欠乏と待機 七赤金星(酉)がもたらす独特の気質とコアイメージ

本記事は九星八卦象意 連想ネットワーク構築講座 7回目「七赤金星」より一部抜粋・再編しております。

先に断っておくと、下記の性質は、生年月日による九星分類とは無関係です。生年月日や生まれ年に関係なく、持っている人は持っているし、持っていない人は持っていません。実態を観察したほうが正確な判断ができます。

 

欠乏感知 – 不足を察知する目

 

七赤金星(酉)には、「欠乏感知」という性質があります。不足している部分にいち早く気づくため、欠点・欠落部分・失敗・至らない点に対して敏感に反応します。

これは自他ともに機能し、基本的には自己保全や自分の精神安定のために働きます。過去の気学の書籍ではこれを「一爻(いっこう)の不足」と呼び、七赤金星の代表的な象意として挙げました。

自他共に減点法で査定し、常に不足感を感じやすく文句や不平不満を言い続ける人もいます。まるで海水で喉を潤そうとするような状態です。足りない部分にばかり目がいき、揚げ足を取り続ける人物が身近に現れた場合は、「類は友を呼ぶ」なので、自分にもそのような性質がなかったかを振り返る良い機会になります。

 

待機受容 – じっと待ち、選び、受け入れる

 

不足している部分に気づいたとしても、七赤金星の性質が強まると、基本的に自分からは動いていかないため、外部から入ってくるものを待つしかありません。「選別機能」も働き、妥協しないため、目的のものが外部から入ってくるまで、待ち受ける準備状態が続く場合もあります。そのため、七赤金星には「待機受容」という性質があります。

自分にとって食べやすい餌(アリ)が入ってくるまで、ジーっと待ち続ける蟻地獄(ウスバカゲロウの幼虫)のように、様子を伺っているわけですね。七赤金星の性質が強い人物は、タイミングがワンテンポもツーテンポも遅れる性質があります。これは受け入れるまでに選別・待機というプロセスを経るため時間がかかるわけです。

今、流行っているものを受け入れるまでに時間がかかるため、あとになってブームがやってくるようなイメージです。受験勉強が終わりかけでお尻に火がつくタイプです。白馬の王子様を待って行動せずにずっと待っているのも、この「待機受容」という性質の表れと言えるでしょう。

待機受容は漸次的な変化をもたらし、自己保全しながら少しずつ変化していきます。平たく言うと、めっちゃマイペースですこーしずつ変化に順応する性質ということですね。日が暮れてしまう、途方に暮れてしまうような状態ですが、「夕暮れ時」も「酉」や「七赤金星」の代表的な象意なので併せてインプットしておいても良いでしょう。

 

「特定の範囲に入る」というコアイメージ

 

この二つの性質から見えてくるのは、七赤金星(酉)の根底にある「特定の範囲に入る」というコアイメージです。

「欠乏感知」は「特定の範囲に入るべきもの」を強く意識するからこそ生まれる性質です。七赤金星の性質が強い人は「あるべき正解の範囲」を明確に持っているため、その範囲に入っていないもの(想定外・不正解)に敏感に反応します。

例えば、「自分にはこういう理想のパートナーのイメージが強くある」という明確な基準や範囲を持っていると、実際に出会う相手がその理想的な範囲に「入っていない部分」に目が行きやすくなります。

「理想のパートナーは思いやりがあって、頭が良くて、ユーモアがあって、経済力があって…」という条件の中で、出会った人が「ユーモアはあるけど経済力がない」「思いやりはあるけど頭が良くない」など、理想の範囲に完全に入っていないことに強く反応し、減点法で相手を評価してしまうのです。

この「特定の範囲に入るべきもの」と「実際には入っていないもの」の対比が欠乏感知の本質なのです。だからこそ、足りないものや間違ったものに目が行きやすいのです。

「待機受容」は外部からの入力を待ち、選別して受け入れる過程です。これは外部からのものが「自分の許容範囲」に入ってくるのを待ち、その範囲に合致するものだけを受け入れるという行為です。蟻地獄が獲物を待つように、特定の条件に合致するものが自分の範囲に入るのを待っているのです。

この「特定の範囲に入る」というコアイメージは、夕日や夕暮れ時にも表れています。日が沈むことを英語で「Sunset」と言いますが、これは「太陽が地平線という境界に入っていく」様子を表しています。夕暮れ時の時間帯は十二支では「酉」の時間帯(17:00~19:00)であり、この時間帯に太陽が地平線に入っていく様子は、七赤金星の象意そのものと言えます。

 

 

十二支の酉は十二運では「死」のフェーズとも関係があります。ここで、「死はいやだー!こわいー!」という短絡的な結びつけをされた方は落ち着いてください。七赤金星だから死ぬのではなく、みんな死ぬので安心してください。死んだ人を「お隠れになる」と言ったりしますが、死んだ後はお墓なり墓穴なりに「入って」いきます。入墓します。なので、酉の次の戌は十二運では「墓」に該当します。

「死」という漢字は「特定の範囲に入っていく」というコアイメージと結びついているだけであり、具体的な死を意味するわけではないんですね。

また、『説文解字』には「酉は就なり。八月、黍(きび)成り、酎酒を為(つく)るべきなり」とあります。「酉」には「成就」のイメージがあり、成就とは特定の範囲の中に入ることを指します。「就職」は「特定の会社」という範囲の中に入ること、「就く」には「位置につく」という意味があり、英語で言うと「set」です。

酉という漢字は酒樽に由来していると言われていますが、酒樽も空間の中にお酒が入っていて少しずつ発酵して空間を満たしていきます。これもまた「特定の範囲に入る」というコアイメージの表れです。

このように、七赤金星(酉)の「欠乏感知」と「待機受容」という二つの性質は、根底にある「特定の範囲に入る」というコアイメージから派生しています。

象意はこのようなコアイメージを理解してそこから連想していくことで、具体的な性質をより深く理解できます。なんでも深く早く理解するためのコツがあるんですね。でも、七赤金星に関する本当のコアイメージはまだ先があって…

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。著書は50冊以上。三児の父。詳しくはこちらから。

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