今、カフェで作業しているのですが、隣の席で行われている話は詐欺の一種なんだろうなと思って聞いています。こういう「投資しませんか?」「将来大きな資産を形成しませんか?」みたいな話をされる人とされない人、つまり騙されやすい人と騙されにくい人の違いって何なのだろうと考えていますが、騙される人の多くが「欲しがっている」からなのかもしれないと考えています。
「欲しがる人」を観察していると、「反応しやすい」という傾向があります。相手の言葉や周囲の状況にとにかく反応するんですね。何かこうキョロキョロしているというか。僕も初めてインドに行った時にいろいろ騙されてお金を失いましたが、デリーのコンノードプレイスでキョロキョロ・オドオドしていました。「反応」というのは、それだけで情報的な価値があるんですね。「あの人は初めてインドに来たんだな」「◯◯が欲しいんだな」「◯◯に関して不安を感じているんだな」といった情報を提供することになります。
欲・感情はどうやって生まれるか?軽いものほど重要だったりする
https://nishikei.jp/koikumo/51267/
上の記事にも書いているのですが、「欲」は「境界性」によって生じます。「もっている状態」と「もっていない状態」という二つが明確に分けられ、「もっていない状態」に注視するようになると、「欲しい」という気持ちが強くなります。欲を強める方法は、「境界性の提供」→「不足部分への着目」という2つのステップで完成します。
今となりで騙されているっぽい人も、「お金をもっている・もっていない」という境界性が明確で、騙している方が「不足部分」にフォーカスするように煽っています。おもしろいですね。もともと境界性が強固で欲しがる気持ちが強い人は「不足部分」に着目しやすい傾向もあって、いとも簡単に騙されてしまうし、個人情報や自分の気持ちをペラペラとしゃべってしまい、より不利な状況に陥っていくのですね。
こう考えると、「固定」と「安定」って似たような言葉ですが、全く真逆の意味になるかもしれません。
「安定」には「柔軟性」がありますが、「固定」には柔軟性がありません。安定は変化に対して許容できる余裕が生まれる状態で、固定度が強い状態は変化(新しい条件)に対して許容できないものに該当する確率が高くなっていきます。下の図で「OK」の範囲が広がると、相対的にNGになる出来事が減っていきます。しかし、OKの範囲が固定されたり、さらに狭められると「NG」の領域が増えていきます。「OK」の領域に入っていない状態であることを認識させたり、OKの領域を意図的に狭くさせることで「欲」を高めていくわけです。
進学や就職などで新しい環境に身を置いた時にキョロキョロして反応が大きくなってしまう状態は、まわりの様子を見るという目的もあるのかもしれませんが、「自分のOK領域がまだ定まっていない不安定な状態」を脱却したいがための行動なのかもしれません。しかし、その前提には「自分は固定されていて安全であるべきだ」という固定されたイメージがあるがゆえなのかもしれません。不安もまた、OK領域の固定によって発生します。「自分自身の今の状況はNG領域にいるかもしれない」という感情が不安を引き起こすわけですが、OK領域に可変性があれば、それも発生しません。もしかすると、「セルフイメージの柔軟性」があれば、不安や欲は少しだけ解消し、安定に向かうのかもしれません。
進学や就職などの新しい環境で起きる葛藤の多くも、セルフイメージや自分が持っている価値観(常識)・固定されたイメージをぐにゃぐにゃに変化させることができれば、簡単に解消するのではないでしょうか。
「欲しい」と思う気持ちが悪いわけではありませんが、「不足部分」に着目しないと発生しえない感情だと認識しながら、程よい距離感で付き合えるといいのかもしれません。
Nintendo Switch 2 欲しい!
にしけい