今回の旅のメインイベントのひとつと言っても過言ではない、マドリッド考古学博物館にあるアルタミラ洞窟のレプリカ。
洞窟の壁画に描かれたその絵は描かれてから12000年〜18000年も経っていると言われています。
この壁画には牛をはじめ様々な動物が描かれているのですが、当時の作者?の手の形を残っており、手相研究をする上で一度はお目にかかりたい遺産です。
アルタミラ洞窟はスペイン北部にあり、既に立ち入り禁止区域に入っており見学することはできません。
洞窟の近くにレプリカはあるのですが、レプリカならわざわざスペイン北部まで行かなくてもいいやという体たらくと今回はスペインを南下してモロッコに入るという目論見が合致したためマドリッドの考古学博物館のレプリカを見に行くことにしました。
ちなみに、レプリカは世界に3つ。
ひとつめは本家の近くに、2つ目は今日行ってきたマドリッド考古学博物館にあり、最後のひとつは実は三重県志摩スペイン村にあります。
ここで同じレプリカなら志摩スペイン村のレプリカでいいじゃんというツッコミは厳禁です。なぜなら、僕が猛烈にへこむからです。
マドリッドのレプリカを作ったスペイン人と本物のアルタミラ洞窟の壁画を手がけた人は「より近い」人種なはずですから、作物なども「より本物に近い」はずなんです。
強めに自己催眠をかけて考古学博物館へ
入り口がなんともおしゃれです。
入館料は3ユーロです。この手の施設にしてはかなり安いしかなりの時間楽しめたのでマドリッドで時間があまってしまった旅人はオススメです。
荷物はロッカールームに預けます。1ユーロです。コインがもどってくる銭湯と同じシステムです。
場内の標識です。手が大きく描かれていることから展示物に触るなという意味だと思います。
スペインの「触るな」標識はこの絵が共通表記のようです。
親指が後ろに下がっているため小さく細く見えます。遠近法ですね。
その割に小指が細く短いです。指型は円錐型。このキャップをかぶった男の子はおそらく繊細で少し口下手な子だと言えます。
そんな不器用な少年が「気をつけて!」と忠告しているわけですから、訴求力は抜群の標識と言えます。
人間の成り立ちから現代社会までの一連の流れを、発掘物や作品を解説するかたちで紹介しております。
日本にもこの手の施設があると思いますが、やはりアフリカ大陸に近いということもあって前史時代の骨や土器などが多く展示してあり、日本ではお目にかかれないものがありました。
火を使い始めたころの人間の手はこじんまりとしていて、それに合わせて頭蓋骨も小さく「手は外に飛び出た脳」という考えはあながち間違いではないなと確信に至りました。
ただ、猿に近かったころの人間と私たちの間にある「脳の使い方の違い」がとても気になりました。2万年前とか3万年前の人類の指の骨が見つかっていないせいか、手の形や指の長さはおそらく後付けで表現されていました。
これが分かれば、我々の手が今どのような進化の過程なのか分かり、より手の意味や意義の理解が深まります。
そんな自己テーマをもちながらの今回の考古学博物館の訪問。 アルタミラ洞窟の手の絵がより一層楽しみになります。
実は博物館館内にはアルタミラ洞窟のレプリカはありません。全ての展示物を見終わってアルタミラ洞窟がないことにモヤモヤしながらインフォメーションで質問してみると、外にあるということが分かりました。しかも、無料なようです。もっと早く確認しておけばよかった。
ありました!ここです!
なんともアトラクション感がある、入り口です。
しばらく入って行くとおばさんが1人椅子に腰掛けていて。
さらに奥に入ると真っ暗な部屋があり、何も見えなくなります。
壁画だから壁に描いてあるんでしょ?と思い真っ暗闇で壁づたいに前へ進みます。入り口から漏れる光でよく壁を見ますが、絵は見えません。
あれれおかしいなと思っていると、室内にスペイン語の録音テープが流れ始め、天井がライトアップされます。
ああ、そういうことか!実際の壁画って洞窟の天井部分に描かれているのね!
壁画(レプリカ)です。
一生懸命、手を探します。
牛の絵は、いいんです。僕は手が見たいんです。
アナウンスがひと通り喋り終えるとまた、室内は真っ暗になります。これを3回繰り返して手を探しましたが、見当たりませんでした。
そうなんです。マドリッドの考古学博物館のアルタミラ洞窟のレプリカは洞窟の壁画の一部なので手の絵が描いてある場所とは異なるのです…。つまり、手を見ることが出来なかったのです…。
入り口のおばさんに撮ってもらった1枚。
この疲れ切った顔が全てのことを物語っています。
やっぱり現地に観に行くしかないのかなぁ…。
にしけい