【冬季うつはウソ?】うつ病はあたたかくなる6月〜7月に増加する!

厚生労働省の統計データによるとH26年にうつ病と診断された患者数は392万人で、H30年現在は400万人以上がうつ病と診断されていると言われています。

日本国民のおよそ3%、約30人に1人がうつ病と診断されている計算になります。

うつ病患者数の増加に伴い、心療内科の数もここ10年の間に10%ほどの増加傾向を辿っています。

うつ病と診断された患者の中で入院する患者の数も減少しており、それに伴い精神病院の入院床数も減少傾向にあります。

うつ病と診断される閾が下がっているのか、薬効が高まってきているのかはわかりませんが、重度なうつ病患者は減少傾向にあるものの総数は増加しています。

「冬季性うつ」の疑問

日照量の低下により、体内時計を司るメラトニンの分泌量が低下することで引き起こされると考えられている冬季性気分障害(冬季性うつ)。

コペンハーゲン大学の研究チームがまとめた研究結果によると、季節性うつ病患者は夏よりも冬にセロトニンの分泌量が低下しているため「日照時間が短いと鬱になる」と結論づけています。

参考記事:保健指導リソースガイド

引用元の論文が読めないため、何とも言えない結論なのですが…11人の被験者でセロトニン伝達物質5%アップが観測されたから「冬は鬱になりやすい」というのは少し疑問符がつきます。

それで、気温や日照時間によってうつ病患者数に差が出るというのであれば、国内の寒い地域にうつ病患者数が多いのではないかと考え確認してみました。

全国うつ病診断者数分布(2008年)

人口の割合に対して圧倒的に北海道が多いです。ランキングを見ていると東北・日本海側の都道府県が上位にランクインしていて、一見すると「寒くなると鬱になる説」は当たっているのかなと思いきや…あたたかいエリアも途中ポツポツと上位にランクインしております。

さらに、富山・福島・福井・青森といった雪国が下位にランクインしている点を考慮すると「気温」や「降雪」、そしてセロトニンの分泌量と関係があると考えられている「日照時間」とは相関がないのではないでしょうか。

「冬季性気分障害」通称「冬季うつ」というものは存在するのかもしれませんが

実際のところ日照時間や気温の低下によってうつ病が増える…というのは相関がなさそうです。

また、精神科の医師数が人口に対して比較的多い九州や四国エリアにおいても、うつ病診断患者数との相関が見られなかったため

うつ病患者数が増えたから精神科が増えたわけではなく、もしかすると精神科の診療所が増えたことで「うつ病診断者」が増加している可能性があります。

かくれんぼの鬼が増えることで見つかってしまう人が増えるように、本来のうつ病患者の総数は定常的なのかもしれません。

 

あたたかい時期になると増える?

「寒い時期になるとうつ病患者が増える」という説に対して明確に「NO」と示している論文が見つかりました。

救急受診患者における精神科疾患患者数の季節性-滋賀医科大学の場合-[PDF]

この論文によると…

精神科疾患で受診する患者数は, 6 ~ 7 月と 9 ~10月にピークがあり, 1 月に最も減少していた。精神科疾患で受診する患者数は,日照時間や降水量との間に関連性は認められなかったが,気温が上昇すると精神科疾患により来院する患者数が増加することが示された。

 

うつ病の発症は春と秋にピークがみられ,躁病の発症には春または夏にピークがみられることが多いという報告や,うつ病エピソードは春に,躁病エピソードは夏に最も多く認められ、大うつ病単一エピソードについては,秋に第 2 のピークを示す報告が認められる。

武井らは、精神科に入院した患者の入院時期を調べた結果,躁病と統合失調症は夏季に最も多かったと報告しており,自殺者の季節性については厚生労働省の平成19年度の統計からは、12月が最も少なく, 6 月にそのピークを迎えていると報告されている。

参考論文:精神病における入院の季節性:発症時の診断、性別、年齢の影響(英文)

今まで「冬だから気持ちも暗くなる…」と安直に考えていましたが、どうも違っていたみたいですね。

 

なぜ「あたたかくなる」と躁鬱が増えるのか?

ではどうしてあたたかくなる時期に躁鬱が増えるのか?

気になる論文があったので、これも引用しておきます。

気象・季節の感情障害への影響(福岡義隆)[PDF]

この論文によると、先述した論文と同様に「あたたかくなる時期に自殺者が増える」と述べていて

犯罪については夏季に多いということから、高温多湿という不快指数の高いときに攻撃性犯罪が多発する傾向が見られた。

 

不快指数が高まることで感情が浮き沈みを起こし躁鬱状態へとつながるのではないかと予想しております。

温度差が影響?

となってくると、温度差が生じることで感情も乱れやすい可能性があります。

「温暖化」により「夏に猛暑日がより多く続く年」は躁鬱傾向が強くなったり、「暖冬の年」は温度差が少ないため躁鬱傾向が少なくなったりするのかもしれません。

このあたりはさらに深掘りしてみると傾向が見えてくるのかもしれませんが、うつ病対策の総合的提言によるとうつ病の要因は複合的であるため一概に「これだ!」という要因は見つかっていないようです。

まとめ

「寒いと鬱になる」というのは案外そうでもなくて、あたたかくなりだす6~7月にかけてうつ病患者が増え

気温が下がり始める10~11月もうつ病患者が増加傾向にあり、日本国内では「季節の変わり目」にうつ病患者が増える傾向がある。

ということです。

 

おまけ

気学的には「6月」は午月で、「10月」は戌月になります。三合火局の午・戌…ときているため、もしかすると三合を満たす「寅月」である2月もうつ病患者が増加する…なんてことも?

」なだけに、「三合火局」の十二支が該当する時期は気持ちが移ろいやすいのかもしれません。

この時期は特に気持ちを落ち着かせて心地よく過ごせるように心がけましょうね。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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