という行為は「追う」と似ています。もっと具体的なイメージに転化するなら、「自動車の移動」と似ています。というか、自動車の移動そのものと言えます。道路を走る、車たち。あれと同じです。

「推す」という行為は、カタカナ英語に置き換えると、プッシュする・レコメンドするとも表現できるのですが、「追っかけ」と同じことをしています。観察していると「推し」がいる人というのは、その対象を追いかけていることがわかります。だから、言葉が変わっただけで「追っかけ」と「推し」はほぼ同義であり、同じ動きをしています。「推す」のほうが少しだけ、対象者に近くて、直接的に関与できているようなイメージなのではないかと思いますが、基本的に同じ動きをしています。

 

 

 

僕も昔はムックというバンドが好きでよくライブの遠征に行っていました。球体というアルバムのツアーが一番多く遠征したと思います。しかし、僕はあるときからこういったアーティストのライブに全く行かなくなりました。追いかけることを「フォローする」とも言いますが、昔はムックのメンバー全員をフォローして、追いかけていたのですが、ある時から追いかけなくなったのです。彼らの楽曲が特に嫌いになったというわけでもなく、今も新曲が出ていたら聞きますが、特に動向やライブ情報を追いかけていません。この追いかけなくなった自分についてもよくわかりませんでした。

僕がこの「追う」という行為に対して明確に疑問を感じたのは、Instagramです。気になる人やコンテンツの情報を逐一確認する。追いかけるわけです。SNSの発達によって、この追いかける対象がより個人化した気がします。誰でも手軽に情報を発信できるようになり、誰でも自分の考えや近況を手軽に発表できるになりました。SNSの前段階として、こういったブログやホームページがあり、僕もこうして個人的な情報を発信しています。

 

なぜ追いかけるのか?

 

このブログ(サイト)も長年追ってくださる方がチラホラいて、それはありがたいことではありながらも、追われていることを知るとなんだか不思議な気分にもなります。それで、追われていることを認知する、追っている人の個々の存在を認知すると、なんかこう「圧力」みたいなものを感じたんですね。「推し」はやっぱり「押し」で、何かしらの「圧力」みたいなものがあるんですね。

圧力というのは上から下だけではなく、横方向にも力が働きます。自動車のように重量のあるものが移動する。重さが移動する。そこに圧力が発生します。「追いかける」というのは「追い」を「かける」のです。重力が移動するのです。車やトラックが走り出すように、動きにくいものが動き出すわけです。何かしらの力が働いて、車が動き出すように、重力を伴って動く。

あなたが誰かを追いかけるとき、普段は動かないものがその人に向かって動いています。心が、体が動く。思い(重い)が動くんです。動かされるんです。それで、なぜ追いかけるかというと、何かを得たいわけです。何を得たいのか?いろいろ理由はあると思います。

世界観が好き、応援したい、期待している、楽しい、共感する、存在を認知してほしい、理解してくれそう、刺激をくれる、美しさがある、見た目が好き、心が揺さぶられる、愛着がある、何か気になる…本当にいろいろあると思います。

「推す」「追いかける」といった行為の仕組み(動機)を、一言で表すと「自己領域の動的変容」です。

すみません、もうこれで全て説明できるんですね。何を言っているかわからない方のために、もう少し詳しく説明してみますが、あなたは追いつけるかな?笑

 

自己領域の保全と拡大

 

自己領域の動的変容なんですけど、大きく分けて2つに分けられます。「自己領域の保全」と「自己領域の拡大」です。この2つです。ここまで言えばわかるでしょ。え?わからない?じゃあ図で説明してみます。

 

自己領域の保全

 

まず、「自己領域の保全」ですね。図にするとこうなります。わかりやすいですね。図は最高です。

これって実は「食事」と同じなんですね。「共感」とか「共有」とか「共鳴」と言ってもいいのですが、平たく言うと「セルフイメージの固定」とか「セルフイメージの補強」ですね。物理的に自己領域を補強させるのが食事です。自分を維持するために外にある何かを利用するわけです。生物全般やっていて、「推し」や「追っかけ」もこれと同じ効果があります。

例えば、その対象がもっている性質や世界観のようなものによって、自分のイメージや考えが補強される場合はこれに該当します。食料を摂取して自分の肉体を特定の状態に維持しようとするのと同じで、何かしらの媒体や情報を摂取することで、自分の精神状態に安定をもたらす作用です。

・自分の考えを表現してもらえる
・共感できる
・共通点がある
・貢献したい
・愛でたい、応援したい
・認めてもらいたい
・自分を肯定してもらえる
・存在を受け入れてもらえる
・背中を教えてもらえる
・類似した性質をもっている
・同じグループに属している
・ホッとする、安心する

食事で言えば「栄養」や「エネルギー」の部分ですね (後述する「自己領域の拡大」は「おいしさ」の部分です)。

オンラインサロンやSNSでフォローし合うのもこれに近いと思います。情報を共有し合うことで、自己領域の補強をしています。帰属意識もこれに近いです。にしけい統計だと第一子にこの傾向が強いかなーという印象です。維持や固定が目的なので、変化を嫌うんですね。だから、恋愛傾向も一途な傾向があります。まぁ、あくまで目安ですけどね。

