にしけい ポン

排尿時に違和感を感じたので泌尿器科に行ったら新たな世界のドアをノックしちゃった

 

〜あらすじ〜

1週間ほど前から排尿時に尿道が痛み出し、下半身に違和感を感じたにしけいは、勇気を出して泌尿器科の門を叩いた。

下半身に違和感を感じる男性たちが泌尿器科へと向かえるように「情報」という名のファンファーレをお送りします…。

 

問診

 

僕は荷物をカゴに入れ椅子に腰掛け、白衣を来たノコノコのような院長先生と対峙した。

 

「お願いします…」と恐る恐る口にすると、ノコノコは早口で小声で問診を始めた。

 

早口でボソボソしゃべる人は、頭の回転が早い傾向があり、特に研究者に多い…。

いつから症状があったか、性交渉の有無、海外渡航歴、大きな病気をしたか、身内に糖尿病はいるか…など、事細かに質問された。

 

ノコノコ「じゃあ、そこのベッドでズボンをおろして寝ててください」

 

内心(パンツもだよね?)と思いパンツもおろして、仰向けになった。

どこかの民族集団にごちそうとして振舞われようとする羊のように心を無にして空(天井)を見ていた。

ノコノコが陰部を触診する…

 

「ここは痛いですか?」

「こうすると痛いですか?」

 

やたら痛いところを押してくる。

ノコノコに押されて気づいたけれど、股関節のリンパも押されると激痛が走った。

 

ノコノコ「尿道炎ですね…」
 

尿道炎(ノコノコ解説)

・6~7割は性交渉で感染する。
・「尿道炎=性病」というのはちょっと古い考え。
・尿道炎のウイルスや菌は皮膚や股間にふつうにいる。

「じゃあ童貞でもなるんですか?」
「はい。マスターベーションでもなりますし、まれですが銭湯やタオルからも感染します」

・感染自体はしていても「発症」するかは別。

 

尿道炎を発症する人の特徴

・寝不足、労働過多、刺激物の摂取の神に愛された男は発症する。

・30-40代の働き盛りの男性は発症しやすい。

 

僕は1日2リットル近くのコーヒーを飲み、1日2食カレーを食べ、スタバで外に出るのがもったいないからと排尿を我慢して作業していたのが原因と思われます。

あとは、息子の夜泣きが原因で寝不足になり、ムスコが疲れちゃったみたいです。

もしかしたら故郷(ちんちん)の異常を察知した息子が、それを知らせるために夜泣きしていたのかもしれません。

まるでスターウォーズエピソード2で、アナキン・スカイウォーカーがその母シミ・スカイウォーカーが盗賊に襲われ死に絶えようとしていることを察知したように、息子は故郷の異変に気づいていたのかもしれません。

僕のライトセーバーが赤くなったのは疲労や我慢を背負い暗黒面へ堕ちてしまったからでしょう。病は気からですね。

 

尿道炎だけではなかった

 

 

「じゃあ、前立腺もいちおう見ておきますね」

「え?」

「痛かったら言ってくださいね」

 

そういうとノコノコは僕のエクストラバージンアナルゲートに指を入れた。それも2本も。

 

「あだだだだだ!」

 

僕の悲鳴も空しく、グリグリと肛門の中を触診する。

 

「痛かったら言ってくださいね」とは言われたが確かに「やめる」とは言われていない。

なるほど、既に僕はこの男の策に溺れていたというわけか。

 

相手は何人何百…何千人もの男のゲートに指を入れてきた百戦錬磨の医師。

そう簡単に診断をやめるわけがない…

 

もしかすると、人間「つっこむこと」を極めると、その姿形も「つっこむこと」に特化したものになるのかもしれない。

この医師の亀のような頭は、一種の職業病というわけか…。

 


懐中電灯もまさかこんなものを照らすために生まれてくるとは思いもよらなかったでしょうね。

 

「本当は定期的こうやって前立腺をマッサージするといいんですよ」

「放っておくと、子どもができなくなっちゃいますからね」

「来週もまたきてください」

 

ダランと垂れ下がるライトセーバーを明るく照らし出す懐中電灯の光とは裏腹に、僕の心は真っ暗になった。

 

 

地獄はまだ終わらなかった

 

「じゃあ一応ね、カメラで中を見ておきますから。呼ばれたら来てください」

そういって案内された部屋には僕が見なれない椅子が置いてあった。

 

座面中央に飛び出る謎の突起物。

 

嫌な予感がした。

嫌な予感しかしなかった。

 

「じゃあ、ズボンとパンツをおろして腰かけてくださいね」

 

突起物にはローションがたっぷり塗ってあった。

 

若い看護師は冷めた口調で

「深くまで腰かけてくださいね」と言った。

 

僕には彼女が地獄の拷問官にしか見えなかった。

 

 

 

 

僕の想像通りだった。

 

あの突起物の先端にカメラがついていて、座った人の前立腺の様子を生中継LIVE放送するわけだ。

 

「痛かったら言ってくださいね」

 

ノコノコ先生と同じ口車を使う、女子拷問官。

 

 

 

挿入…

 

 

 

 

「ッッツああ!痛いです!痛いです!ちょ、ちょっと無理ですね!」

 

「無理ですか…もう少し深くまでいかないと見えないですね…」

 

 

2センチほど入ったところで体操のあん摩のようにパイプにつかまり浮かび上がる僕・30歳・秋。

 

 

つい数分前にゲートを開発された初心者ゲートに、いきなりプラスチック製の突起物を差し込むなんて…

免許を取った次の日にETCなしで首都高を運転するようなもんだ…

 

「痛かったらやめておいてもいいですよ」

「はい、すいません…」

 

お尻を持ち上げて前方へ崩れ込む…。

 

「ローションをふき取った紙はそこのゴミ箱に捨てておいてください」

「はい、すいません…ごめんなさい…」

 

 

 

※ちなみに健康な前立腺をもっている人はそこまで痛くないらしいです。

※といっても健康な人が検査することの方が少ないのでは…。

 

結局、前立腺の内部をモニタに晒すことはなかったのですが、僕の情けない醜態を晒す結果に終わりました。

 

 

今回わかったこと

 

 

・酒、コーヒー、カレー、マスターベーション禁止。

・美味しいもの食べてよく寝てください。

・刺激物大好き働き盛り30-40代男性は要注意。

・前立腺をモミモミしてほぐしてやるといろいろ元気になるらしい。

 

 

下半身に違和感がある人は恥ずかしがらずに、すぐにお医者さんへ。

不安な人は先輩患者(僕)に質問してください。

 

にしけい

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西田 圭一郎

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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