『時間です、延長しますか?』と言われたくない・言いたくない理由

僕は「時間」という単位で区切ることがあまり好きじゃないんですね。例えば、講座のテキストを作ったり、本を書いたりする作業には「締め切り」がどうしても存在します。こういった締切に助けられることもあるのですが、「その作業は何時間かかりますか?」という質問をされると「わからない」と思ってしまいます。可能な限り早く終わらせたい気持ちはあるのですが、すぐに終わるのか、けっこう時間がかかるのかの匙加減が読めないんですね。取り掛かってみて案外早く終わることもありますし、途中でおもしろくなってきて「もうちょっとここをこうしたい」という風になることもあります。頭の中で「ある程度の締め切り」は設けているのですが、それを他人から「何時に終わりますか?」と改めて質問されると、「わからない」としか出てこないんですね。

早く達成されるに越したことはないのですが、やっぱり「2時間で終わります」とは言い切れないことばかりですし、反対に「15時までには終わります」という締め切りをつけてしまうと、なんかこう窮屈というか、それが気になってしまって集中できないんですね。

これは占いやご相談も同じで、相談される方が何か答えを出すために、納得するためには「時間制限」みたいなものがあると、やりにくいんですね。イベントや鑑定会などではしょうがないので、30分とか1時間という風に時間の締め切りを設けるのですが、人生の大事なことを決めるための判断材料になるかもしれない時間をケチったり、セカセカしたり、「ほら、あと5分ですよ」と急かすことはしたくないんですね。

相談に来る人も僕も次の予定があったりするので、「ある程度の締め切り」は決まっているのですが、不必要にそれを細切れにしたり、さらに分割して区切るということがあんまり好きじゃないんですね。その人の中で納得のいく答えが出るまでにどの程度時間がかかるかはマチマチです。すぐに納得できる方もいれば、後になって「あの時の言葉の意味が腑に落ちた」と言われることもあります。話をしているうちに自然と自分で答えに気づかれる方も多いですし、ちょっとした雑談や関係のなさそうな話から気づかれることもあります。

なので、可能な限りその方の中で何か前に進めるようになるまでお付き合いします。僕自身が誰かに相談するときに、「時間です、延長しますか」とか「早く決めてくれ、あなたはもうこうなるんだよ」みたいな感じで急かされたら嫌だなと思いますし、そういう人に相談したくないんですね。

先日読んでいたカウンセリングの本で知ったのですが、このように「時間」ではなく「成果」を重視する考え方を「アウトカム・ベースド・アプローチ」と呼ぶそうです。「成果」というと、なんだか堅苦しい感じがするんですけれど…方針としてはまさにこれです。

「時間で物事を区切るという発想」は「他人(社会)に定義された概念」だと思うのですが、相談される方には「自分のための時間」を過ごして欲しいんですね。こうやってブログを書いたり、何かを作ったりするのも、「自分のための時間」だったりします。なるべく自分のペースで豊かな時間を過ごしたいですし、相談に来てくださる方にも「豊かなで有意義な時間」を過ごして欲しいんです。コスパやタイパと逆を行く考え方ですが、なんか最終的にそのほうが豊かな気がするんですよね。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。甘酒と文章を書くことも好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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