【5分でわかるバイオマス・生分解の違いと実情】もっとも環境負荷が少ないプラスチック材料は?

 

どうも、にしけいです。

仕事柄、環境商材を扱うことが多く

「もっとも環境に良い材料は何なの?」といった質問をよく受けるので、簡単にまとめておきます。

日本国内で最も汎用しているのが石油由来のプラスチックです。

石油価格が落ち着いちゃったので、環境に最も負荷をかける石油由来のプラスチックでも需要はあります。単純に安くて加工がしやすい。それに尽きます。

高度経済成長の大量消費社会の代名詞とも言える石油由来のプラスチックですが、石油枯渇が何十年も叫ばれているのになかなか枯渇しないため国内の普及率は不動の1位です。

 

バイオマス(植物由来材料)

 

それに比べ、少しだけ環境負荷が少ないと考えられているのが植物由来(バイオマス)材料です。

これは、カーボンニュートラルという考え方が基盤になっていて

プラスチックの材料となる植物が、二酸化炭素を吸収しているからその分石油由来に比べて環境負荷が少ないだろうという考えのもと成立しています。

国内だと、豊田通商とか双日といった商社がブラスケンから購入しちょっと力を入れて販路拡大を図っていますが、なかなか普及しないのが実情です。

なぜ、環境に良いのに普及しないかというと中途半端だからです。

 

いくら植物が二酸化炭素を吸収しているからと言っても、その植物を伐採して運搬するために油を使っています。

LCA(ライフサイクルアセスメント)の計算の仕方によっては、バイオマスと言えど「本当に環境にいいの?」と懐疑的なデータも出てきます。結構都合の良いように計算しているLCAもあって、実際環境にはどうなんだろうというところです。

このバイオマスの出現には「二酸化炭素が温暖化に寄与している」という考えが根本にあります。

温暖化の原因の二酸化炭素を悪と決めつけ、それを低減させるものに価値がある。じゃあ、それをビジネスにしようよっていう風潮がどこかにあって、なんとも気もち悪いのです。

「二酸化炭素=悪」が本当なのかどうなのかというのは賛否両論です。宗教戦争ぐらい真向から対立しているテーマです。

本当に二酸化炭素を減らす気があるなら人間を含め動物は絶滅しなければなりませんし、温暖化はただの地球のサイクルだという説もあります。

 

バイオマスは手頃に環境PRできるがインパクトに欠ける

 

バイオマスは石油由来のプラスチックに比べ、1.2~2倍ぐらいです。

割とお手頃に「環境アピール」ができるので、イオンとか大手スーパーは使用するレジ袋などにバイオマスのものを使用していますが

実際バイオマス度が10%とかなので、企業側から見ればCSRの費用対効果は良いのかもしれませんが

環境系の分野を少しかじったことのある人なら「大して変わんないんだけどなぁ」といった感じです。

 

最近はこういうことに興味のある主婦や一般市民が増えてきたので、正直バイオマスのインパクトが薄れています。

植物由来なだけで、分解もしないし、50年とか100年とか環境中に残留しちゃうから、石油由来と変わんないんだけどなあ…

 

欧米は断然生分解

 

もうひとつの選択肢として考えられるのが生分解性プラスチックです。文字通り分解して無くなります。

生分解といえど、3Dプリンタの基材としても使われているぐらいですから、分解に時間がかかるものもあります。しかし、10年以内には基本的になくなります。

分解する機構としては、まず加水分解が起きて細かくなり、それが微生物の口に入って食べられてさらに分解されるという2段階の流れです。

生分解プラといっても、分解しない普通のプラスチックと混ざっちゃうと分解しないため

「生分解性プラスチックを使用しています」という記載があっても100%でなければ、分解はせず環境中に残留します。

これも言葉のアヤで、よく勘違いさせられるところです。

 

石油由来やバイオマスに比べて3~5倍の価格なので、日本では特殊な用途以外はほとんど普及していません。

「分解します」と謳いながら、値段が通常のプラスチック製品と同等ぐらいだったらおそらくそれは厳密にいうと分解せず残留するタイプのプラスチックです。

今、世界各国で生分解性プラスチックのプラントがバンバン立てられていますが、まだそこまで値段は下がっていません。

 

石油由来の生分解性プラスチックもありますし、遺伝子組換えのトウモロコシを原料にした生分解性プラスチックもあり、いろいろと価値観によっては「使いたくない」という人たちもいますが

欧米では当然のように生分解が採用されており、それに追随するようにUAE・中国・インドも生分解プラ採用へと動いております。

日本はマイクロプラスチックによる海洋汚染の問題が叫ばれており、少しずつ生分解の需要が伸びておりますが、政策が全く機能していないため普及はまだまだ先になるでしょうね。

 

結局何がいいの?

もっとも環境に良いプラスチックと聞かれたら、それは生分解性プラスチックなんでしょうけど

それを製造するために工場が動いているわけですから、プラスチックを使わない方が一番環境にいいんでしょうね。

日本も大量消費社会が終わって、必要な分だけ良いものを作るというスタンスが少しずつですが広がることを祈っています。

といっても、実際プラスチックの機能や経済効果に恩恵を受けているのは間違いないんですけど。

 

いつも占いの話ばかりしているにしけいが、どうしちゃったんだろうと思われるかもしれませんが、意外と現実的な話もできるんですね。

僕も自分でビックリして、少し呼吸が止まったので二酸化炭素低減に寄与しちゃいました。

 

にしけい

 

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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