なんでもやりすぎると、見境がなくなってくるんですね。
見境がないからやりすぎてしまうのかもしれませんが。
見境がないという状態は、無差別な状態ということです。
どうしても「見境がない」「無差別」という言葉を聞くと「見境なく暴力をふるう」とか「無差別に攻撃する」といったネガティブな意味として捉えられがちなのですが、それはまだまだ「見境」や「差別」がある状態です。
ポジティブっぽい言い換えをするとしたら「こだわりがなくなる」「執着から離れる」という感じでしょうか。
全裸のピーターパンが空を飛び回るような開放感が得られる状態とも言えます。
お酒や薬物などは外部から物質を取り込むことでこの状態を作りますし、クンダリーニ・瞑想・呼吸法・催眠・スポーツ・セックスなども「見境がなくなる」ための導入のひとつだと思います。
「初心者におすすめの占いはありますか?」
「何か読んだ方がいい本はありますか?」
「にしけいさんがやっている占いの流派は何ですか?」
「最強の占術を教えてください」
といった質問をたまに頂きますが、枠がはずれると「正直なんでもいいです」という感じになってきます。
何から楽しんでもいいと思います。なので、最終的には卜術っぽいムーブになってくると思います。「偶然、それもありだね」みたいな感じです。
道具とか方法とかルートといったものは正直何でもいいので、何から始めてもいいんですね。むしろ、多くの人が「最初」とか「初動」にすごくこだわって、結果的に何もできずに終わる場合が多い気がします。
「どの入り口から入るか」よりも「入ることをやめないこと」のほうが大事で、どの入り口からでもいいので、ドアをあけて出入りを繰り返すことのほうが大事なんです。入った先に怖い狼がいたら、閉めて、また違うドアから入ればいいんです。
「せっかく入門したんだから続けた方がいい」とか「頑張った方がいい」という考えもあるんですけど、違うと感じたらやめて別のところに移ってもいいと思いますし、気が向いたらまたもどってきてを繰り返してもいいと思うんです。大事なのは「ドアを開け続けること」だと思います。
ドラクエのダンジョンとかで宝箱がズラーっと並んでいる部屋があったりしますが、だいたい1つはミミックとか人喰い箱(人間を襲うトラップモンスター)なんですね。場合によっては1つだけに「最強の武器」が入っているかもしれない。
ドラクエには宝箱の中身を確かめる「インパス」という呪文があり、これを使うと人喰い箱の場合赤く光、大丈夫だと青く光ります。
「初心者におすすめの占いはありますか?」
「何か読んだ方がいい本はありますか?」
といった質問は、インパスと同じで「中身」を確かめてるんですね。
でも、実際の宝箱(ドア)は赤い光か青い光かという二択じゃなくて、何とも言えない場合がほとんどで、開けてみないとわからないわけです。
宝箱(ドア)を開けて痛い目を見たところで、開けるのを「やめてしまう」から「失敗」になるんですね。だけど、ドアを開け続けていると、感覚が麻痺してきて失敗なのか成功なのかもわからなくなります。それでも、無意識に経験は蓄積されるので、だんだん精度が高くなったりもします。
何でもそうなんですけど、「やりこみすぎる」というのはその分野のドアを開けまくった結果起きてきます。そして冒頭に述べたような「見境がない」「無差別」というのも、ドアを開けまくると起きてきます。やはりこれも「見境がない」「無差別」だからドアを開けまくれるのかもしれません。
ドアをあけて中をのぞいて「何か得よう」とか「せっかくだから長居しよう」とか考えなくていいんですね。何も得るものがなくてもいいし、長く続ける必要はありません。そのとき「楽しい!」と思ったら、自然と得られるものがありますし、自然と長く滞在することになります。パラパラと本をめくるように「こんな感じか」でいいんですね。
意識しなくてもドアをあけて見た世界って無意識的に蓄積されているので、何かのときに役に立ったりするんですね。だから、ドアを開け続けるだけでいいんです。閉じなくてもいいし、開けっぱなしで次のドアを開いてもいい。
ドアを開け続けることをやめたほうが中途半端で、自己嫌悪に陥りやすくなります。
AIに「全裸のピーターパン」の絵を描いてもらおうとしたら、「描けません」と注意されたので「可能な限り肌を露出したピーターパン」と依頼してみましたが、露出と下半身が足りませんでした。それでも嬉しそうな顔をしているピーターパンを描いてくれたのでOKです。
もしかすると「見境なくできる」というのは人間だけの特権なのかもしれません。
にしけい