にしけいカメラマンデビューするの巻

「タイツ・パンスト相術の本を書きたいのです。タイツパンストの写真を通して相術の本質的な部分を伝えられる気がするのです。好きなもの、フェチを全力で仕事にする。これを体現するために僕はやってきました。それが一番省エネで、人間の美しい姿だと思うのです。鳥が空を飛ぶように、魚が海を泳ぐように、僕はタイツパンストについて考えるのです。ナチュラルイズベストなのです。若い男が痩せ細った上裸で安っぽい薄っぺらい憤りをぶつけアコースティックギターをかきならすように、僕は青春を相術に注いできました。今もまだ青春の最中にいるのかもしれません。このような思考は安直で短絡的な思考かもしれません。愚直な行為かもしれません。しかし、このタイツ・パンスト相術の本を書き上げることはノロマな亀が唯一自分が亀だということを誇りに感じられるようなものだと思うのです。社長いかがでしょうか?」

社長「最後の亀のところのたとえがちょっとイマイチ伝わりにくかったと思うし、いきなり会話文でブログの読者は困惑していると思わないかね?」

「すみません、社長。確かに改行なく進む会話文に読みにくさを感じたかもしれません。しかしこれはオタクがもつ特有の”自分の好きなことになると急に早口饒舌になる”という性質を文章で表現するためには致し方のないことなのです。本当は僕自身は改行がない方が早く情報を読み取れるので、改行なしで文章を書いているのですが、ブログにする場合は読みやすいようにあえて改行を入れているのです。一昔前のテキストサイトでは改行を大量に入れた後にfont size=”14″ とかにしてドッと笑いをとるスタイルが流行っていまして、そのときの名残もあるので僕は今も改行を多めに入れてブログを書きますが、本当はこうやって文章が詰まった状態でいつもブログを書いて最後に体裁を整えているのですよ、社長。そしてこの会話もオタクらしさを演出するためにあえて改行なしのままお送りしているというわけです」

社長「急にブログの裏話をぶっこまなくてもいいんだよ。そうやって誰にも質問されていないことをペラペラと話すというのはコミュニケーションとしては考えものなのだよ、にしけいくん。ドラクエの村人が話しかけてもいないのに、急に勝手に「武器を買ったら装備しなきゃ意味がないぜ」と言ってくるようなものだよ。それはもうゲームとしては特殊なイベントかバグなのだよ、にしけいくん」

「すみません社長。ではこれは特殊なイベントだと思ってください。決してバグではないです。僕はタイツパンスト相術の本を書きたいのです。しかし、今の僕には本に載せるタイツパンストの写真が不足しています。以前、企画したタイツパンスト相術の際に頂いたお客様の写真を出すわけにもいかないので、改めて素材が必要になります。表紙を飾る写真も必要です。どなたかこのような写真を撮影してくださる方はいらっしゃらないでしょうか。株式会社ポンのほうでカメラマンを募っていただけませんか?」

社長「にしけいくん、社長の私にそんなことを頼んでいいと思っているのかね。私は釣りに行ったり、曲を作ったり、次のTシャツを作るためにいろいろと忙しいのだよ。それに我が社はまだ設立して間もない吹けば飛ぶような零細企業なのだよ。個人事業主から株式会社にすると圧倒的に変な営業の電話がかかってくる件数が増えたが、こないだも社長自ら電話に出ておきながら”社長はいますか?”と聞かれて、”社長は席をはずしています”って言って追い払ったぐらいだよ。席をはずすもなにも我が社は社長の私ひとりしかいないのだよ。こういうことをブログに書いたら”あの会社は社長が電話に出る”って何度も営業の電話がかかってくるようになるかもしれないけれど、それでも私は”社長は席をはずしている”と言い続けるよ。もしこの言い訳が通用しなくなったら次は”社長はあごをはずしていて話せません”と言って追い返してやるんだ。こっちは真面目にやっているんだからね。席やアゴをはずしたとしても、ハメはハズさない。それが私のモットーだからね」

「十分はずしてると思いますが、となるとカメラマンはあてがってもらえないということでしょうか?」

社長「だからそれぐらい自分でやったらどうなんだ?タイツやパンストに並々ならぬこだわりがあるのだろう?株式会社ポンの出版事業は君に任せてあると言っているだろう。ちょっとぐらいの費用なら会社でもつし、エロ本を買うときに恥ずかしさを誤魔化すために一緒にオレンジページを買っていた君のために”会社から写真撮影を依頼した”ということにしてもいいんだよ?こんなに優しくてエロ本を誤魔化すことに理解のある社長は世界中探しても8人ぐらいしかいないはずだよ。検索してみてごらん」

「わかりました。検索はしませんが、確かに社長は僕のことをよく理解してくださっています。ありがとうございます。ではせっかく東京にきて一眼レフカメラを購入したので、やってみます。ちなみに僕はエロ本を買うときに誤魔化したりしません。誤魔化したりはしませんが、なんか、こう、エロ本だけだと申し訳ないから、ガムと大学ノートぐらいは一緒に買ったりしたことはありましたよ」

社長「ガムと大学ノートのことは知らんが、私は忙しいんだ!にしけいくん、カメラマンとしての初仕事しっかり頼んだよ!あ、また電話だ…!もしもし?え?社長はハメをはずしているので今(現実世界には)いませんよ…!はい、それじゃあ!(ガチャ)」

 

 

撮影日当日・月曜

会社員をやっていたころ、やっぱり「月曜日」って嫌いでした。なんで会社に行かなきゃいけないのか。朝から中身のない朝礼と報告を聞くために電車に揺られて出勤しなくてはならない。もし月曜日が「好きなことをしていい日」だったら気合入れて起きられると思うんですよね。サザエさんのエンディングばりに勢いよく電車に飛び乗って仕事に行くと思うのです。「いやー明日、タイツパンストの撮影なんだよなぁ…だりーけど仕事だからなぁ〜(にやにやにや)」になると思うんです。いやいやじゃなくて好き好き行くと思います。

というわけでこの撮影のお仕事を僕は月曜日に入れました。あえて、週はじめに入れました。「未来の楽しみ」を作れるのは今日しかありません。好きな人とのデートでも、好きなアーティストのコンサートでも、楽しいイベントが未来に1個でもあればそれは今日を生きる活力になります。これがたくさんあればあるほど毎日楽しみが増えます。でも未来のイベントは今作るしかありません。

 

撮影はあっという間!

