その場しのぎの自分にとって都合の良い言葉(誤魔化し)が蓄積すると

その場しのぎ = 一時的 = 限定的

一時的に快くなる、もしくは一時的に不快さを回避するような行動や言動。「それっぽい言葉」「それっぽい理由」が蓄積すると、最終的に多くのことが破綻します。

「それっぽい言葉」や「それっぽい理由」というのは、一時的なので有効な範囲が限定されます。その場・その時のみ有効なのです。AIとおしゃべりしていて、「何かの範囲の中で答えている」という感覚を覚えることがあります。それは「この服は似合っていますか?」と聞かれて「とてもお似合いですよ」というような予定調和です。正解のレンジが決められていて、その中から答えているのです。

例えば、アパレル店の試着室で試着を終えたお客さんに対して「全然、似合っていないな」と思っていても、それをそのままぶつけるとその場は気まずくなります。不穏な空気が流れます。そのようなことを言っても「服を買おう」という気持ちにはなりませんし、売上も下がります。なので、とりあえず「とてもお似合いですよ〜」と作った声で言うわけです。

その場しのぎの言葉というのは、その場のみで有効です。接待も同じです。その場しのぎをつなぎ合わせながら、関係性を作るので、つぎはぎだらけになります。その場でのみ有効な最適解を出すことを得意としているのがAIです。接待的な接客、特定の範囲内の正解を言い当てるだけの対人関係は人間ではなくてもいいですし、やっている本人が一番「自分じゃなくてもいいのでは」と思っているかもしれません。

たまに勉強のために占いの館のようなところにフラッと入りますが、占い師でも同じような人がたくさんいます。特定の範囲内から何かを選んで話していることが分かります。接待占いです。その場をなんとなく相手をチヤホヤして、自分は嫌われないように振る舞う。無感情で無思考で機械的にやり続けることができれば良いかもしれませんが、機械的にやる作業なのであれば機械がやったほうが正確ですし、持続するはずです。

「それっぽいこと」はおそらく今後すべてAIが網羅します。「それっぽいこと」というのは、最適解・平均値・無難・最大公約数・効率化をベースに考えられた行動や言動です。相手が欲しい言葉、欲しい商品のみを提供する。「器用さ」「要領の良さ」「自分可愛さ」を追い求めると、より今後は自分で自分の首を絞めることになるのかもしれません。

 

範囲が限定された夢や目標

 

SNSや発信媒体を眺めていると、夢・目標・やりたいことといったものの多くが「特定の範囲内」に編集し直されてアウトプットされていることに気づきます。聞こえの良い、見栄えする、違和感のない何かに変換されたデジタルな「やりたいこと」たちで溢れかえっています。

無意味で社会的に価値が感じられないような夢や目標は排除され、有意義で多くの人たちに理解されやすく編集された「やりたいこと」が市民権を得ています。「変態」とか「おかしな人」というのも、ある程度「範囲」が限定されていて、本当に変態やおかしな人というのは黙殺され、存在していないかのような空気感もあります。

「本当の自分」を探している人の多くも、聞こえの良い、見栄えする、一時的に快楽が得られるセルフイメージを求めています。「私はどんな才能がありますか?」と聞かれて、「おじいさんのおしっこを拭き取る才能です」といっても喜ぶ人はいないと思います。それが本当にその人の才能だったとしても、自分が一時的に満足するようなセルフイメージを求めるために質問しているだけなので、受け入れたくないわけです。「おじいさんのおしっこを拭き取る才能」は、「その人が考える自分の才能」の範囲外にあるので排除されるわけですね。

これは「趣味」を探している人も同じです。何か自分に向いている新しい趣味はないかと聞かれ、「アジフライ蟻の巣押し込み、なんてどうでしょうか?」と答えても、排除されるわけです。想定の範囲外、理想の範囲外だからです。想定や理想の範囲内の答えを提案するのはAIのほうが得意なのです。

何かしらの創作・アウトプットをしている方々から「何かおもしろいアイディア(ネタ)はないですか?」と質問をされることがありますが、僕の意見の多くが排除されます。「それはできない」「よくわからない」「お金にならない」「無理でしょ」と却下されます。

この「何かおもしろいアイディア(ネタ)はないですか?」という質問は、あくまで質問者の想定の範囲内という暗黙のルールがあるようです。AI Chat から「それはやっちゃだめでしょ」と怒られるようなアイディアを出すのが、僕の最近の趣味になりつつあります。たぶん、それが人間がやるべきことだと思っています。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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