書籍紹介
伊泉龍一・ジューン澁澤「西洋手相術の世界―『手』に宿された星々の言葉」(駒草出版2007年出版)
自分が占いを勉強し始めた頃に出版されていた本で、なぜかここ最近まで読んだことがなかった上梓本。
おそらく勉強し始めたころの自分にとって「3000円近い手相の本」は高価に感じたんでしょう。今は数万円の本も何の躊躇もなく購入するぐらいになっちゃいましたが…。
そんなことはさておき、本の内容ですが…
手相と西洋占星術(ホロスコープ)は関係があるんだよ!
丘や指の意味を説明し「これさえ頭に入れておけば応用が利きます」という文言に
「ああ、僕が言いたいことを1冊の本にまとめてくれてる人がいたんだ!」と歓喜の1冊。
英語の文章をたくさん読み込まれているからか分かりませんが
表現が占星術特有のやわらかさ、ふわっと感があり、ネガティブな言葉を使いがちな占い師さんにはオススメ。
明治時代〜昭和初期に国内で出版された手相本にあるような
「コノ線ガアル者ハ、殺人ヲ犯ス」みたいなガッツリエッジの効いた表現が好きな人には物足りなさがあるかもしれませんが、曖昧も時として必要になるかもしれません。
本の前半半分はリーディングに関して書かれておりますが、丘に惑星を当てはめて考える点はキロやデバロール由来の現代書籍たちに近いものがあります。
基礎的な部分をソフトに表現している印象です。
後半部分は「論文」に近い
後半部分はガラっと変わって手相の歴史についてガッツリまとめと著者の考察が書かれています。
内容を読む限り、この著者らはこっちの方が専門なんじゃないかと思います。
本当によく調べられています。著者は土星丘と木星丘が凄く発達していそうです。
世界占術大全をはじめ「占いまとめ本」みたいなものはちょくちょく見かけますが
ここまで手相に特化した歴史的考察が3000円で読めるのは非常にありがたい世の中になったなぁと思いました。
正直、後半部分は非常にマニアックな濃ゆい内容になっているため、僕みたいな手の施しようがない手マニアには喉から手が出るほど欲しい堪らない内容ですが
ビギナーが最初に読むにはちょっと手が出にくいかもしれません…。
上下巻に切り離して出版されても良かったんじゃないかなという印象はありますが、出版社や著者の作戦なのかもしれません。
理系占い師には堪らない1冊
考古学や歴史が好きな方、あとは論文を読むことが好きな方にはかなりオススメの1冊です。
手相のバッググランドを知ることで、より深く手相を理解できるし、過去の偉人たちの苦悩から新たながアイディアが浮かぶかもしれません。
よりテクニカルな歴史を学びたいのであればこちらの本がオススメです。
この本も本当によくまとめられていますが、絶版本です。
にしけい占い図書館には置いていますので、ご興味があれば是非。
にしけい