それでもなぜ僕たちは「クリーパー」を愛してやまないのか?

 

今日はMineCraftのクリーパーというキャラクターについて語ります。

クリーパーはプレイヤーを見つけると、近寄ってきて自爆します。サバイバルモードでゲームを進めている人で、このクリーパーにやられた人は世界中何百万人はいると思います。MineCraftのサバイバルモードはすごく「人生の縮図」みたいなものを実感できて「嗚呼…」となります。僕はまだ35年しか生きていませんが、サバイバルモードには人生で学ぶべきことがかなり詰まっていると思います。まず、スポーン(生成)される場所や世界がランダムなのです。どこに生まれるか。生まれた場所のまわりに何があるのか。どうやって生き延びていくのか。実際の世界も生まれる場所がランダムです。親・家柄・立地・兄弟…様々なものがランダムです。マイクラの世界でもスタート地点の周辺でどんな資源が取れるのかランダムです。この「資源」は、実際の人生でいうと「才能」とか「能力」みたいなものに近い気がします。初期段階で使えるリソースが違うのです。リソースがあっても、うまく使いこなせない場合もあります。使いこなすためには足りない材料があったり、邪魔をしてくる敵キャラもいます。その1人が冒頭に述べたクリーパーです。

彼はとにかくプレイヤーを見つけると近づいてきて自爆します。ゲーム開始当初は装備も潤沢に準備できず、右も左も分からないため、突然緑色の生き物が近寄ってきてGAME OVERになります。何が起きたか分からず死んでしまう。死んだあとに「あ、クリーパーいたのか…!」と気づくのです。彼は作った家や整備した土地も全て吹き飛ばします。周辺にいる他の敵キャラも一緒に吹き飛ばします。まず、クリーパーの一番の魅力はなんと言ってもこの「無差別感」です。とりあえずプレイヤーには寄ってくるものの、爆発に巻き込む相手は無差別なんです。そして、彼を倒したあとはアイテム「火薬」を落とします。このあたりも一貫しています。彼は火薬しかもっていないのです。自爆することを前提に生まれてきているのです。無差別性と一貫性。非常に純度が高いんです。シンプルだからこそ強いのです。それでいてその不器用な行動に愛くるしさをも感じてしまうのです。他のスケルトンやゾンビは少しだけ小賢しい動きを見せますが、とにかくクリーパーは単純なのです。近寄ってきて自爆する。彼に遭遇したら「事故」に近いと思います。そうなってくると「事故」とは何なのか。非常に純度の高い混沌に、肉体や精神が耐えられなかった現象のことを指すのかもしれません。しかし、ゲームに慣れてくると少しずつこの事故は防げるようになります。

生まれた土地でリソースに恵まれなかったら、遠く離れた地へ移動することもできます。地元を離れて暮らす。これも現実世界で起こりうる現象です。地元に資源が潤沢にあって、安定に定住できるならそのエリアを動かず、村を作っても良いでしょう。しかし、生まれた土地が自分の生き方やライフスタイルに合わなかったら…欲しいと思う資源が手に入らなかったら…船を作って新たな土地へと移住するのです。マイクラのサバイバルモードの面白いところは「一定」や「安定」が存在しないところです。クリーパーのような何かしらの「イレギュラー」が一定確率で起きてきます。徹底的に守りを固めることもできますが、守りを固めすぎても何もせず退屈な日々が続きます。(それでも、その退屈な日々を破壊するようなイレギュラーが現れます)。

マイクラをやっていると、「安定」を得るためには、矛盾するようですが、「イレギュラー」が必要であるということを強く実感します。新しい要素を次から次へと取り込んで、新しい土地へ赴き、新しい材料や敵と出会い、学習して、活用して、それを続ければ続けるほど安定度(生きやすさ)が増します。僕はプレイ開始当初、モンスターの夜襲に遭い、何度も死んでいました。今でこそ常識になっていますが「湧き潰し」が全然分からなかったんです。モンスターは暗いところにスポーン(出現)します。なので「明かり」が必要になります。この松明を作るには「石炭」と「木の棒」が必要になるのですが、なかなか石炭が見つからなかった。木は確かに至る所に生えているけれど、石炭って?となっていました。そこに現れたのがクリーパーです。クリーパーは僕を見つけると、いつものように近寄ってきました。なんとかクリーパーの爆発の直撃は避けられて、死は免れたのですが、大ダメージです。死にかけながらも、クリーパーが爆発した後の地面の断層を見ると「石炭」が転がっていたのです。クリーパーの爆発によって、大地が削られ、幸運にも石炭が出てきていたのです。「事故」が大きな発見につながった瞬間でした。この経験から、人類はやはりこういった「イレギュラー」によって「進化」を遂げてきたのだなと実感できました。クリーパーに感謝しました。本当にありがとう。それ以来、クリーパーが大好きになりました。無差別さと一貫性と不器用さ。そして、大きな発見と感動を与えてくれる。そんな存在なのです。

 

 

それ以来、僕にとってクリーパーは「進化」と「閃き」の象徴のような存在になっているんですね。「芸術は爆発だ」と岡本太郎が言い放っていますが、本当にそう思います。クリーパーの爆発は、プレイヤーに「クソ…!」「チクショウ!」といった強い感情の爆発を与えます。クリーパーだけではありません。失敗して死ぬたびに爆発が起こります。たかがゲームかもしれませんが、ゲーム(遊び)というのは、こういった「失敗」を疑似体験して学ぶことも目的のひとつなのかもしれません。イレギュラーにどう対応するか。イレギュラーをどう活用するか。実用面、精神面どちらもです。生きていると本当にいろんなイレギュラーが起きます。それを未然に防ぐことも知恵です。たくさんの先人たちの失敗の蓄積があって、今の私たちの生活が成り立っています。次世代のために何か残すとしたら、失敗することなのかもしれません。残せない、残せなかった失敗も無数にあったでしょうし、あなたの失敗が次世代に残るかどうかわかりません。

しかし、あなたがもし何か失敗したとき、それをそのままにしておいては、もったいないのです。それを何か活用してやろう、うまくいかせてやろう。そういった気概があれば、それが「成功体験」「進歩」として、未来に残るかもしれません。失敗して、しょぼくれて「俺の人生は失敗ばかりだ」と嘆いていては何も残りません。何度も言いますが、私たちの生活の多くが、先人たちが「この失敗を活かしてやろう」と試行錯誤した結果の上に成り立っています。「チクショウ!」と思うことがあれば、それを活用するのです。イレギュラーが起きた時。あなたの人生にクリーパーが突然現れた時。クリーパーがこちらに近寄ってきた時。クリーパーが爆発した時。あなたはどんな対応をしますか?そして、何を学びますか?

たくさんやるべきこともあるし、そろそろ寝なきゃいけないのに。記事を書くのに夢中で、気づいたら30分経っていました。マイクラも面白いけど、リアルワールドももっと面白い。次から次へとクリーパーがやってくる。みんな、サバイバルモードで生きてるんです。さぁ、あなたもツルハシをもって冒険に出かけましょう!

にしけい

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書いている

西田 圭一郎

1987年富山市生まれ。工学修士。 商社の開発営業職を辞めて、占いや相術を生業にしています。本と旅とポケモンと文章を書くことが好きです。黒も好きです。どの国に行ってもスチューデント扱いされます。詳しくはこちらから。

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