「分かろうとする」とか「分からせようとする」ってゆがみができちゃうんですね。

 

とある企業の最終面接の社長

「君は真面目なのかふざけているのか分からない」

 

転職活動時の面接官

「最終面接まで来てもらって申し訳ないんだけど、私たちも西田さんをどう生かせばいいか分からなくて今日ここにきてます」

 

5年勤めた会社の上司に辞表を出した時

「正直、君をどう育てればいいか分からなかった」

 

どこへいってもだいたいこんな感じだったので、一般的な社会の中では「よく分からない」ようです。

そんなこと言われても、僕もなんで分からないのかよく分かりません。

でも、よく分からない得体の知れないものを手元に置いておくのもキツいんだろうなというのはよく分かります。

違和感を感じる存在と仕事や生活をともにし続けるのは苦痛なのかもしれません。

なので、逆に僕のことをいきなり「よく分かった」という人のほうがあんまり信用できないんですね。普通は「わかってくれる人」というのはありがたいはずなんですけど、わかってくれる人はよくわからないんですね。

分かったって言ってるけど、大丈夫?という風になるんですね。それで、蓋を開けてみるとやっぱり分かっていないことが多くて、自然と離れていくんですね。なので、自然と僕のまわりには包容力や余裕のある人しか残っていかないんですね。

割とどこへ行っても「よくわからない」という扱いなので、「よくわからないけれど、いいよ」と言ってくださる方には感謝しかないんですね。逆に、そこまで僕を許容できるってすごいなって思ってしまいます。僕だったら僕のような人がいたら、そこまで許容できるか自信がないです。怪しくて、何なのかよく分かりませんから。

明らかにすると、めんどくさいことがいっぱいあるんですね。

立場とか、思想とか、宗教観とか。そういうものが明らかになると「対立」が起こるんですね。あとは目立つとあんまり碌なことがないんですね。(僕の場合はですけど)

明らかにする、目立つ、立場を表明する、賛否を述べる…ということを積極的にする人の気持ちがよくわからないんですね。曖昧にしておけば、隠しておけば、ひっそりとやっておいた方がスムーズですし、そんなことをしなくてもまた日は昇り(サンライズ)、またきなこ餅(ONE LIFE)、Yeah..ahnn…(唐突なヒップホップ!)

普段曖昧でヌルヌルやっているから、もしかしたらここぞというときに「はっきりさせる力」みたいなものが出てくるのかもしれません。頑張って、気合い入れても「よく分からない」が加速するだけなので、脱力する感じでやってます。

何が言いたいかというとですね、「分かろうとする」とか「分からせようとする」ってゆがみができちゃうんですね。何か部分を切り取らざるを得ないんです。偏りが大きくなってしまうんですね。

なので、もっと自然体に「あ、わかった」とか「はぁ〜そういうことか〜悟り得たわ〜」ぐらいの自発的な「分かりみ」が出てくるまで、無理に分かろうとしなくていいんですね。分からないもの、得体の知れないものは、とりあえず「そのまま」置いておいてみる。しばらくしたり、何かがきっかけになって「分かる」ことがあるんですね。

で、その「分かる」ためには、何がきっかけになるか分からない、ありとあらゆることがきっかけになる可能性があるので、あんまり自分で入り口を狭めて、切り取らなくていいんじゃないかなーという話です。

分かろうとすればするほど、実は扉を閉ざす状態になるんですね。反対に分からせようとすればするほど、相手からは扉を閉ざされる状態になるんですね。ほかほかのアメリカンドックを食べるときぐらい大きな口を開けておいたほうがいいんですね。

アメリカンドックなんて、甘いのかしょっぱいのか、おかずなのかおやつなのか主食なのか、めちゃくちゃ曖昧なのに、存在しているんですね。みんな特にアメリカンドックにつっこまないんです。やさしいよね。逆にアメリカンドックを口の中につっこんでる。すごいよね。アメリカンドックの曖昧さを受け入れて、さらにそれを体内に取り込もうとしている。明らかにせず、そのまま受け入れるってそういうことなんです。

貧乏ゆすりする人に聞きたいんですけど、テンポは何BPMぐらいでやってます?裏打ちのリズムで貧乏ゆすりってできます?途中でアレンジしたり、リズム変えたりってできますか?

貧乏ゆすりを「不規則なリズムでやってみてください」っていうと、逆に意識して止まってしまうんですね。やろうとするとやれなくなる。分かろうとすれば分からなくなる。

ということは逆に、分かろうとしなければ分かってくるんですね。やっぱり「分からない」という人のほうが信用できるんですよね。だから「よく分からない」という理由で僕を面接で落とした会社の人たちはとっても信用できるんですね。ちゃんとしてるわけです。だから大企業へと成長するわけです。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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