骨の加工
今回用いた鹿と猪の肩甲骨は岡山県のジビエ専門の方から分けて頂きました。
1.冷凍で届いたものを解凍
2.酵素活性作用補助剤をオガ粉に特殊配合した堆肥化用資材で肉脂を大まかに除去
3.ヘラで筋繊維と肉脂を完全に除去
4.干し網で2週間以上乾燥
作業工程のポイント
肉脂は埋土によって自然除去する方法が一般的ですが、ウジやハエが湧くためオガ屑状の特殊資材を用いて分解を試みました。作業時期は虫が発生しにくい1月から2月を選んだこともあり、外注の発生はほとんどありませんでした。
ヘラによる肉脂の除去は一度ではなかなか除去し切れなかったため、乾燥とオガ屑分解を何度か繰り返すことで比較的容易になりました。
先端のベロ状の部位がかなり強固で、除去時にいくつか破損することもありました。
今回は大小合わせて12枚の鹿肩甲骨と4枚の猪肩甲骨を作成しました。
場所
岐阜県美濃加茂市にあるBBQ施設で行いました。
天候は雨で外気温は10度前後。
大学生やクラブ活動などのBBQ客たちが楽しそうに肉を楽しむ横で、神妙な雰囲気で静かに骨を焼きました。
空腹に耐え、肉を焼きたい気持ちを押さえつつ、骨を焼く気骨溢れる私たちの姿は滑稽に見えたかもしれません。
しかし、BBQ場の方が気を利かせてくれたのか、カーテンのようなもので中が見えないようにしてくれたので、黙々と骨を焼きました。
炭
炭はBBQ場の方が用意し、火おこしもやっていただきました。たぶん普通の炭です。
BBQ素人の我々が到着したときには既に占う場が整っていたのです。
本当にありがとうございました。
加熱方法
今回は下記の方法で肩甲骨を加熱し、種々の占いを行いました。
1.直接加熱法
2.炭による部分加熱法
3.金属製器具による部分加熱法
4.熱錐突き刺し法
直接加熱法
その名の通り直接加熱する方法です。
加熱して2〜3秒で、骨の表面が焦げ始めます。
一生懸命削ぎ落とそうとした骨表面の皮膜も加熱すると、鰹節のようにふわふわと焦げてなくなりました。
炭がパチっと焼ける音に紛れて、骨が焼ける際のパチっと言う音がなりました。
加熱時間は10秒ほどで、火元から離して冷却時の温度差で「パチッ」と割れ目が入りやすいようです。
割れ方は事前に骨をヘラで加工時についた筋に沿って割れる場合が多かったので、改めて彫刻刀などで傷をつける必要はありませんでした。
基本的に縦に割れ筋が入る場合が多いのですが、加熱部位や時間によっては様々な方向に割れ目が入り「卜(ぼく)」という字の語源を体験的に理解できました。
直接加熱法の特徴
・熱いのでトングなどを使った方が良さそうです(そりゃそうじゃ)
・加熱範囲が広範囲に広がりやすく、割れ筋に動きが出やすい。
・加熱時間は炭の場合10秒もなくてもよさそう
・焦げが強くでやすいので、やや視認性に欠ける。(割れ目は見える)
直接加熱法の占断
上述のように広範囲にわたり割れ筋が生じやすいので、エリアや範囲を決めて占うことに向いていると考えられます。
大まかに全体の様子を知りたい場合にも向いていますし、単純にYES/NO疑問文の問いでも判断しやすいです。
黒く焦げてしまう場合が多いので、加熱部位と骨の削り方によっては焼け落ちてしまうものもありました。
大型の骨であれば、直接加熱法でも良いかもしれません。