自分で自分を守る壁を作らざるをえなかった人に何かできることはないもんかなぁ

囲い込む。包み込む。線引きをする。律する。一般的には「父性」がもつ機能。中にいる人間を閉じ込める檻にもなれば、外敵から守るための城壁にもなる。他者(多くが父親的な存在)によって、こういった守られているという感覚を幼少期に得られなかったときに、自分で城壁を形成するようになります。頼れる人がいなかった、自分が頼られる側だった、不条理をぶつけられる(秩序がなかった)環境で過ごすと、自分で自分を守るために壁を形成します。

 

 

内側から壁を作るとどうしてもデコボコになってしまうんですね。外側から見えないから、一部に穴が空いていたり。それで、穴から何かが入ってくると大変なことになってしまうから、壁を分厚くするのですが、これによってまた壁のデコボコが大きくなっていびつな感じになってしまうんですね。

「無条件で受け入れてくれる他者」という点では母性も大事なのですが、この「守ってくれる他者」という父性もまた同じように大事なように感じます。母性は自分が行動できる範囲を決める「土地」で、父性は今説明したように高い境界性によって安心感をもたらしてくれる「塀」とか「壁」といったイメージでしょうか。

自分で壁を作って自衛するしかない。しかし、そういった状況で「もしかしたら、この人は壁のように頼れる存在になるかもしれない」という人が出てくると、試し行動をすることがあります。その壁が自分を守るに値するかどうか、叩いたり傷つけたりしてみるわけです。

本来は父親的な人間にそういった感情をぶつけて「ああ、自分は守られているんだな」という実感を得て満たされるわけですが、今までそういった経験をしたことがないと、過剰に壁を叩いたり、蹴っ飛ばしたりしてしまうわけですね。

こういった行動が「あの人は突然おかしなことを始めた」「失礼な人だ」といった誤解を生んでしまうこともありますが、本当は「寂しい」「囲んで欲しい」「守って欲しい」だけなのに、今まで壁に体当たりをしたことがないので、ぶつかり方がうまくないんですね。

繊細で、傷つきやすい少女のように、自分を守ってくれる人を求めているだけなのですが、今まで自分で壁を形成していた分、他者が作ってくれる壁の審査も厳しくなっているんですね。むしろ、壊れるまで叩き続けてしまうようなところもあります。

壊れてしまった壁(他者)に対して、「ほら、やっぱり他人は頼りにならないんだ」と絶望したり、裏切られた感覚に陥ったり。でも、こうすることで「これまで通り自分のことは自分で守るしかないんだ」という安心感を得たり、自分で壁を形成してきたことを正当化できるわけです。

こういった試し行動は、衝動的かつ突発的に起きます。不思議な話なのですが、本当は他者に形成してもらう城壁に守られたくてしょうがないのに、いざ城壁が形成されそうになると壊してしまいたくなるのです。

他人に甘えるのはダメだ。頼れるのは自分しかいない。結局他人はいつか裏切るんだ。城壁が完成しそうな直前で、全てを壊したくなる衝動が生まれるのです。「外敵から自分を守るための城壁は自分で作るしかない」という固定観念みたいなものに執着している状態と言えます。自信を失っているときほど、自信を取り戻したいので、突然壁を壊したくなります。

 

壁を自分で作る人の傾向

 

こういった傾向は、自立心や独立心が強く、いわゆる「頑張り屋さん」と呼ばれる人に多いです。いつもお世話になっているリンパサロンの先生曰く、普段から力が入っているせいか、肩甲骨とか肩まわりが凝り固まっている場合が多いらしいです。

僕が見ている限りだと、下半身や太ももが太りやすい女性はこの傾向が強いと思います。父親との関係が希薄、母親が強すぎて父親が弱い、父親が不在、叱られないようにしてきた、第一子(長女)といった方に多い気がします。

「だって頼り方がわからない」「今さら誰に頼ればいいの?」「今までも一人で生きてきたし(これからもそうやって生きる)」といったようなことを口にすることも多くて、ナワバリ意識が強く、やや他者や異性を見下すような態度が見られる場合が多いのですが、それは自分で壁を作るしかなかったがゆえに起こる性質といえます。

なぜこのような話を書いたかと言うと、先日とある地域のイベントで出会った小学2年生ぐらいの女の子に突然話しかけられたからです。

隣のベンチに座っていたその女の子は突然、「私、家にお父さんがいないんだよ。私が小さい頃いなくなっちゃったんだって」と話してくれました。その日は親子連れが多く、自分と同年代の女の子がお父さんと手を繋いで歩いている様子が目についたのでしょう。何ともいえない気持ちになりました。もしかすると、こういった満たされない気持ちを抱えたまま大人になると、自分で壁を作って自分で守ろろうとするようになるのかもしれません。

 

本当に強い壁は柔らかいのかも

 

この子が頼れるような、本当に強い壁はどんな壁なのだろうか。どういった他人(壁)なら、こういった人たちも安心して「誰かに頼ってもいいんだろう」と思えるのだろう。帰り道、歩きながら考えていました。

あの女の子も大人になると、誰かに守ってもらいたいがゆえに突発的な行動をとって、他者が退いてしまうような行動をとってしまうかもしれない。そんなときに、どんな壁なら思いっきりぶつかっても壊れないんだろう。

ちょうどAmazonプライムでジョジョの5部(黄金の風)を見ていたのですが、5部に出てくる「スパイスガール」というスタンドのセリフにピンときました。

「置時計ヲ柔ラカクシマシタ アノ時計ハ モウ 少ナクトモ 電池ガナクナルマデハ 永久ニ 壊レル事ハナイ!!」

柔らかければ壊れることはないんですね。

これまでに書いたような性質をもつ女性が「自分で壁を作らなくてもいいかな」という状態になったパターンも見てきましたが、その多くが「何を言っても意味がなさそうなやわらかい男性」と結婚しているというパターンでした。

一見すると、ふにゃふにゃしている感じなのですが、叩いても叩いても壊れないスライムのような柔らかさがある男性なんですよね…。

なので、もしかするとこれらの性質をもっている人には「固い壁」よりも「柔らかい壁」のほうが必要なのかもしれません。何が正解かはわかりませんが、イベントで出会った女の子も含めて、頑張り屋さんと呼ばれる人たちの肩の力が抜けて、少しでも暮らしやすくなればいいなと思いますし、そのためにまわりの人たちができることは「堅さ」を追い求めるのではなく、「柔らかさ」なのかもしれません。

頼れる人がいなくて、自分で自分を守るしかないって、しんどいよなぁ。すぐにはなかなか自分を変えることは難しいかもしれませんが、少しずつ誰かが作った壁にもたれかかってみてもいいのかもしれません。何もかも少しずつ、ちょっとずつです。

 

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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