なぜ「好き」という機能はあるのか?

 

人間になろうとしたロボットが人間に恋に落ちてしまいフラれて、ボロボロになって、海沿いで風に当たりながらポロっと口にしそうなブログのタイトルですが…。

 

「好きなタイプはどんな人?」

あなたも一度は質問されたり、考えたことがあるかもしれない。

「好きなタイプ=付き合った人」と答える人もいれば

毅然と「背が高くて、くせ毛で、目が…」と事細かに条件を提示できる人も。

 

今、身近に好きな人がいる人も、過去に好きな人がいた人も今一度考えてみてください。

なぜ「その人を好きになったのか?」ということを。いや、そんなに照れなくていいですから、落ち着いて考えてみてください。

 

人を好きになる「理由」は存在しない?

 

「好き」か「嫌い」かを判断するのは脳内にある大脳辺縁系の扁桃体という部分で行われています。

アーモンドみたいなものがポコっと2個あるんですが、この小さな部位で喜怒哀楽に関する情報を処理しているそうです。

僕の手相分析では、この扁桃体と感情線に相関があると考えています。

なぜなら、扁桃体が出来上がる幼児~6歳ごろまで、感情線の動きがほとんどない子が多いからです。感情線が複数の細かい線によって出来ている方は感情が動きやすいのですが、生まれたばかりの子どもや1歳~2歳の子ではまだ直線でくっきりと1本入っている子が多いからです。

この偏桃体が「好き」と判断した情報(人・モノ)に対して、今度は大脳新皮質という部位が働いて、瞬時にその「理由」を付け加えてくれていることが分かっています。

勝手に理由をつけてくれるなんて、素敵な機能ですね。

 

なぜ、脳みそは理由や条件を生み出すのか?

 

いやいや、それは本当に”素敵な機能”なの?

「イケメンが好き!」という横暴な条件を付けられるなんて、その条件から除外される僕ら男子にとっては余計な機能です。

スマホのアプリだったらすぐさま削除して最低評価をつけるかもしれません。

実際、生物学的に考えても、条件付けがあるがゆえにチャンスを失っているオス・メスがいるわけですから、どう考えても子孫繁栄には不利なわけです。

それなのに、なぜそんな機能をつけたのか?

 

「好き」という感情と相手を記憶・思い出しやすくするための工夫?

 

大脳新皮質は知覚、随意運動、思考、推理、記憶を司る部位です。

人間は他の生き物よりも凄まじい記憶能力を有しています。記憶することで「学習」が可能になり、生存競争で生き残る確率をグンと高めることができます。

たくさんの人間がいるなかでどの人間に対しても「好き」という感情が生まれて興奮していては脳も体も疲れてしまいます。

「好き」「生殖行為をしたい」と判断した特定の相手を記憶し、「好き」という感情を思い出すための「理由」を作ってそれに結び付けることはエネルギー節約のためには非常に便利なわけです。

言うなれば、教科書の大事なところだけペンでマークするようなイメージです。「ここテスト出まーす」と言われたところだけ勉強したほうが効率がいいのと同じ要領です。

また、倫理上「浮気」と呼ばれますが、生物学上「複数の異性と交わる」ことは本能的に正常だと言われております。これは、より多種の異性と交わって子孫を残し生存確率を1%でも上げるためです。

つまり、(当たり前のことですが)異性を区別するためには記憶する必要があり、扁桃体が大脳新皮質に情報を送って「理由付け」してもらうことは極めて重要なことなのです。

でないと、同性・家族も含め文字通り「誰とでも」性交渉をしてしまうことになります。

 

 

付き合うタイプが毎回違う人は本能が強い?

 

ということは、好きになるタイプが毎回バラバラ…という人は条件付けがキッチリされていないため本能に従っている傾向が強いと言えます。ある意味子孫を残す力が強いと言えます。

逆に付き合うタイプが毎回同じ人は理性が強く、きちんと脳が作り出した条件に合致しているため意識的に異性を見ていることになります。

しかし、「脚が細い人が好き」という条件に従って人を好きになり、その人たちと子孫を残して村を形成したとします。

そこに、脚ばかり攻めてくることで有名なローキック盗賊団が襲撃してきたら…脚の細い村人たちは骨をボキボキにやられて全滅…

「1人でも脚の太い人がいたら生き残れたかもしれないのに…」ということになりかねないので、ある程度条件をバラバラにした方がいいのかもしれませんが。(すごい極端な例すぎてローキックされそうですが)

また、脳が「自分を好きになってくれる人を好きになる」という条件付けをした場合、下手すると誰でも好きになる可能性があります。

他に「人間」「異性」という条件が組み込まれていなかった場合、同性や人間以外の生物からアプローチをされると好きになってしまう可能性があります。

そんなことあるわけないじゃん…と思うかもしれませんが…

 

