怒涛のウランバートル手相鑑定会(モンゴル旅行記201905その3)

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手相プロパガンダにしけい(モンゴル旅行記201905その2)

 

テレビ放送の反響もあり、鑑定会は想像以上の人が集まり大変なことになりました。

基本的にテレビの内容はモンゴルの人たちにとってインパクトがあり好印象だったようです。

そして、予約枠を超えても電話が鳴り止まないので、ボスはついにめんどくさくなって電話の電源を切りました。

鑑定会のお値段も、テレビ局への支払い・渡航費・通訳さんのギャラ・タクシー代などを加味すると超赤字の価格設定で

1520,000トゥグルグ(800)3040,000トゥグルグ(1600)にしました。

手前味噌ですが、普段ゼロ2桁ちがう僕のご相談価格に比べると破格だったと思います。

でも、一人でも多くのモンゴル人の手相を見たかったのと、最初は赤字でも一人でも多くのモンゴル人に手相の良さをわかってもらえるならという目論見でした。

値段も値段だったので「私の手相はどんな感じですか?」みたいな軽い感じのイントロ的なお客さんが多いかなと思いあえて「鑑定会」と書きましたが、フタをあけてみるとガッツリご相談会になりました。

モンゴル人は自分や家族がどうなるかとても気になるらしく

仕事、健康、お金、家族はどうなるか?

親戚の◯◯さんのなかなか売れない不動産はどうやったら売れるか?

今の貿易のプロジェクトはどうなるか?

といった800円と15分では時間も情報もとても足りないヘビーな話が次々と入ってきました。

中にはチベットの僧侶もシャーマンも解決できなかった問題を抱えているのでここに来ましたというお客さんも。

人相も観ることができるという情報を知ってか知らずなのか、家族の写真(1人ずつの証明写真)をテーブルの上に全員分ならべて

ひとりずつ「この子はどうなるか?何か心配なことはないか?」と質問する人も。

 

あの、正直言っていいですか。

 

15800円という学園祭ぐらいの値段設定で、割に合わない相談多すぎでしょ!!

 

タイムキーパーもいたのですが、それでも時間を無視して話し続ける人がほとんどでしたし、なんというか全体的に「私が私が」という感じの人が多かったです。

あとは通訳さんを介して話しているので時間のロスもけっこう多かったです。時間が倍になるので実質僕が占って話す時間は78分です。

この短時間で本人の性格・病気・仕事・将来どうなるか・家族8人分の問題について・売れない土地はどうしたらいいか・妹の夫の浮気を止める方法はないかなどに答えなきゃいけないわけですから、無理です。物理的に無理なのです。

途中通訳さんが交代し、新しい通訳さんに手相の説明をし直したり、トイレ休憩もほとんどとれず、とにかく予約が殺到しすぎて、大変なことになりました。

そして必ずと言っていいほど聞かれたのが

「何かやったほうがいいおまじないと、買って身につけたほうがいいアイテムはあるか?」という質問が多数ありました。

どうもモンゴルのチベット仏教の僧侶やシャーマンの多くが「壺商法」で何かしら呪術的なアイテムを買わせているらしく、僕にも手相以外の呪術的なアドバイスを求めている人が多かったのです。

僕の手相術は家相や方位といった気学と絡めてお話できるため、手を見るだけで具体的な改善策を提案できますが、やはり何かしら「おまもり」みたいなものはないかと仕切りに聞かれたのが印象的でした。

あと、いつも日本でもご相談内容を録音してもOKにしているので、モンゴルの人たちにも15分はあっという間なので録音してくださいと勧めていたのですが、みなさん「いや、暗記するから大丈夫です」と頑なに録音しようとしないのです。

それなのに同じ質問をする人も何人かいて、いやいや録音してよ、メモとってよ、と思いました。

モンゴル人は何か独自の記憶術みたいなものを習得していて暗記に自信があるのでしょうか?それとも日本人だけがメモや記録が特異的に好きなのでしょうか?

よくわからないモンゴル人のこだわりが垣間見えました気がしました。

にしけい教信者のクレイジーおばあちゃん

途中で黒いドレスのようなものを着たおばあちゃんがきました。

おばあちゃんは1人だけ謎の異質の空気を放って僕の前に座りました。

まるで、20年前に消息が途絶えた息子を見つけたかのように、僕を新しい生き物として観察するかのように、分厚いメモ帳をもって食い気味に僕に話しかけてきました。

「テレビで見るよりイケメンだね〜!」

「その髪はカツラなの?え?地毛?いい毛並みしてるわね〜!」

「あなたの黒い衣装に合わせてわたしも黒いドレスを着てきたの、ほらみて?」

どうもテレビを見て何かおばあちゃんのなかで衝撃が走ったらしくいてもたってもいられなくなって鑑定会にきてくれたようなのです。

聞くところによると、おばあちゃんはもともとお医者さんで世界中の手相の本を読んだり、自分で手相について勉強していたり、とても手相に興味があるようで

「にしけいの手相講座を受けたい!いつやるんですか?この鑑定会終わったあとは大丈夫ですか?」

「にしけいの本は今日買えないの?日本語でも翻訳して読みたいです、どこに行ったら買えるんですか?」

と、とてつもなく興味をもってくれました。

たぶんにしけい教を作ったら、彼女はモンゴルの支部長になっていると思います。それぐらい強烈でした。その熱意の矛先を向けられた僕は若干引き気味でしたが、とても嬉しかったです。

で、実はこのおばあちゃん、ただでさえ予約がいっぱいの鑑定会に友達を6人連れてきてくださって、どの友達を占うときも必ず友達の横に座り、熱心にメモをとって鑑定される人以上に横から割って入り質問していました。

この日の鑑定会も予約いっぱいでしたが、次の日のダルホン市での鑑定会もいっぱいで、隣接するエルデヌ市の人からも問い合わせが多数あったそうで、3万円のテレビ効果はそれはもう壮絶なものになりました。

ボスは途中で予約受付用電話がなり過ぎて電源を切るどころか、解約までする始末。

いやいや、解約はしなくていいでしょ。というぐらいテレビの影響はすごかったです。

黒いドレスのおばあさんがなぜか他のお客さんに「手相教室をあさって開講するらしい」という謎の情報を流したこともあり教室開講の話もたくさん質問を受けました。

僕は95%、もっというと99%の人たちに批判されても、残りの1〜5%ぐらいの人が熱狂的に求めてくれるならそれでいいと思っているので

こういう黒いおばあさんのような存在は、非常にありがたかったです。

素直に自然体でいる僕を受け入れてもらう。無理はしない。それだけなのです。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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