効率や再現性のみを追求すると選択肢と可能性が制限されていく

「効率が良いこと」というのは、高い確率で特定の範囲内の結果が得られることです。再現性が高いとも言えます。効率を追い求めると過去に他者もしくは自分が成功した範囲内の行動に限定されます。日々の暮らしの中で再現性の高い行動をとることで効率化を図ることができているのは先人たちのおかげと言えます。時間や労力の短縮につながっています。個人の中でも過去に経験して成功した例を再現することで、効率化を図ろうとする場合もあります。しかし、効率化に重点を置いた場合、選択肢や可能性が減っています。「高確率で成功する」という特定の範囲内の行動のみを選ぶからです。

例えば、人間関係においても「仲の良い人」のみと交際していたほうが効率が良くなります。コミュニケーションもスムーズです。「Aと言えば、Bと返ってくるだろう」ということが既に分かっている・予想がつく相手とのコミュニケーションはストレスが発生しません。過去にその相手と行ったコミュニケーションの経験から、返答やイメージが特定の範囲内に収まっているわけです。一言で言うと楽です。

しかし、そういった自分が「予想している範囲内のコミュニケーション」のみを取ろうとしていると、その範囲内に選択肢が限定されていきます。全ての行動において、効率化を図ろうとしたり、楽な方へ向かうと、その時は良いのですが、最終的に選択肢や可能性が減っていきます。なぜなら、特定の範囲内の行動を自分で選び続けているからです。

これは他者に答えや正解を求め続ける場合も同じです。誰かが「それが正解だよ」と定義した範囲内の行動しかしないわけですから、選択肢が減っていきます。そしてその「誰か」を選んでいるのは自分自身です。自分にとって「想定外の意見」をもたらす相手なのか、それとも自分にとって「想定内の意見」をもたらす相手なのか。もしかすると、本当は想定外の意見をもたらしているのに、勝手に「想定内の回答だった」という風に変換してしまう場合もあります。自分の都合の良いようにです。

円を描き、その円の内側が想定の範囲内だったとします。高効率化・高再現性・他者によって定義された正解といったものは想定の範囲内なので、円の内側に入ってきます。そして、その円の内側の行動や結果を求め続けると、円の外側にある選択肢が広がっていきません。世界が広がらず、新たな可能性が減っていきます。

ほとんどの人が可能性や選択肢を増やしたいはずです。お金は現世では可能性や選択肢を増やしてくれるツールのひとつです。だから多くの人たちがお金を追い求めているわけです。可能性や選択肢を増やしたいと主張しているのにも関わらず、自ら可能性や選択肢を減らすような行動をとってしまう。その矛盾に気づけるかどうかだと思います。

もちろん、選択肢や可能性を増やすためだけに行動することも、それはそれで選択肢や可能性を制限することになりますから、そのような選択ばかりするわけにはいきませんが、自ら選択肢や可能性を制限していることに気づくことが大事です。

にしけい

 

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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