「悲しみ」を箱に入れてフタをして
「強がり」でグルグル巻きにして
その上に「作り笑顔」という名の空の箱を積み上げて
「悲しみ」をなかったことにして、やり過ごそうとする。
そのような人たちを、僕は割と多く見てきた方だと思う。
そのせいか、そのような人たち特有の「目」を見ると、一瞬でわかってしまう。
優しく穏やかそうに見えて、何かを隠すように作られた笑顔。
少し指で突くと、高く積み上げられた空箱がいとも簡単に崩れ落ちてしまう感覚。
ポロポロと、悲しみがこぼれる。一番下の箱は、ジワジワと濡れてくる。
辛すぎる出来事があると
受け入れ切れない出来事があると
それを箱に入れて「フタ」をして「なかったこと」にする。
「受け入れたこと」にする。
逃げ出したい。
向き合いたくない。
だから、とりあえず「フタ」をして、隠すように空箱を上に積み重ねる。
・穏やかそうに笑って見せる。
・誰かを救おうとする活動をする。
・無駄に忙しくする。
・病んでいる人に寄り添おうとする。
・余裕のない虚偽の優しさ。
本当は一番自分が救われたいのに。
自分の「悲しみ」を残したまま、それを受け入れるために「悲しみ」を動機にして、忙しく動き回る。他人に寄り添う。
とにかく「空箱」を積み上げたいから、良いものも悪い人も全てを受け入れる。
いくら「空箱」を積み上げても、大事なものは濡れたまま。
すぐに、向き合うのは無理かもしれない。
けれど、逃げていても繰り返すだけだから。
憎むなら、血反吐で文字が書けるぐらい憎めばいい。
悲しむなら、廃人になるまで、眼球が腐り落ちるまで涙すればいい。
自分が情けないなら、鼻水と唾液と涙で池ができるぐらい泣き叫べばいい。
「しょうがない」
「もう終わったことだから」
で、箱に入れてそのままにしてちゃダメだから。
中途半端に悲しむから、中途半端に認めるから、しんどくなる。
とことん箱の中身と向き合って欲しい。きっと一番大事なものだから。
他人のことなんかどうでもいいから。格好なんてどうでもいいから。
平気な顔して笑っている方が楽?そんなわけないでしょ。
あれだけ辛いことがあったんだから、自分を可愛がっても誰も何も言わないよ。
まずは、自分を1番に。
自分の気持ちを、1番に。
にしけい