自分にとって都合の良い情報のみを取捨選択することは誰にでも起こりうることです。しかし、これがいきすぎると、自分にとって都合の良い情報を捏造するようになる状態に陥ることがあります。自分にとって都合の良い「A」という情報を信じたいとき、Aだと思い込もうとしているときに、他者から「Bですよ」という情報を与えられても「やっぱりAなんだ。私は正しいんだ」という風に情報を作り変えてしまうわけですね。
一言で言うと、「聞く耳を持たない」という状態なのですが、自分にとって都合の良い情報を捏造してしまう状態になっていると、コミュニケーションが円滑に進みません。この状態に陥ると外部から有益な情報が入ってきたり、有益な情報を教えてくれる人がいたとしても、それらをうまく活用することができないため、より孤立し状況が悪化していく場合が多いです。
自分にとって都合の良い情報のみを取捨選択し、都合の良い情報を捏造する状態に陥っている人に対する最善策は、「離れること」です。距離をおくことです。なぜなら、自分が話していないことを捏造されたり、責任転嫁のとばっちりを受けたりする可能性があるからです。
ここで重要なことは、「情報を捏造する人」と断定して切ってしまうのではなく、「情報を捏造してしまうような状態」という風に一時的なものとして考えることです。もちろん長期的に情報を捏造し続ける人もいますし、死ぬまでそれを続ける人もいるかもしれません。しかし、そのような状態が一時的であることを信じて、すぐにはジャッジせずに静かに距離をおくことが大事です。
自分にとって都合の良い情報を取捨選択したり、都合の良い情報を捏造できる状態は、「本当に困っていない状態」だったりします。なぜなら、そのような誤魔化している状態でもなんとかなっているからです。「もうどうにもならない」というような本当に困った状態になって初めて、その人物は固定観念を捨てて「新しい意見を取り入れてみよう」という状態になります。そのような状態になるまで、遠くから静かに見守り、「本当に困ってどうしようもない。素直に話を聞き入れます」という状態になってから対応する…というスタンスで良いと思います。
自分にとって都合の良い情報を取捨選択している状態でもなんとかなっていると、それが「成功体験」として蓄積され「新しい情報を取り入れなくてもいい」という固定観念がより強固になっていきます。本当はうまくいっていないのに、「うまくいっていると思い込もうとしている」「うまくいっていると思い込んでいる」わけですね。なので、そのような状態になっている場合は静かに距離をおいて、見守ることが大事です。
でも、それはそれでかわいそうなんですよね。年齢を重ねたり、それなりに生きていると、外からアドバイスしてくれる人がだんだん減っていく場合が多いです。自分の体臭がきついことに気づけないときに、「あなたくさいよ」と教えてくれる人の存在がどんなにありがたいことか。そうやって、そっと教えてくれる人がいるうちはまだ救いがあるんですけど、そんな人がまわりにいないと、ずっと失敗し続けるわけですね。これはきついですよ。だから、外から「それはおかしいですよ」と教えてくれる人がいたら、素直に耳を傾けたほうがいいですし、そういう人がいたらそっと教えてあげてもいいかもしれません。
にしけい