「(500円から)1000円に値上げしたら、お客さんが離れていくんじゃないか…」
占いでお金を頂き始めて、半年ぐらいだったと思います。
そのころ僕はずっと「値上げ」について悩んでいました。
いろんな人に相談したり、お客さんから「もっと高くしていいでしょ」というお声をいただいて、ようやく思い切って1000円にしました。
そのころ感じていた
「お客さんが減ったら怖い」
「今までのお客さんが離れていくんじゃないか」
「これまできてくださったお客さんに申し訳ない」
といった気持ち。
フリーランスや自営業をされている方々からご相談をいただくたびに、思い出します…。
サラリーマン時代には、原料や工賃の値上がりで取引先に「値上げのお知らせ」をしてまわっていたころも同じ気持ちでした。
「いい話」ならいいんですけど、やっぱり「値上げします」というと嫌な顔をされないか、取引を切られないか…納期の延期や製品のクレーム対応と同じぐらい、足が進まない商談でした。
ネクタイをはずしてそのまま知らないローカル線に乗って、どこか終点駅あたりまで行ってブランコに乗って海岸を眺めたい気持ちでした。
石油価格や為替によっても原料価格が上がる製品だったので「僕のせいじゃない」値上げだったこともあり、やっぱり「値上げ」ってすごく「いやなもの」という認識がありました。
「僕のせいじゃない」つまり不可抗力的に値上げせざるをえない状況でさえきつかったのに、自分の意志で「値上げします」というのはその頃の僕には考えられなかったんですね。薄利多売の商品を扱っていたこともあって「値上げ=嫌な顔をされる=悪」みたいな認識だったんですね。
なので、お仕事やご商売のご相談で「値上げしたいんですけど…」というご相談があると、すごく気持ちはよくわかります…。
しかし、今はきっぱり「値上げしましょう!絶対そのほうがいいですよ!」と言います。
「間」への恐怖
仕事をしてもしても収入が増えない、仕事量は増えているけれど売り上げが伸びない…
請求書書くのが鬱なんです…見積書も何度も作り直します…
時間がない、休みがない、旅行いきたい…けど、仕事しなきゃ…在庫売らなきゃ…
値上げ?
そんなことしたら、今のお客さんは?
今の私の仕事は?
今の私の生活は?
家族は?
この考えになっている方、結構いっぱいいます。
いやいや、でも私のレベルじゃ…
他の人たちもこれぐらいで売ってるし…
この地域でやるならこれぐらいのサービス料かな、と…
相場的にそれは高すぎます…
「でも、今のままじゃキツいんですよね?」
「そうなんですけど…値上げに踏み込めなくて…」
お気持ちをわかった上ではっきり言います。
値上げしたほうがいいです。
まず、値上げしたら「今までのお客さん」の中でもついてきてくれる方と、ついてこなくなる方がいます。これは当たり前です。
お客さんが減る。
これは確かに「一時的」にはあります。でも一時的なんです。
もっと適切な表現をするとしたら「客層が入れ替わる」という感覚なんです。
階段と同じで、値上げすると今までいた場所ではないところにジャンプアップするわけです。
「新しいステージ」に立つわけですから、それはこれまでとは違います。しかし、それだけなんです。
過去の僕もそうでしたが、値上げへの恐怖のほとんどが「間」なんです。「間」への恐怖なんです。
これは転職や離職を考えている人もそうなんですけど、「何もない」「何もないかもしれない間」が怖いんです。
小学校でも「夏休み」や「冬休み」があります。これも「間」です。
この「間」があるから「新学期も頑張ろう」とか「次の学年からは気合いれよう」とか「夏休みのあいだに挽回しよう」といったことを考えられるわけです。
「間」をおそれるというのは、空間に何か埋めたい、スケジュール(時間)を埋めていなきゃ落ち着かない…ということと同じなのですが、「在庫を抱える」「忙しくする」というのはその現れなんですね。
なので、まず値上げを恐れている人は「次のステップへいくための夏休み」ぐらいの気持ちで「そのあいだ何しようかな」と考えてみてください。
「空間や隙間を作る」というのは占いや相術の極意だと思います。
「間」があるから「新たな可能性」が生まれます。
「新たな可能性を生み出したくない」という人っていないと思うんです。みんな「自分には無限の可能性がある」って思いたいはずなんです。僕も自分で思っていますし、会う人たちみんなに「可能性めっちゃあるじゃないですか!」と言います。
どうしても「今までの居心地のいいステップ」を捨てるのが怖いんですけど、僕からすると自分の可能性を自分で潰したままジジイになって死んでいくほうが怖いです。
サッカーとかバレーボールでも選手が入れ替わると流れが変わりますよね。値上げや条件を変えるってそれに近い気がします。これは占いでもなんでもないんですが、ちょっとしたことなんだけど、流れが変わるのは見ていておもしろいです。
— にしけい (西田 圭一郎) (@nishikei_) December 7, 2021
悪循環と好循環どっちがいい?
ロジックや理論で「値上げ」を肯定したい方には下記のように説明しています。
【安いまま】
・「安いもの・安いサービス・安い人」という認識であなたのことを見る人が集まります。
・つまりあなたのものやサービスに価値をそこまで感じていない人です。
・あなたに価値を感じていないのでさらに値下げ交渉をしてきたり、ひどい扱いをします。
・あなたがものやサービスに対してかけるモチベーションや時間やエネルギーが減るため製品やサービスが劣悪になっていく可能性が高まります
・その結果クレームやトラブルの確率が高まり、後処理などに追われ病気や精神的に追い込まれていきます。
▶︎精神や時間を消耗する悪循環
【値上げする】
・あなたのものやサービスに価値を感じる人が増えます。
・その結果値下げ交渉やクレームが減ります。
・心と財布に余裕が生まれるので製品やサービスに時間とエネルギーを注げます。
・その結果より質の高い製品やサービスが生まれます。
・お客さんがより満足しますし、スキルアップや自分の学びの時間も増えます。
▶︎建設的で創造的な好循環
「今までのお客さんにも変わらずサービスを受けて欲しい」という声もよく聞きますが、値段を上げた分サービスやものの質を高めたり、内容を濃くすれば良いだけなんです。
僕の場合は値上げしてからたくさん占いや興味のある本を買いまくることができたので、値上げしていくにつれて知識や技術が高まっている(と思います)。
「相場」とか気にされる方もいるんですけど、それは「全く同じ商品や条件」でのみ発動するルールです。
例えば「まったく同じ消しゴム」でも、テスト前に消しゴムがないことに気づいてしまった人と、消しゴムを潤沢にもってテストに臨んでいる人で「ありがたさ」が違います。
後者には「消しゴム?いらないよ」と言われるかもしれませんが、前者の生徒なら「10円でちょっとひとかけでいいから分けてほしい」と売れるかもしれません。
消しゴムがなかなか買えない人にとっては「届けてくれる」というサービスに価値を感じてお金を払ってくれるかもしれませんし「少しだけ欲しい」という人には消しゴムをちぎって計り売りにしたほうが「ありがたい」と思ってもらえるかもしれません。
そうなってくると「同じ商品」でも「同じ条件」ってなかなかないんですよね。
なので、もし値上げに悩んでいるのであれば「値上げしましょう!絶対そのほうがいいですよ!」と言います。
もし、それでもどうしても値上げに踏み切れない…という方がいたら、ご相談ください。
僕もそうですけど、値上げに踏み切って「より楽しいほうへ」向っている人、いっぱいいます。
にしけい