陰謀論にハマる人と私たちは、実はそんなに違わない

生徒さんから下記の質問をいただいたので、ちょっと書いてみようと思います。

最近、職場の同僚が陰謀論にハマっているようなのですが、陰謀論にハマるのはどのフェーズで起きますか?

真っ先に思い浮かんだのが、漫画「ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ」です。この漫画を読んでいただければ、陰謀論に傾倒する人の傾向はなんとなく掴めると思います。

陰謀論にハマる人の中には「愚かで何も知らない大衆」と「大衆が知らないことも知っていて優れた判断力をもつ自分」といったようなイメージが構成されています。その主張の内容の真偽自体はさておき、基本的には「自分は他者と異なる存在だ」という分化意識(差別意識)が働いているように見えます。

上述の漫画にも描かれていますが、「多くの人たちは洗脳されているから気づかない(話が通じない)」というスタンスの人が多いです。人間には偏りが必ず存在します。情報収集源、コミュニケーションを取る人、SNSなども含めた居場所など…偏りが存在します。特定の場には特定の傾向をもった人たちが集まります。特定の場や人たちと接し続けることで、得られる情報にも偏りが生じます。陰謀論にハマる人にも情報収集の偏りが存在します。

これは陰謀論にハマる人以外にも言えることなのですが、「自分は特定の偏った情報を集めているんだろうなぁ」というぼんやりとした客観的な視座がないと、「自分が見ている世界が普通で当たり前」になっていきます。どうしても人間は自分が信じたい情報、見たい情報ばかりを無意識に集めたくなります。これは僕も同じです。Youtubeにはポケモンの対戦動画や大喜利の動画ばかりがリストに並んでいます。偏りがあるし、SNSやネットの情報には偏りを助長させるように出来ています。

過去のブログ記事をご覧になるとわかると思いますが、僕もその時々で何かしら「自分にとって都合の良い情報にハマっている」んですね。過去のブログ記事を読み返すと、それがよくわかります。「自分がどのようなことに偏っているのか」を客観視することは難しいのですが、ブログや日記などを読み返すと、今の自分との違いが浮き彫りになり、それによって「今の偏り」に少しだけ気づくことが出来ます。

何かに偏っていて、ハマっている間はすごく楽ですし、楽しいんです。何かに夢中になって、何も考えずにいられることはとても幸せです。でも、それが一時的で「自分が偏っているんだろうな」というぼんやりとした客観的な視座まで失ってしまうと、陰謀論に傾倒する人と同じような状況になります。何度も言いますが、これは陰謀論にハマる人だけが陥ることではなくて、特定の偏りが大きくなって固定されていく(頑固な状態)と、同じような状態になります。

そして、それはあなたも僕も同じです。この「みんな同じようなところがある」「そんなに人間に違いはない」ということが頭の片隅にあれば、「自分は他者と異なる存在だ」という分化意識(差別意識)は薄れていきます。

ちょうど先日書いたメルマガポン通vol.118の中で、似たようなことを書いていたので引用しておきます。

 

■2■ 「私は私」という考えは○○な環境だと簡単に詰む…

 

「独立したいです!」「フリーランスとして活躍したいです」「副業を始めたいです」といったご相談もちょくちょく頂くのですが、そのときに出やすいのが「差別化」や「個性」の話です。

「組織や会社に属さずに生きる道を選ぶ」と聞くと、どうしても「他の人と違うことをしなきゃ!」「自由に生きられて羨ましい」と思われる方もいるかもしれませんが、逆なんですね。

確かに、「個」としてやっていく覚悟(諦め)みたいなものは必要なんですけど、その方向性が「孤(立)」に向かうのは危険なんですね。

僕らは何かしら社会的・有機的なつながりの中で生きています。独立したあとうまくいっている人・続いている方ほど「人付き合い」を大事にしますし、協力を重んじます。これはまわりのご機嫌を取ればいいとか、飲み会に呼ばれたらホイホイ参加しがほうがいい…ということではありません。

目に見えないけれど、なんとなく「人とつながっている」ということを意識することが大事なんですね。それで、そういう考えになると、「差別化」とか「個性は!」みたいな発想が出てこなくなるんですね。差別化や個性を伸ばすという方針は短期的には「何かをやった気」にはなりますし、一時的には結果につながるのですが、継続しにくいんですね。それでいて、孤立しやすくなるので、ちょっと環境が変化して違う風が吹くだけでバタッと倒れてしまうんですね。

 

「お見舞いに行くね」って言って来ない人…

 

墓相や家系に関するお仕事をしているせいもあるかもしれませんが、上述したようにうまくいっている状態が継続している人は「人付き合い」を大事にしますし、それは「見えない人」との人付き合いも大事にしている方が多いんですね。家系とか家族って、その人の「人付き合いの仕方」みたいなものが表れるんですね。なので、そこを蔑ろにしてしまう人は、やっぱりお仕事や私生活でも人間関係にトラブルが多いんですね。

「お墓参りに行かなきゃなぁ」と言いながら何年も行ってない人って、入院している友人に「お見舞いに行くね」って言いながら、行かない人とほぼ同じなんですね。自分の個性や差別化を考える前に、まずは身近な人たちとの人間関係を丁寧に。その中にお仕事のチャンスやヒントが転がっているはずなんです。

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遠くにある不確かな何かに想いを馳せる前に、まずは近くにある確かなものを意識するだけで、少しずつ状況が変わっていくのではないでしょうか。

「自分はみんなと違う」と強く主張すればするほど、「みんな」に認められたくて、「みんな」が恋しくてしょうがないのです。そして、それは僕も含め多くの人がもっている自然で普遍的な感情だと思います。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。甘酒と文章を書くことも好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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