それで、「自己領域の保全」は「自己領域の欠落感」が強いほど、強くなります。図にするとこういう感じ。

 

 

だから、SNSとか特定の対象に依存するのもこれに近いかな。自己領域を埋めたくてしょうがなくなると執着するんですね。「奪われた感」が強い人がこの自己領域の保全をしたがる傾向があるから、そういった意味でもやっぱり第一子が多いのかなーと分析してます。僕は姉がいる末っ子長男なので、姉や第一子の気持ちがよくわかりませんでしたし、第一子の天敵だと思います。笑

もちろん、兄弟構成は必ず相関があるわけじゃなくて、あくまで目安です。いかんせん、「奪われている感」が強くなると、この「自己領域の保全」が強くなります。奪われないようにする・守ろうとするという動物的な本能に似ています。それで、なんでこの「奪われている感」が強くなるかというと、自己領域の境界線が明確だからなんですね。

セルフイメージがはっきりしている。役割とか立場とか方針みたいなものがはっきりしている。そういう人は、領域の境界に敏感になるわけです。縄張り意識みたいなものも強くなります。肉食獣が歯茎を剥き出しにして獲物を取られないようにウウーッ!と唸って威嚇するじゃないですか。あれと同じです。線引き(これは自分のもの)が明確だから、取られないようにするわけですね。

 

自己領域の拡大

 

もう一つが自己領域の拡大です。拡大した状態が固定され定着して実が伴えば、「成長」とか「発展」になりますが、一時的に拡大するのは、「気が大きくなる」「虎の威を借る狐」という状態です。

図にすると下記のようになります。

特定の対象を追いかけることで、自己領域を拡大する作用があります。

・刺激的
・興奮する、ドキドキする
・世界が広がる
・外部との交流が増える
・行動範囲が広がる
・知見が広がる
・新しい発見がある
・その対象に陶酔している
・自分を対象に寄せたい(真似したい)
・勇気が湧いてくる
・快感がある
・楽しい
・自分を変化させられる(気がする)
・自分を大きく見せられる

自己保全に比べるとやや積極的なように見えますが、下図のように自己を拡張しようとする働きに「実」が伴わないと、「虚」が拡大することになります。虚が栄えるから虚栄心です。そのままです。その対象を追いかけていることで自分の気が大きくなるような効果があります。

 

例えば、特定の組織に所属していることで安心感を感じる人は先述した「自己領域の保全」につながりますが、特定の組織に所属していることで優越感や特別感を獲得している人はこの「自己領域の拡大」になります。

この自己領域の拡大は物理的所有によっても起きます。高級車を所持しているとか、ブランド品を身につけているとか、そういう感じです。その推しを追いかけている自分を誇るようなイメージですかね。自分を好きになりたいという目的で追いかけている人もいると思うので、それはそれで自己領域の保全に近いんですけど、自己領域の拡大は男性に多い気がします。

コネやツテがあることを自慢する人もこれに近いかなー。つながろうとする、中身じゃなくてつながっていること自体が目的になるわけです。追いかけていることが目的になるパターンも多いですね。名刺交換したがる人が多いかな。わりとビジネスライクなところもあるかも。

自己領域の拡大は自己と他者の境界線が曖昧なほうがメリットがあるので、自己領域の保全とは逆で線引きがはっきりしません。対象となる相手になりきる、コピーしようとするような場合はこれですね。コスプレとか扮装もこっちかな。

 

追い払うのはエネルギーの無駄遣い

 

それで、最初の話に戻すと「追いかける」というのは、自己領域の保全と拡大のためにエネルギーを使うのですが、これらを「追い払う」のも同じようにエネルギーを使います。追い払うというのは「追いかける」と反対のエネルギー、追いかけてくる対象を押し返すことになります。

追いかけると反対なので、後ろ向きになります。後ろを向くので、前向きじゃないんですね。後ろを向くのは楽かもしれないし、場合によっては居心地が良いかもしれませんが、それはそれでエネルギーの無駄遣いなんですね。だから追いかけられる人は前を向いてさらに先を追いかけて走り続けたほうがいいんです。

追いかけられて振り向いていてはダメなんです。甘んじて振り向いてはダメなんです。そして、後ろを向くと大体ロクなことがないです。衝突するし、追い払うのにエネルギーがかかるからです。無視して前を向いて走り続ける。それが大事なんです。振り向かずに前を向いて走り続けているから人は追いかけたくなるんです。

追いかけることは、食べることと同じです。生きることと同じです。生きる糧になります。成長にもつながります。でも、これによる弊害みたいなものに悩んでいましたし、疑問に感じていました。なんで追いかけるんだろう、なんで追いかけたいんだろうって。自分が好きなバンドの追っかけをやめた理由もわかりました。そのバンドの世界観と一体化しなくても自立できるようになったのだと思います。ある意味吸収して消化し切ったのかもしれません。

ようやく自分なりに納得のいく言語化と抽象化ができたので、前に進めそうです。僕にとっての「前」はわからないことがひとつひとつわかるようになることなのだと思います。それにしても図と抽象化できたときの快感ときたら…最高に脳汁が出ます。

にしけい

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西田 圭一郎

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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