投資ブームと占いの変化
近年はいろんな形の投資が生まれています。コロナ禍による不景気・不安を利用して、無数の投資商材が増え続け、SNSやネットによって情報が拡散され続けた結果、かなり投資が身近なものになってきている気がします。それに併せて、「投資すべきか?」「何に投資すべきか?」という占いも増えています。
従来の占い手法の限界
例えば、断易で「金運」を見るときは、これまでに一般的には「妻財」の要素を見るわけですが、投資の形が多様化したり、変化が高速化しているため、「ただ妻財を見ておけばいい」というわけにはいかなくなってきています。「従来の占い方で財産について占うのってなんか違うんじゃないか?」という疑問が漠然とあって、今後「財産や投資について占うためには根本的に何かを見直す必要がある」と考えて、「財運」や「何かを獲得することに関する占い」について調べていたんですね。
占いに表れる時代・地域の「需要」
「何かを獲得する」「何かを得る」ということを人々はどう捉えてきたのか、意思決定する上で何を優先してきたのか…占いはその時代・地域の「需要」が顕著に出ます。
例えば、トルコ占い・占われ旅をしたときに、どの占い師さんも物怖じせず、「具体的な数字や時期」を淡々と予想する傾向があったんですね。そのときの様子はこちらの本にまとめています。
トルコの占い師さんたちに「なぜ具体的な時期を予想するのか?」と質問してみたところ、「それが当たり前でしょ?」という感じなぐらい、トルコでは「いつ何が起こるか?」という目安が求められているんです。
日本では「性格分析」「関係性」「相手の気持ち」といった具体的なアドバイスというよりも、曖昧な情報を求める人が多いですし、モンゴルで占ったときはとにかく「おすすめの呪物を教えてください」という質問が多かったんですね。笑
日本で平安時代に隆盛した六壬神課は「人間関係」や「悪霊」に関するテーマを占う形に特化していますし、「占いの形」や「占いの手法」はその時代や地域に特化した形に最適化が図られているんですね。同じツールを使っていても、トルコの例のように何を知りたいかによって占い方が違ってくるわけです。
現代に必要な占い手法の改良
つまり、冒頭にご紹介したような「投資に関する占い」「財産に関する占い」も、時代に合わせてコンセプト・手法を変える必要があって、ツールはそこまで変わらなかったとしても、どう見るかを変える必要があるわけです。つまり、同じ易やタロットや手相といったツールだったとしても、手法を現代に合わせて改良する必要があるわけです。
それで、そのヒントが「これまで財産や獲得を占うときにどうやってきたか?」という変遷を知ることにあると考えていて、今度自分が調べたことや考えたことをまとめるという目的も兼ねて、「-狩猟採集から仮想通貨まで 占いで辿る経済思想史の旅-」という講座を開講します。
この講座はただ知識や知見を増やして、「私、こんなことも知ってる!すごいでしょ〜」とブランデーグラスをカチーン☆とぶつけて知識をひけらかすだけの講座ではなく、あくまで「現代、未来でどうやって投資や収穫を占っていくか?意思決定の際にどう占いを活用するか?」という実践における手法論を模索するための講座なんですね。
人間による意思決定は続く
「意思決定を誰がするか?」って、最終的にやっぱり人間がすると思うんですよ。いくら高性能なコンピュータとAIを使って「こうなりそう」という予測が出ていても、本当に重要な判断はまだ人間がするはずなんです。判断するための材料は無数にある中で、どうやって決めて進んでいくのか。「占い」の立ち位置はまた変化するはずですし、そうなると「これまでと同じ手法」だと全然役に立たないものになってしまうし、もうすでになっているんじゃないかなと思います。
「投資」って何も、お金だけじゃなくて時間や労力や人生そのものも「何かへの投資」なわけですから、それに伴う意思決定はまだまだ人間がやるわけです。生まれてから死ぬまで意思決定を全てAIに頼って生きるんですか?そういう人もそのうち出てくるかもしれませんが、「(自分の人生を)生ている人」ほど悩むし、悩んだ時にどうするかを考え上で、「過去に悩んできた人たち」の教訓ってめちゃくちゃ参考になるんですね。
生きているからこそ、悩むし、悩みをどうにかしようともがくわけです。生きているからこそ、痛みや苦しみをどうにかしたいし、その中で生まれたツールのひとつが「占い」なのかもしれません。
にしけい