AIによって虚(架空のイメージ)を作り出すことがさらに加速していて、ネットが生まれたときよりもさらに虚(イメージ)を作り出す速度が増してきているんですね。キャラクターとか個性っぽいもの、特定の部分を切り取った情報が何の意味もなさなくなってきて、価値がなくなるわけですね。テレビや権威みたいな「一極集中の巨大な虚を作り出す製造機」が意味をなさなくなってきて、もうイメージとか部分的な情報を押し出して仕事をしていくのは難しくなっていくのでしょうね。
例えばですけど、特定の部分(キャラクターとか個性)のみを押し出して活動している人というのは、やっぱり実際に会ってみたり、「生」で接すると、ボロが出る場合が多いんですね。「実」が伴っていればいいのでしょうけれど、伴っていないと、「あれ?この人は何か様子が違うぞ?」という風になってしまうわけです。
「虚」が飽和して、今度は「実」に価値が出てくるわけです。「何を言ったか」じゃなくて「誰が言ったか」みたいな世界です。だって、「何を言ったか」の部分はこれだけ情報が氾濫しているんで、もうそこまで価値がなくなってきているんですよね。それで「誰が言ったか」という話になったときに、今まではよくわからない権威やキャラクターみたいなもの(虚)が機能していたんですけど、それがもう通用しなくなってくるわけです。
「誰の言葉を信じるか?」という話になったときに、今までは肩書きとかキャラクターとかそういったものでなんとかなったわけですけど、今後はそういったものが全く通用しなくて、「実」の部分での勝負になってくると思うんですよね。実際にやっているのか、実態はどうなのか…といった「生の姿」が大事になってくるんですね。
「実」という漢字は、「木の実」とか「果実」という言葉にも使われますけど、「中身が詰まっている」という意味があって、要するに「中身がスカスカ」だと、価値が出なくなるというか、誰にも信じてもらえなくなる時代になっていくのではないかと予想しています。
肩書きとかキャラクターとか言葉とかそういったものではなくて、その人の「実際性」みたいなものに重みが出てくるので、そういった「虚」を追い求めていたり、「虚の世界」に依存している人は淘汰されていくんじゃないかなと考えています。
「実」が重視される世界になってくると、綺麗なところだけ、良い部分だけ見せるというのはもうあんまり価値がなくて、「人間臭さ」みたいなものも大事になってくると僕は考えています。
「実」が重要視されると、「本当の積み重ね」に価値が出てきます。「実績」というものです。「実」を積み上げていくには「継続」が必要になります。継続するためには、フラットさや均一さが必要になります。「今日だけ頑張る」とか「人が見ているから頑張る」ということではなく、毎日コツコツ地味でも続けることが重要になるんじゃないかなぁ。
にしけい