虚と実、どっちが本物なのか?

虚と実、どっちが本物だと思います?

「そりゃ実でしょ」って思うかもしれません。でも、本当にそうなのか。疑問に感じてしまうような、疑ってしまうような現象が起きる。存在する。じゃあその存在は虚なのか。

あなた自身も「実」の上に積み上がっているようで、もしかするとどこかに「虚」が入っているかもしれません。自分を作り出すもの、背景は全て「実」なのか。100%事実のみの積み重ねで出来ていると言い切れますか?曖昧な部分がありませんか?

「実力」と言ったりしますが、虚によって力をもつものもあります。イメージしただけで心臓がドキドキしたり、高揚したり。紙切れ1枚で愕然としたり、興奮したり、消沈したり。実在、実現していないはずの虚にも力があります。イメージできた時点で「実」なのかもしれません。

あなたの「記憶」はどうですか?大人になって「事実だと思っていたことが違った」「勘違いだった」ということはありませんか?「実」だと思っていることが100%「実」だと、言い切れますか?

曖昧な部分もあるでしょうし、都合よく捏造している記憶やイメージもあるでしょう。でも、今までそれを「実」だと思って積み上げてきた、営んできた日々は全て「虚」なのか。何ひとつ確かなものなんかありません。

「これが実だ」と思って一生懸命、石を積み上げるんですけどね。でも、自分の頭を越すような高さまで積み上げると、後ろから悪魔がやってきて積み上げた石を全部崩すんですね。最初に詰んだ石ごとひっくり返していく。前提を壊すんですね。その悪魔の名前は「現象」っていうんですけど。笑っちゃうぐらい何ひとつ固執させてくれない。信じ切れれば楽なんだけどね。ファンタジーとすら割り切らせてくれない。

「これが自分なのか」と思ったら「いや、自分じゃなかった」みたいな。そうやって少しずつ、中央値から離されていく。地球に戻ろうとする宇宙飛行士みたいに手は伸ばすんだけど、手とは反対方向に進んでいく。困ったもんです。

みんな「特殊」や「特別」がいいんでしょうけれど、「特殊」や「特別」は中央値から遠く離れるわけですから、生きづらくなるんですね。やりづらくなる。全然スムーズにいかないんですね。

話を戻しますが、石を積み上げると「根底」が崩れることが起きてくるんですね。全然すがらせてくれない。よくわからないことが起きて、また新しいルールを探すことになるんですね。だから、全然自分が成長・達成できている感覚がないんですね。本当に小学校ぐらいから変わっていない感じなんですね。

日に日に「なんとなく想像していたちゃんとした大人」から遠ざかるんですね。まわりの同級生たちが一人ずつ教室から消えていき、「最後まで教室(ここ)に残ったのは僕だけか…」と言いながら、ニンテンドーDSを開くんですね。水筒には氷たっぷりのお茶が入ってて、まだまだここでゲームをしてても大丈夫そう。

でもまぁ、「根底が壊される」というのは「恒例行事」みたいな感じなので、水筒のお茶を飲みながら、また探り探り石を積み上げていこうと思います。困ったもんですけど、案外これが普通のことなのかもしれない。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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