不完全性フェチ及び完全性嫌疑病について

 

九星の七赤金星(兌)には「一爻の不足」という象意がありまして。これは「完全になりきれず、不足感がつきまという」という性質です。

例えば、七赤金星方位に髪を切りに行くと、途中まですごくいい感じだったのに、最後の方で美容師さんがワックスでオリジナリティを出しすぎて「うーん、それやんなきゃよかったのに」という蛇足感が募る出来事が起こります。

「あとちょっとで完璧なのに」みたいな状況を「一爻の不足」というわけです。

 

一爻の不足フェチ

僕はこの「一爻の不足」という状況が実は好きです。

電車で、身なりをバッチリ完璧に整えた女性(お化粧、帽子からつま先までコーディネートバッチリ!)の首から背中にかけてウブ毛がソッと残っていたりするとキュンとします。

「ああ、なんだ完璧じゃないんですね」と思うと非常に安心感と親近感が湧くのです。

一見すると他人の粗探しをしているようで非常に嫌なヤツなのですが、僕はそこを指摘して優位に立ちたいとか攻撃してやろうというわけではなく、愛でるためのチャームポイントとしてカンペキではないところを探してしまうのです。

カンペキとは程遠い自分の存在を容認するためもあるのかもしれません。

とにかく「カンペキではないもの」に心惹かれてしまう不完全性フェチなのです。これは先述したようなギャップが大きいほど心惹かれてしまいます。

「はじめからだめだめ」ではダメなのです。ある程度カンペキではないと「カンペキではない部分」が引き立たないのです。

すごく上品で気品のある黒いワンピースを召されている女性の腰のあたりにカチカチになったご飯粒がついているような。そんな違和感に「人間臭さ」を感じて、急に好きになったりします。

とにかく僕は「一爻の不足フェチ」なのです。

完全性が与える不安感

なので逆に「カンペキすぎるように見えるもの」に違和感を感じます。

例えば、バッチリ作り込まれたWebページとかです。

占い師のサイトでもありますけど「めっちゃこの占い師さんすごいんやで!」みたいな煽りがガッツリで文字も画像ファイルで作られているような、カンペキにキレイに作リ込まれているサイトを見ると逆に警戒してしまうのです。

スーパーでりんごやトマトを買うときって「傷がついていないもの、少しでも傷んでいないもの」を選ぼうとするはずです。それぐらい自然のもの、生き物というものは「不完全」です。

左右対称に見えてもどこかに歪みがあったり、右目の方が小さかったり、色が違っていたり…といった不完全さがあります。

これが感じられない「カンペキ」に作られた「カンペキ」に見せようとする意思が強すぎるものに嫌疑を感じてしまうのです。

ナチュラリストではないのですが、そこに「自然」が感じられない、もしくは「不自然」「人工すぎるもの」を感じると途端に心が萎えてしまうのです。

不思議なことに「完全性が与える不安、不完全性が与える安心感」ってあると思うんですよね。コンビニ弁当と母親の作る弁当の違いみたいな。

 

顔が見える安心感

コンビニ弁当も好きですけど、そこに工場のラインのおばちゃんたちの顔写真とかのシールが貼ってあるともっと買っちゃうと思います。「私たちが作りました 中山節子」みたいな。

農協とか一部スーパーだとそれを巧みに駆使してますよね。生産者の名前や顔がわかるので、よくわからないけれど安心感が湧いちゃう。

そういった点では、TwitterとかSNS系のプロフィールアイコンは「本人写真」を設定されている方の方が好きですね。

イラストとか似顔絵もいいんですけど、なんかこうデフォルメされてキレイになっちゃってるので「この人どうなんだろう」って思ってしまうんですよね。

カウンセリングとかベビーシッターとか家事代行サービスとか依頼するとしたらやっぱり顔写真が出ている方に頼みます。

多少photo shopとかで加工しててもいいですけど、本人写真が与える安心感ってけっこう大きいと思います。

もちろん「ミステリアスさ」を演出したくて自分の顔を出さないのもありです。

顔が分かると先入観が入ってしまいますから「中身」を評価してもらえないという考えのもと顔を出されていない方もいらっしゃると思います。

ただ、案外あなたの外見を気にする人ってほとんどいないです。一番気にしているのはあなた自身だったりします。というかあなたぐらいしかいません。

むしろ「中身で勝負」ということであれば、なおさら「見た目で判断する人」を排除するフィルターとして顔を出すのもありだと思うんですよね。

 

ある程度さらけ出しておくと楽

「カンペキなんですよ!すごいんですよ、ワタシ!」というアピールって結構疲れるんですよね。

僕もちょっと前まで一時的にそんな時期がありまして。肩に力が入っていたというか。ガツガツしてたんですよね。

最近、ありがたいことに占い師さんや占い関係の方にTwitterをフォローしていただくことが多くて、いろいろチェックしてみますけども

「救います」
「助けます」
「導きます」
「解決します」
「成功させます」
「アセンションします」

といったキーワードをプロフィールに書かれている方って素直に「すげーな」って思うんですよね。

これも一種の「着飾り」というか「強く完全性を作ろうとする」「キャラ作り」に見えちゃうんですよね。

もっと「不完全性」出せばいいのにって。

昔SNSでビジネス系の人からメッセージが来て

いきなり「あなたは成功したくないんですか?今の年収を教えてください」と聞かれたので

「それでしたら、あなたの勃起時のペニスの大きさを教えてください」と返したら「ゲイですか」と来てそのままメッセージを切られたことがありました。

こういうことなんですよ。

年収もペニスの大きさもどうだっていいんですよ。

まず上から「助けてやるよ」みたいな姿勢でくる感じが僕は苦手なんですよね。

こういうことを言う相手ってだいたい「自分はカンペキだ」という態度で、着飾るじゃないですか。

「(俺のペニスは)膨張率はすごい」とか言うじゃないですか。どうだっていいんですよそんなの。

むしろ着飾れば着飾るほど、現実と理想が乖離しちゃってキツくなるんですよね。背伸びするのもいいんですけど、脚つらないか心配なんですよね。

不完全性を見せておいたほうが楽だし、いろいろと長続きしやすいです。

 

不完全でもお仕事は頂ける

こんな感じで、僕にしけいはかなり不完全な人間なのですが、ありがたいことにこんな感じでも占いのお仕事を頂けています。

今年は「積極的にイベントに参加しない」という実験をしておりましたが、やっぱり肩に力入れなくてもいいんだなということを改めて実感しております。

Masturbation for Innovation が合言葉ですから。自分のペースでやっていきます。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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