 

普通にガチでモデルをされている方にご協力していただいて、無事撮影が終わりました。不景気と嘆かれ閉塞感が漂いますが、こういう閑散期だったからこそ素敵なモデルさんにご協力いただけたのだと思います。本当にラッキーでした。

僕はどんな状況でも「そのときの状況をどうやったらうまく活用してラッキーな方にもっていけるか」を考えるのが好きなのです。「だめだ、だめだ」と嘆いて悲しんでいる時間は無駄ですぐ飽きてしまうので、状況に応じて視点を変えればいろんなチャンスが転がっています。今回の撮影もパズルのピースがピタッとはまったので、お声かけさせて頂いてから撮影までスムーズに進みました。

 

撮影してみて

モデルさんが本当にプロの方だったので、僕が逆にリードしていただく感じで進みました。打ち合わせをしてどのような衣装にするのか、どのようなイメージにしたいのか。いろいろ打ち合わせをして方針を決めました。カメラの師匠(この人があまり言えないのですがまたヤバい人で…)の「ありあわせの機材でどう工夫するか?」という言葉を肝に銘じ、ミラーレスのNikonの一眼レフカメラ(Z50)で撮影しました。レンズも買ったときのままのものを使いました。脚を長く見せるには広角レンズでゆがみを作るのだそうですが、自分なりに角度や構図を変えて撮影しました。

気づいたら500枚以上撮影していました。とにかく撮って撮って撮りまくりました。カメラの撮影者は観客であると同時に創造者なのだな気づいたときに不思議な感覚になりました。相術は「出来上がった結果(相)」から情報を読み取ります。質問者がいれば相術を読み取る人も参加者にはなれますが、相自体を作り出す行為の参加者にはなれません。そして、師匠からは「自分がどう表現したいか」を問われました。撮影者というフィルターを通して見た世界、撮影者が「いい!」と思う世界をアウトプットするわけですから、そこには撮影者自身の「意志」がはっきりと現れるわけです。

師匠はポートレート専門のカメラマンです。「その人が一番美しく、良く見える角度や表情を探すのが好きなんです。だからポートレートをやっています」という言葉に強く共感しました。そうなのです。必ずその人が美しく輝ける環境があると思います。それは冒頭にも述べたようにやっぱり「自然な姿」だったりします。それを切り取って形にできる仕事というのは、とても素晴らしい仕事だなと思いました。カメラマンも占いもやっていることは同じなのかもしれないと思いました。

エロと性と快感

撮影中何枚か「いい!」と思える写真が撮れました。この喜びは「エロ」とか「性欲を満たす」という感じの快感ではなく「いい絵が描けた!」という感じでした。とにかく撮影の間は頭をフル回転させて、どうすれば良いものが撮れるか?ということを考えていたので、終わったあとけっこうヘトヘトになりました。普段使わない思考回路を使っているような感覚になりました。

確かに撮影された写真はエロスを感じるものもあるのですが、なんというかそこに「性」というものがありませんでした。モデルさんは美しい方ですし、スタイルも抜群です。大好きなタイツやパンストが目の前にあります。なのに、それを「性の対象」とは考えられなかったのです。お仕事なのでムラムラしてはいけないのですが、僕にも性欲があるのでムラムラしてしまうのかなと心配していたのですが、全くそういったムラムラが起きなかったのです。これはにしけいの潔癖性を主張したいから書いているのではなく、自分自身が「性欲」とは違った「エロ」という感覚を「冷静な状態」で表現できるのだということがわかったことに驚いたのです。どうしても「脚が好き」というと「エロ」とか「気持ち悪い」「下品」といった言葉を反射的に考えてしまう人もいると思いますが、それこそ短絡的で、「エロ」と「性」を直結させることのほうが野蛮なことなのかなと思いました。

そして「エロ」も含めて自分が表現したい「いい!」と思える1枚が撮れるとそれが快楽になっている自分に気付きました。つまり「エロ」と「性」と「快楽」は確かに部分的に混ざり合っているところもあるのかもしれませんが、実は全くの別物だということが今日撮影してみてはっきりとわかったのです。本当にこれは大きな発見でした。撮影に協力してくださったモデルさんに対しては「共同創造者」というような感情が芽生えました。「美」というものが「自然な姿」であるとすれば、美は「もっともスムーズでスマートな状態」であり「機能性」にも優れていることになります。これはインプット寄りの相術を逆からアプローチする形になるので、カメラを続けることは僕の相術をまたアップグレードしてくれると期待感が得られました。これは非常に楽しみです。

撮影した写真たち

ここまで書いておきながら「実はにしけいの妄想でした」というオチにしてもいいのですが、せっかくなので撮影させていただいた写真の一部を載せておきます。


 

というわけで、残りの写真はタイツパンスト相術の本の中にふんだんに載せていきますので、また出版される日をお楽しみに!

いやー最高に楽しい月曜日だったー!

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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