「僕は決定的なひと言を探してきた」
占いのお仕事をしていて常に頭の中にある「クリティカルな一言を探せ!」という課題。
限られた時間の中で、お客さんの性格・状況・方向性を示す上でピタッとフィットする核心を突く言葉が浮かぶことがある。
占いからわかる状況とその言葉が噛み合って、お客さんにそれが伝わって納得が得られたとき…この仕事、本当に面白いなぁ…とジワーッと泣きそうになる。
言葉を探す・選ぶ・吟味する作業は占いのお仕事に限らず、日常生活でもありますよね。
○○だと伝えたいのに、ピッタリな言葉が見つからない…
△△でもちょっと違うし、××だと少しきつすぎるし…みたいな。
言葉を選ぶのは、本当に針に糸を通すような繊細な作業で、こうやってブログを書いていても毎回「本当にボキャブラリー少ないなぁ」と反省がつきまとう。
牛が牧草を反芻するように、一度浮かんだ言葉を書いては消して考えて…を繰り返すことも。
言葉だけじゃなくて、文脈とかオチとかも考えたら胃袋4つじゃ足りないぐらい。
伝える方法は言葉じゃなくても良かったりする
先日受けた、ZIP FMナビゲーター&ナレーションスクールの基礎コースの授業中にふと頭をよぎった。
微妙なニュアンスを伝えるとき、”言葉”である必要があるのか。
言葉にならない”唸り声”とかでもいいんじゃないか…?
先日の授業は、ニュース原稿から曲紹介を90秒でこなすというもの。
ニュースのチョイス・話の構成・オチの付け方・曲を絡ませた話にするのか…などなど気を配るポイントがたくさんある。
1回目の発表は割とライトなニュースをベースに話をしました。
少し大きな声を出し過ぎたけど、「Morning Charge」のディレクターをされている中井先生にありがたいお褒めのお言葉を頂きました。
それで「次回は1回目と全く違う”マジメなにしけい”の顔を見せる…」という課題を頂き、今月17日に起きたタイの爆破テロ事件をニュースソースにお話しました。
気負いすぎたのか、表現や言葉が堅くなり、話を聞いている人に「重い想いを強要している」という指摘が。
録音したものを改めて聞いてみると、確かに…。うぅ…これは重い。
クリティカルな一言を探究しすぎた結果、ニュースを伝えることは出来たけど「ただただ重い話」になってしまった。僕が伝えたかったことは、もっと違うのになぁ。
中井先生からは
「逆に明るい話をすることで、その事件の悲惨さ、解決してほしいという想いが伝わることも」というアドバイスをもらって
ああ、なるほど…そういうテクニックがあるのか…と感心したと同時に、自分の視野がいかに狭くなっていたかに気づかされた。
クリティカルなワードを探さなくても伝えることは出来る。
「ミカン」ということを伝えたいときに
「すっぱい」「丸い」「オレンジ色」「くだもの」「冬によく食べる」…といった言葉でミカンを連想させるのと同じで
まわりくどいけど、表現的にやわらかくなったり。ミカンの核心を捉えた言葉が出てきたり。
もっというと、言葉にしなくても、ミカンの皮をむくジェスチャーをして
口に入れて「すっぱい(>_<)」みたいな顔をするだけでも伝わりそうですしね。
「言葉」にとらわれずに「表現」を吟味する必要がありそうですね…
別に踊ってもいいし、歌ってもいいし、紙粘土にしてもいい。
それがクリティカルな表現への近道だったりするのかもしれない…
にしても、ZIPの授業は本当に毎回眼からウロコです…
ウロコどころかサンゴぐらいです…密漁されそうなぐらいです。
別に、ZIPのまわしものでも何でもないんですが…
「表現のプロフェッショナル」たちから生の意見をもらえるわけですから、表現技法を学びたい自分としては本当にありがたい環境です。
しゃべりを仕事にするってキツそうだけど、面白そうだよなあ…
最近、妻から「あなたは何者なの?」と聞かれましたが
果たして、僕はどこで発生し、どこへ向かっていくのでしょうか…
知っている方がいらっしゃったら、この記事の終わらせ方と一緒に教えてくださいませ…
にしけい