正攻法、王道、既存のルートで進もうとするとことごとくうまくいかないのは、きっと僕にはまだまだ回り道をできるだけのエネルギーが有り余っているからなのだろう。
「君、なに楽しようとしてるんだ」
「そのルートはエネルギーが足りない人間だけが優先的に使えるんだ」
「元気なやつが優先席に座っちゃダメなのと同じで」
「君は元気なんだから、もっと迂回して回り道しろよ」
毎回こういう感じ。毎回笑ってしまう。簡単な近道どころか、歩きやすく舗装された道も歩かせてもらえない。たまに心の隙間に「みんなが歩いてる道に合流させてもらえるかな?」という考えが滲み出てくるけれど、毎回だめ。道なき道に戻される。
でも、正規のルートでいこうとしていた場所に、全く違うルートから辿り着くことがある。今までもそういうことが何度かあって。ワープさせられるように、急にそういう場所に到達することもある。
何が正解か、成功かわからないけれど、おそらく今世はこういう感じなんだと思う。だから、無駄な若さと、有り余る反骨心を抱くように設計されて生まれてきているのだと思う。全てを疑うように睨みつけて、「お前はそれでいいのか?」ってナイフを突きつける。そういう殺意みたいなものがまだまだ自分の中にあって、この歳になっても全然消えない。
柵が壊れて、外に出られるのに羊たちは外に出てこない。外に出れば自由なのに、出てこない。牢屋の檻を壊して、外に逃げ出せるのに出ようとしない。「自由が欲しい」と鳴きながら、柵や檻の中に入ったまま。左様なら、さようなら。譲歩は無駄足。
僕はまだまだ足りない。正常だから、全然足りない。
にしけい




