占いというと、手相・タロット・占星術などを思い浮かべる人が多いと思います。
しかし、日本にはより伝統的な「亀卜(きぼく)」という占いがあり、現代でも一部地域で継承されています。
「一般的にはマニアックだけど、知ってる人は知ってる占い」を少しでも多くの人に知ってもらい、興味をもってもらいたい…!という思いから、「五色占い」を執筆・出版する運びとなりました。
「死んだあとまで働かされて、動物たちが可哀想」
亀卜と同じように歴史ある占いのひとつに「太占(ふとまに)」があります。
基本的に、亀卜はウミガメの甲羅、太占は鹿の肩甲骨を使って占います。
2年前に「【太占(卜骨)は本当に当たるのか?】検証のために占います!」と題して、太占で実際に占いを行う検証を行いました。
すると、この記事に対して、とある個人および団体から「死んだあとまで働かされて、動物たちが可哀想」「動物を占いの道具にしないで」といった旨のお問い合わせが届いたのです。
同記事には、太占や亀卜の伝統的背景についても紹介していますし、むしろ本来捨てられる骨や甲羅まできちんと最後まで使わせていただくというのは、命への感謝を込めた「供養」になると僕は考えています。現代においてはそのような文脈よりも「動物を占いの材料に使うこと」そのものに対して抵抗感を感じ、背景を知ろうとせず拒否する人たちもいます。
そこで、まずは「亀卜」という占いを知ってもらうためにも、現代でも使いやすい形にリバイバルした「令和版・亀卜」を開発することを目指しました。
「五色占いってただの五行を使った占いなんじゃないの?」
五色占いは、黒・赤・青・白・黄の五色から2つの色を選び、その組み合わせで占っていきます。5×5なので、全部で25パターンあります。
それで、少しだけ占いの知識がある方なら、『「五色」っていったら「五行」を使った占いなんじゃないの?』と思われたかもしれませんが、そういうわけではないんですね。
「五色占いってただの五行を使った占いなんじゃないの?」→ただの五行占いだったらどんなによかったか…
https://nishikei.jp/nishikei-pon-uranai/53654/
こちらの記事で詳しく書いていますが、ただの五行占いだったらどんなに楽だったか…。時代背景が異なる亀卜をリバイバルするためにはどうしても抽象化が必要になり、抽象化した方法で見ていくと「うっすらとした規則性」のようなものが見えてきました。
下記は、今回書いた五色占いの「赤・青」の例です。各組み合わせごとに日本神話の逸話が記載されています。この占いの特徴的な点は、「色順」です。五行の組み合わせというよりも、この色順に沿って物語が作られているようで、実占においても色順をベースに占ったほうがよく当たりました。
宗教色・教育色が強い占いをどうするか?
今回参考にした書籍は明治後期から大正にかけて書かれており、非常に時代錯誤が大きい本で、昭和初期に別の出版社が書いている本もありますが、これはこれで「固い本」なので、実占には不向きでした。
神事として用いられていることもあり宗教色・教育色が強いのですが、宗教色を全面的に出すと、それはそれで読む人を選ぶ・使う人を選ぶものになってしまいます。亀卜の空気感や伝統を残しながら、フラットに占いを構成する必要があり、このバランス調整に苦戦しました。
こうして仕上がったのが、今回の書籍『五色占い -古代占術の智慧を現代に活かす-』です。
偶然出てきた色と色の組み合わせから、物語を読むように楽しんでいただける内容になっています。
ちょっと珍しいけれど、ちゃんと日本。そんな占いです。
五色占い -古代占術の智慧を現代に活かす-
https://nishikei.jp/shop/goshiki/
にしけい