AIと生花に学ぶネガティブプロンプトの重要性

AIを使って絵や文章を作成するときに「ポジティブプロンプト」「ネガティブプロンプト」というものがあります。

「ポジティブプロンプト」は「生成してほしいこと」「こういうことをしてほしい」という要望を指します。「ネガティブプロンプト」は反対に「生成してほしくないこと」「やめてほしいこと」を指します。

多くの人が、多くの場合がまず「ポジティブプロンプト」から考えます。僕もAIに何かを作ってほしい時にまず「やってほしいこと」を指示します。でも、何度も使っていると「やってほしくないこと」を表現する「ネガティブプロンプト」の重要性に気づきます。

わんちゃんが散歩中に他の犬に近寄っていかないようにリードでしっかりと躾けるようなイメージでしょうか(leader)。ネガティブプロンプトがないと、想像していなかった結果にたどり着きます。そういったものを楽しむのもAIの一興ではありますが、目的や理想とする結果物に近づけるためには「ネガティブプロンプト」が必要になってきます。

生花をしていて感じるのは、この「ネガティブプロンプト」の重要性です。僕は茎や葉を切り落とすことが苦手です。生花を始めてから気づいたのですが、僕の中には「手を加えず、このままの姿が一番美しいんじゃないか」という自然主義者みたいな発想が根底にあるんですね。この考えは生花と対極にあるような思想で、今も少し茎や葉をばっさりと切り落とすことに苦戦しています。「なるべく切らないほうがいいんじゃないか」と考えてしまうんですね。

でも、最終的に「より美しい」と感じるものは、ちゃんと不要な葉や茎を切り落とされて「手を加えたもの」なんですね。自由に伸び広がる要素を切り落とし、制御していく「ネガティブプロンプト」が重要なんですね。

 

エニシダの五本生け

 

とはいえ、あまりにも「これもだめ、あれもだめ」という範囲の限定をしすぎると、堅苦しくて個性も情緒も消え失せてしまいます。何をやって、何をやらないか。何を伸ばして、何を切るか。日々の生活やお仕事の中でも、「選択」の連続です。みんな何かを選択しながら生きています。選択肢がたくさんある場面もあれば、選択肢が限られている場面もあります。

そんな中で、無意識に人々は「ポジティブプロンプト」と「ネガティブプロンプト」を使い分けながら生きています。AIに細かく指示を出そうとすればするほど、それを人間が無意識のうちにやってのけていることに驚きます。「なんでもいい」と思いながら生きていたとしても、意外と「なんでもよくない」ことがたくさんあります。

AIと生花という一見すると対極にあるような世界なのですが、どちらも「選択の言語化」「選択の記号化」といった「範囲の限定作業」なのだなと気付かされます。「素材を生かす」というのは、「ただのびのびとそのままにする」ということではなくて、範囲の拡大と縮小をいかに柔軟に行えるかなのではないかと考えています。

目の前にある「キャベツ」をどう調理するかを考えた時に、まずは「いろんな選択肢」を増やすことが「範囲の拡大」で、たくさんある選択肢の中から最善の方向へと絞っていくことが「範囲の縮小」です。肺が膨らんで萎むを繰り返すように、この範囲の拡大と縮小を何度も何度も繰り返すことで、より良い結果が得られるのではないでしょうか。つまり、柔軟性としなやかさみたいなものが「より良い結果」に結びつくのではないかと。

生花でもAIでも「ネガティブプロンプト」の重要性に気づいたということは、まだまだそれが十分にできていないということです。凝集を意識するということは、対極の拡散のフェーズにいるということです。ここから何かを掴み取って分化するまで、まだまだ試行錯誤は続きそうです。

文章の放し飼いもそろそろ卒業しなくては…

にしけい

▶︎ブログ記事一覧へ

関連記事

書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。甘酒と文章を書くことも好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

無料メルマガを読んでくださっている方の手相を解説する企画です。まずは1000人の手相を解説します。Youtube手相談室で解説しています。

月に1〜2回ゆるっと配信しています。お知らせや占いに関するトピックを書いています。

記事カテゴリーで検索

 
お買い物カゴ
上部へスクロール