【母の日の贈り物に】無意識と意識の話をします

無意識がほとんどの学習や行動指示をしていて、意識は辻褄合わせ「自己正当性」を担っているそうです。無意識はすごく乱暴で粗野で力強いと思われがちですが、あなたが今この文章を目で追って意味を理解しているのも無意識が担っています。それを「心の中の声」のような形で読み上げている場合は意識の「辻褄合わせ」が働いているかもしれません。しかし、あなたが今手に持っているスマホや、スワイプしている手も無意識にやっています。

こだわりや執着というのは意識から生まれているように見えます。「自己正当性」です。自分がやっていること、やってきたことに「意味」や「理由」をもたせようとする働きです。後付けです。

本を読むのが遅い人とか、途中途中止まってしまう人は「部分への執着」(こだわり)が働いていたりします。おそらくですが自分が理解できないことを正当化しようとする理由を探しながら読んだり、自分が過去に経験してきた点とつながらないような「新しい点」が出てきて、その辻褄を合わせようとしたりすることも「自己正当性(意識)」が働いています。

使い方は人それぞれなんですけど、占いも自己正当性を補助するために使う人がいます。これは占術ではなく使用者次第です。しかし、占術の仕組み自体が自己正当性を補助しやすいようにアレンジされているものもあります。

意識が欲している理由を「それっぽい何か」で埋めるんですね。自己を正当化しようとするわけですから、前提として自分は間違っていない、完璧な存在だという認識があります。自分の(無意識が選択した)行動はすべて正しいと言わんばかりに、罪を犯した息子をかばう母親のように「うちの子(無意識の自分)は悪くない!」と理由や意味を探して述べ立てるわけです。

しかし、息子の無意識くんの行動には理由がありません。あなたが何となく手に取った豚肉肩ロースも、それを選んだスーパーも無意識くんが学習して「最短距離」を導き出しています。無意識くんはあなたが生まれた座標から見える世界、得られる情報を全て集積しています。あなたが何かしらの方法で生き延びられるように、過去のデータベースをもとに「判断」しています。たまに意識の力も借りながら、無意識は今もあなたに指示を出し、あなたのために情報を集めているあなた自身です。

無意識には「理由」や「意味」がありません。だからたまに「自分でもなんでこんなことをしたかわからないけれど」というようなことが起きてきます。これは無意識の的確な判断に、意識がついていけてないときに起きます。しかし、どこまでいっても意識は後付けですから意味をつけようとすることに意味はないのです。あくまで自己の正当性を保つための辻褄合わせです。

なぜこのように意味付けをわざわざするか明確な理由はわかっていませんが、ストーリー記憶をしやすいように要点にマーキングしているという説があります。理由がないと突然自分がスーパーの肉売り場に立っていた時にパニックを起こすかもしれません。酔っ払って意識を飛ばした次の日のように、途中のストーリーがつながらないと困惑します。なので「なぜ、今ここにいるのか」という理由をマーキングする役割が「意識」だと言われています。

この意味付けや理由づけ、つまり自分の存在や行動を正当化したいという気持ちが強くなりすぎると、納得を求めて彷徨うことになります。ときには新興宗教にハマることもあるでしょうし、自分の「運命っぽいもの」を知ることで納得するかもしれません。しかし何度も言うように、意識的に行われる自己正当性は「後付け」です。無意識くんの行動や判断についていき、振り回される母親のようです。つまり、意識自体が非常に受動的なんですね。そして不自然で歪みが出てきます。そりゃそうです。無意識くんの判断に無理やり意味をつけようとしているわけですから「歪み」が出てきます。

この「ゆがみパワー」で無意識くんの行動を変えようとするのが「呪」です。お母さんが息子をカゴに閉じ込めてコントロールしようとする形になります。しかし、このお母さんが息子を閉じ込めること自体「自分で判断している」のではなく、あくまで「無意識」が前提にありますから、どこまでいっても受動的な行動しかとれないのが「意識」なんですね。究極の対応者というか。

なので「自分で考えて選んだ」とか「私の人生は思い通りにいかない」というのは、そもそも「意識」が言っていることなんですけど、そりゃそうです。無意識が決めていますから。意識がいくら「痩せたい」と言っても、無意識がピザポテトBIGの封を破って食べるように指示をしていたら思い通りにいくはずがありません。

意識は無力ゆえ、それを変えようとするのは非常にコスパが悪いです。よく「意識改革」と言ったりしますけど、結局無意識くんが「やろうか」と言わないと何も進みません。意識を変えるよりも無意識を変えたほうがいいんですね。でも無意識を変えるためには、無意識くんの行動をいちいち擁護する過保護な母親(意識)は邪魔な存在なのです。お母さんが学校の先生に呼ばれて「ちゃんとしてください」と注意を受けても、無意識くんが家でゲームをしてたら全く現状は変わりません。意識を変えたら多少は効果はあるかもしれませんが、コスパが悪すぎるのです。

なので、現状を変えたいときは「意識」を一回捨てることです。まず、自分の存在意義とか、自分の行動の正当性とか、理由探しを中止してください。あとは意識が勝手に集めてきた「過去の知見」もすごく邪魔です。「前は◯◯だった」とか「暦やバイオリズムではこうだから」とか。無意識くんが蓄積しているデータは勝手にそれを駆使して判断しています。それに対して意識が集めているデータはあくまで「無意識くんを擁護するためのデータ」なのです。

うまくいかない、現状が変わらない、流れが悪いというときほど「意識」が過剰になっています。何度も言うように意識にエネルギーを注ぐ、自己正当性を維持しようとするほどコスパが悪く、変化に対応できません。老化を促進させます。それは精神的にも肉体的にもです。

あなたの無意識くんをもっとのびのびさせてあげてもいいかもしれません。そしてそのためにはお母さんは温泉旅行にでも出かけて休んでてください。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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