「フェチ」は高度な記憶術

 

例えば、ある男性がストッキングを身に着けた女性Aさんに恋をしたとします。

その「好き」という記憶を残すために、脳はいろいろと情報を集め「理由付け」をします。

 

その中に「ストッキングを身に着けている」という条件付けが形成された場合

「好き」⇒「Aさん」⇒「ストッキングを身に着けている」となるわけですが

それが強烈に記憶に残ると「好き」=「ストッキングを身に着けている」という結びつきが強くなります。

これがいわゆる「フェティシズム」の形成なのではないかと考えています。

動物はストッキングを認識しても欲情したりしません。ストッキングを見て欲情できるのは、ストッキングから「好き」という情報を呼び起こすことができる我々人間にしかできない芸当なのです。

 

壁・電球・ドアノブ・貝殻…あらゆるモノに欲情できる?

 

あなたが「好きになる条件」は何なのでしょうか?

何をもって「好き」と言っているのでしょうか?

例えば、とても疲れているときに白い壁を眺めていたら扁桃体が間違えて「好き」という情報を発信してしまうかもしれません…

あるいは、好きになった人の記憶を呼び起こすために「白い壁」を強烈に紐づけしてしまうかもしれません…。

そうなった場合、あなたは白い壁を見ただけでドキドキしてしまうかもしれない。

そんなバカなと思うかもしれませんが…

実際に「二の腕フェチ」と自称する人の目の前に誰かの二の腕をポコンと切りとって置いてみたらどうなるでしょうか?

おそらくドキドキすることはほとんどないと思うんです。

「二の腕」を連想するときに、他にも「男らしい」「色黒」「守ってもらえそう」「ぶら下がりたい」といった何らかの条件がそろって初めて「好き」につながる。つまり、本当に「二の腕そのもの」に欲情しているわけではないはずなんです。

(そこで興奮できる人は「人間の肉」という条件が入っているのかもしれません)

逆に言うと、連想のどこかに「白い壁」という条件が入りうる可能性がゼロではないわけです。

もちろん、白い壁と交わることで子孫を残すことは出来ませんが、もし残すことが出来たらそれは「新しい種」になるわけで、他の人間の子孫とはまた違った機能をもつはずですから、生存競争に何らかの影響をもたらすはずです。

なので、仮に白い壁に興奮する人がいても、子孫は残せないだけで異常視はできないわけです。

 

これを利用すればあなたを「相手のフェチ」にできる?

 

さて、だんだん自分の頭がおかしくなってきたような錯覚に陥るかもしれませんが。

案外、まだまだ人間の脳みそはパーフェクトではないというだけの話です。

そんなパーフェクトではない、脳とうまく付き合えば自分の存在を相手のフェチにすることも可能かもしれません。

恋愛数式研究家の永田氏によると「フェチの創造」は理論上可能だそうです。

例えば、自家火災に遭い、全焼した家屋から焼けていないストッキングだけが残っていた場合、そのストッキングが良くも悪くも強烈に記憶され、ストッキングに対して特異的な反応を示すようになるという「焼け野原理論」を永田氏は提唱しています。

ただ、注意して頂きたいのが、このストッキングを見ると「火災にあった」というトラウマがフラッシュバックして、ストッキングを見るだけで恐怖におびえてガタガタ震えが止まらなくなる可能性もあるということです。

意中の相手に自分の存在をアピールするのは良い作戦かもしれませんが、その相手の偏桃体が「恐怖」を感じて、その条件にあなたの情報を付け加えてしまったとしたら、チャンスは希薄なものになるかもしれません。

 

「苦手意識」を克服できる?

 

この理論をうまく利用したら、苦手だったことが得意になる可能性があります。

「人としゃべるのが苦手」という人は、おそらく人と話している最中に扁桃体が「不快」と感じる信号を送ってしまい「(人間全員)としゃべるのが苦手」という条件付けをしている可能性があります。

しかし、実際はどうでしょうか?

ある特定の人物、もっというとある特定の人物の特定の話し方、話題、表情に不快感を感じている(感じた)だけではないのでしょうか…?

つまり、突き詰めて自分の「苦手」を分析していくと、意外と「苦手」と判断される範囲は少なくて、それさえ極力避ければ「人間全員としゃべることが苦手」という事態もなくなるのではないかと思います。

むしろ、扁桃体が反応したということは、反応しなかった人に比べてその分野や人に対して「興味」「意識」があり、それらが逆に得意になるという可能性も秘めています。

 

このブログを読んで、僕のことを「気持ち悪い」「何考えているんだ」と思った人がいたら、それは恋の始まりかもしれませんね。

「気持ち悪い」は褒め言葉。

 

にしけい

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西田 圭一郎

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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