フェズ新市街地を歩いてとりあえず駅に向かいます。
道中、露骨に挿し木をして植物を増やそうとしていた喫茶店があり、植物の成長過程を見るためにリピーターが訪れるかもしれませんし、これこれでありなのかもしれないと思いました。
フェズ駅に着きました。
切符を取るために列に並びますが、ここは凄まじく横入りと後ろからのモッシュが激しいので
好きなアーティストを近くで見たい!というライブでのあの気持ちを思い起こしグイグイ後ろから詰めていかないと、いつまで経っても切符は買えなさそうでした。
特にイスラムの衣装を着たおばさんたちの横入りパワーが凄まじく、隙間があれば1人がまずそこに入り、さらにその仲間たちもこぞってそこに入るという連携プレーで前に進もうとします。
「和をもって尊しとなす」という聖徳太子の憲法の文言をイスラムの戒律にコソっと横入りさせられれば、もうちょっと変わるのかもしれません。 本当に凄まじかったです。
しかし、無事なんとかフェズからカサブランカ行きの電車のチケットをゲットしました。
1stで174ディルハム、1740円でした。この国は本当に移動に困らない国です。 日本ももうちょっと鉄道会社の競争が起こって価格が下がれば地方都市もより活気付くのかもしれません。土地が狭いのと利権の問題で新しい鉄道を作るのって難しいんだろうなあ。
フェズ駅からはやはりタクシーで移動です。
タクシーの運転手が「知り合いに日本語を話せるガイドがいるよ!フェズの街はガイドがないとわけわかんないよ!」と言って勝手にガイドを呼び出します。
どこからともなくバイクに乗って現れたガイドさん。 なんなのその素早い登場、段取り良すぎでしょうよ。
後部座席の窓を覗き込むように「日本のどこからきたの?」と流暢な日本語で話しかけてきた坊主で小太りでシーモと名乗る男性。
手を瞬時に観察、両手マスカケで右手は知能線が残る形をとっており、そのほかの線も合わせて見るとこの人物は語学に非常に長け口が上手いということが判断され、警戒レベルが一気に上がりました。
長年東京に住んでいたらしく日本の永住権も持っていて、確かに日本語ペラペラでした。
ここで初めてインドを旅した時の苦い経験が頭のなかに映像として浮かびました。
見たくないもう見ることはないと決め込み脳の奥の方にしまっておいたDVDを再生したような気持ちでした。
インドのニューデリーでボラれたときも日本語ぺらぺらの旅行代理店のおじさんにヤられたのです。
そのときに「日本人≠日本語を話せる外人 」という鉄の経験則が僕の全身の細胞に刻みこまれていたので、オス猫がライバルオス猫を威嚇するような気概で警戒前線を張り巡らせました。
しかし、インドで学んだのはそれだけではありませんでした。
バラナシで出会ったエミさんという日本人女性がバッサバッサと現地人を相手に交渉したり、激しい売り込みを断る様子を目の当たりにしていた自分も同じようにいざとなったら「きっぱり断る」という術を知らず知らずに身につけていました。
逆にこの日本語でコミュニケーションが取れるのであれば、誤解は少なくよりスピーディに交渉できると考え、一旦この男についていくことにしました。
「学生だからお金はないよ」と告げ、予防線を張っておきその上で進みました。
鳩を愛するモロッコ人たちは壁に巣穴を沢山作り、ハトたちを繁殖させます。
主に卵や肉を食べたりするそうです。
幸せの象徴とも呼ばれた(い)にしけいの今後の展開はいかなるものか…?
鳩と同じように穴におびきよせられ、モロッコ人たちに食べられてしまうのか…?
迷宮都市フェズ…続きます…!
にしけい