なぜ「導く」という言葉に違和感を感じるのか?

個人的な意見ですが、「導く」という言葉と、この言葉を多用する人に強い違和感があります。一言で言えば好きではない言葉です。

なぜ「導く」という言葉に違和感を感じるのか。改めて「導く」を抽象化して再考してみました。

抽象化してみると、導くという言葉は上下(内外)の凝集作用ではなく、直線上の前後の関係だということが分かりました。つまり、○ではなく→に近いニュアンスのようです。ただ、多くの場合が前者の凝集に近いニュアンスで使われていることが多いようです。「指導」という言葉がそれに近く、かなり凝集の作用が強いです。

同一直線上の前後の関係だとしたら、「導く」という行為は「ただ先を歩く(背中を見せる)」だけで十分な気がしますが、どうも「導く」という行為は「同じ道をたどらせる」「あとを追従させる」という行為に近いです。

寄り道大好き人間からすると、先を歩く人と同じ道をたどるように歩くというのは苦痛でしかありません。直線ですから、最短距離(ショートカット)なわけですが、クネクネと曲がりながら進む方が得るものが多いと考えている僕にとっては、やっぱり「導く」というのは余計なお世話だと感じる行為なのです。

また、「導く側が立っているポジション(指定するポジション)が絶対的に善だ」という前提があり、これも違和感の大きな要因です。飼い主がリードをつないでワンちゃんを引っ張るような状態が「導く(lead)」なわけですが、飼い主が立っているところが必ずしも安全かというとそうではありません。

飼い主がその場所に到達したときは安全だったかもしれませんが、タイミングがズレるとわんちゃんが到達するころには隕石が降ってくるかもしれません。同じルートを通ってしまったがゆえに起きてくる失敗もあるわけです。

確かに自分が歩こうとしている道の先を進んでいる人(先人)はいますし、生きる上で参考になるかもしれません。しかし、前を歩いている人が振り向いて「おーい、早くこっちにきたほうがいいよ」と声をかけて導こうとしてきたとしても、僕は行きたくないです。

なぜなら、前を行く人物がその先に「本当に面白い世界」を見ているなら、振り向いているヒマはないはずです。その人が振り向いている時点で、その先におもしろいものはないのです。この考えは、若くて、未熟で、愚かに聞こえるかもしれません。しかし、実際にあなたが「おもしろいと思うもの」を追いかけて夢中になっていたら、後ろを振り向く暇はありますか?

冒頭にも申し上げましたが、「導く」という言葉は「前後」の関係で、「前の人が後ろの人を引っ張る」というニュアンスです。なぜ後ろを振り向くのか?なぜわざわざ後ろの人を呼び寄せようとするのか?

それって自分がヒマで寂しくなっただけなんじゃないかと思ってしまうのです。

なので、僕は「導く」という言葉を多用する人は「寂しがり屋」なのではないかと考えています。何かを夢中で追いかけていて走り続けていたら、振り向くタイミングって無いはずなのです。

自分の頭の中を整理するために、まとめたり、アウトプットしておいたことが、結果的に同じような道をたどる人の役に立ったということもあるかもしれません。自分がまた同じ失敗を繰り返さないように「この道キケン」と看板に残しておいたことが、誰かの役に立つことがあるかもしれません。でも、それぐらいでいいと思うんですね。

占いや教室を生業にはしていますが、僕は一度も誰かを導こうと思ったことはありません。自分が歩いてきた道で見たものや体験したものが、結果的に誰かの役に立てばいいなとは思いますが、自分が立っているポジションが正しい(安全)とは到底思えませんし、まだまだ僕の冒険は続くので後ろを振り向いているヒマはないんですね。

「結果的に導かれた」ということはあると思うんですけどね。何気なくラジオから流れてきた音楽だったり、なんとなく手に取った本だったり、その辺に咲いている花だったり。でも、それらは「導こう」と思って存在していないんですよ。ただ、存在するだけだったりするんです。

だから、わざわざ導こうとしなくていいんですよ。振り向きたいときは勝手に振り向けばいいですし、そのときたまたま後ろの人と目が合ったとしても、手招きしなくていいんですよ。引っ張らなくていいんですよ。

メモだけ残しながら、歩いていきます。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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